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平成16年実施検定1級小型問題15:コモン・レール式高圧燃料噴射システムの特徴

15

コモン・レール式高圧燃料噴射システムの特徴に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)コモン・レールに装着されているプレッシャ・リミッタは,異常高圧時に燃料を逃がし安全性を確保する機能を持っている。

(2)コモン・レールと電磁式インジェクタを使用することにより,インジェクタ内の燃料に常に高い圧力がかかっているため,噴射量及び噴射時期をエンジンECUで精密に制御できる。

(3)燃料噴射を2段階に分割し,メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことによりメインの燃焼が穏やかに開始するため,エンジンの振動及び騒音を低減できる。

(4)噴射圧力を高圧化することで着火性が良くなるため,噴射タイミングを進角させることができ,燃焼期間を短くすることにより,燃焼温度が低くなるため,NOxの生成も低減することができる。

 

解く

(1)コモン・レールに装着されているプレッシャ・リミッタは,異常高圧時に燃料を逃がし安全性を確保する機能を持っている。

適切

コモン・レール

 コモン・レールは,高圧燃料を蓄え,インジェクタに供給することにより電子制御噴射を可能にしている。また,高圧システム内の圧力振動波を低減する機能も備えており,材料にはクロム・モリブデン鋼が用いられている。レール部の燃料圧力はレール圧センサにより計測され,エンジン ECU にフィードバック信号として送られているため,常にエンジンの状態に適した圧力( 20 ~ 135 MPa )に保たれる。また,プレッシャ・リミッタは,異常高圧時に燃料を逃がし安全性を確保している。

 

(2)コモン・レールと電磁式インジェクタを使用することにより,インジェクタ内の燃料に常に高い圧力がかかっているため,噴射量及び噴射時期をエンジンECUで精密に制御できる。

適切

特徴

( 1 ) 従来の電子制御式分配型インジェクション・ポンプでは,インジェクション・ノズルの最大噴射圧力はエンジン回転速度や負荷の影響を受け,全回転域に渡って良好な噴射圧力を得ることが難しかったが,コモン・レール式高圧燃料噴射システムでは,高圧燃料をコモン・レールに蓄えることで,常に安定した噴射圧力を確保できるためエンジン性能が向上する。

( 2 )コモン・レールと電磁式インジェクタを使用することにより,インジェクタ内の燃料に常に高い圧力が掛かっているため,電子制御式分配型インジェクション・ポンプに比べ,噴射量及び噴射時期をエンジン ECU でより精密に制御できる。  

( 3 )燃料噴射を 2 段階に分割し,メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことによりメインの燃焼が緩やかに開始するため,エンジンの振動及び騒音を低減できる。さらに,噴射時期を最適に制御することにより燃料の拡散を促進し,燃焼温度が低く抑えられるため,黒煙及び NOx の排出量を低減することができる。また,この噴射システムでは,燃焼速度を速めることができるため,良好な燃焼を確保できる。

 

(3)燃料噴射を2段階に分割し,メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことによりメインの燃焼が穏やかに開始するため,エンジンの振動及び騒音を低減できる。

適切

 

(4)噴射圧力を高圧化することで着火性が良くなるため,噴射タイミングを進角させることができ,燃焼期間を短くすることにより,燃焼温度が低くなるため,NOxの生成も低減することができる。

不適切

 ジーゼル・エンジンでは,特に,排気ガス中に合まれる有害な大気汚染物質となる PM , NOx をそれぞれ低減させることが最も重要になってくる。 PM は,完全燃焼させることで低減させることができるが, NOx は,完全燃焼すると燃焼ガス温度が高くなるため,より多く生成される。この PM と NOx は,同時に両者を低減することは,困難な関係にある。

 この問題を解決するためには,コモン・レール式高圧燃料噴射システムのように噴射圧力を高圧化することで液体の燃料を微粒化させ,微粒化したことで総表面積が大きくなり周囲の吸入空気や熱とよく触れることになり,良い燃焼状態になり PM の発生が低減する。さらに,微粒化したことで着火性が良くなるため噴射タイミングを遅角させることができ,着火遅れや燃焼期間が短くなることにより燃焼温度が低くなるため,NOx  の生成も低減できる。

 

よって答えは4