1
デジタル・テスタに関する文章の正誤の組み合わせとして,適切なものは次の(1)から(4)のうちどれか。
(イ)真の実効値方式デジタル・テスタは,正弦波以外の波形は正確に測定することができない。
(ロ)CMRR(コモン・モード・リジェクション・レシオ)は,大地を基準とした別の電圧が測定電圧に印加された場合に,測定値に与える影響度を表している。
(ハ)クレスト・ファクタは,デジタル・テスタが持っている交流波形に対する測定能力を表すもので,交流測定時,交流波形の波高の最大値と実効値との比(実効値/最大値)を係数で示している。」
(1)(イ)正 (ロ)正 (ハ)正 |
(2)(イ)正 (ロ)誤 (ハ)正 |
(3)(イ)誤 (ロ)正 (ハ)誤 |
(4)(イ)誤 (ロ)誤 (ハ)誤 |
解く
(イ)真の実効値方式デジタル・テスタは,正弦波以外の波形は正確に測定することができない。
不適切
真の実効値方式
図 に示す真の実効値方式デジタル・テスタは,交流電圧及び電流の実効値をアナログ演算し て表示するため,正弦波以外の波形(例えば方形波)でも,正確に測定することができる。一般に,高機能のデジタル・テスタには,この方式が採用されている。
(ロ)CMRR(コモン・モード・リジェクション・レシオ)は,大地を基準とした別の電圧が測定電圧に印加された場合に,測定値に与える影響度を表している。
適切
NMRR(Nomal Mode Rejection Ratio)
NMRRとは,測定電圧に別の電圧(ノイズなど)が重畳している場合に,測定値に与える影響度を表している。
「NMRR:60dB以上50/60Hz」と書かれている場合は,50Hz及び60Hzでの成分をもった電圧(ノイズ)が測定電圧に重畳しているとき,その電圧(ノイズ)を1/1000 以下に減衰させて,測定目的とした電圧値の表示を行っている。
CMRR(Commom Mode Rejection Ratio)
CMRRとは,アースを基準とした別の電圧(ノイズなど)が測定電圧に印加された場合に,測定値に与える影響度を表している。
「CMRR:120dB以上50/60HzJと書かれている場合は,50Hz及び60Hzでの成分をもった電圧(ノイズ)が測定端子とアース間に発生したときに,測定電圧への影響度が1/1000000 以下に除去する能力があることを表している。
また,参考としてノイズには,ノーマル・モード・ノイズ,コモン・モード・ノイズなどがある。
ノーマル・モード・ノイズとは,図1−37のようにーつの回路を構成する配線の中に,∿で表す別の電圧(ノイズ)が集まっている状態をいう。
コモン・モード・ノイズとは,図1-38のようにーつの回路を構成する配線の片側とアース間に,∿で表す電圧(ノイズ)で電位差が発生している状態をいう。
(ハ)クレスト・ファクタは,デジタル・テスタが持っている交流波形に対する測定能力を表すもので,交流測定時,交流波形の波高の最大値と実効値との比(実効値/最大値)を係数で示している。」
不適切
クレスト・ファクタ(CREST FACTOR:波高率)
クレスト・ファクタは,デジタル・テスタがもっている交流波形に対する測定能力を表すもので,交流測定時,交流波形の波高の最大値(P)と実効値(RMS)との比(最大値/実効値)を係数で示している。
この係数は,交流計の波高値への飽和領域(テスタ精度許容点)がどの領域であるかを表すためのものである。また,クレスト・ファクタは次の式で表され,正弦波:=P/(P∕√2)=√2≒1.414,
三角波:√3≒1.732,パルス矩形波(デューティー比5%の場合):1/√(5∕100)≒4.472であるので,性能表にクレスト・ファクタ:<3」(3未満)とある場合,正弦波及び三角波は,測定精度許容範囲に入っているが,3以上のパルス矩形波は,このテスタでは測定しても正確な数値を表示できない。
よって答えは(3)