自動車整備士試験勉強 始めました~(^^♪

自動車整備士資格試験を解く

平成18年実施検定1級小型問題5:筒内噴射式ガソリン・エンジン

5

筒内噴射式ガソリン・エンジンに関して述べた文章の正誤の組み合わせとして,適切なものは次の(1)~(4)のうちどれか。

 

(イ)筒内噴射式ガソリン・エンジンは摩擦損失が低減されるため,ジーゼル・エンジン並みの熱効率が可能となる。

(ロ)成層燃焼中は燃料の混合を促進するため,一般的なインテーク・ポート噴射式エンジンより燃料噴射時間を長くしており,アイドル時で約0.4msである。

(ハ)低速トルクを向上させるために,燃料を圧縮行程と燃焼(膨張)行程の2回に分けて噴射して燃焼させている。

 

  (イ)/(ロ)/(ハ)

(1)正/正/誤

(2)正/誤/正

(3)誤/正/正

(4)誤/誤/誤

 

 

解く

 

(イ)筒内噴射式ガソリン・エンジンは摩擦損失が低減されるため,ジーゼル・エンジン並みの熱効率が可能となる。

低負荷運転領域では,成層燃焼を行うため空気過剰状態でも燃焼が行え,ポンプ損失が低減されるためジーゼル・エンジン並みの熱効率が可能となる。

 

(ロ)成層燃焼中は燃料の混合を促進するため,一般的なインテーク・ポート噴射式エンジンより燃料噴射時間を長くしており,アイドル時で約0.4msである。

高圧スワール・インジェクタ及びインジェクタ・ドライバ

筒内噴射式エンジンでは,低負荷域の成層燃焼から高負荷域の均質燃焼までをカバーするため,エンジンが要求する燃料噴射量における最少から最多までの幅(範囲)が,従来のインテーク・ポート噴射式エンジンの約1.5倍と広くなっている。

また,成層燃焼中は圧縮行程後半の極めて短い時間内に燃料を噴射する必要があり,最も噴射時間が短いアイドル時の開弁時間は,0.4ms程度である。これは,インテーク・ポート噴射式エンジンのインジェクタの1/5程度の時間であり,応答性を格段に上げる必要がある。そこで,次のような改良等を行い,インジェクタから噴射される燃料噴射量の最少から最多までの幅の拡大と高速応答性を両立させている。

 

燃料系統の高圧化

インジェクタ駆動用昇圧回路の別体化(高電圧・大電流を使用したインジェクタ・ドライバの採用)

低抵抗の小型電磁コイルを内蔵したインジェクタの使用

過励磁を用いた駆動回路の改良

 

(ハ)低速トルクを向上させるために,燃料を圧縮行程と燃焼(膨張)行程の2回に分けて噴射して燃焼させている。

 

低速トルク向上制御

低速トルクを向上させるために,燃料を吸入行程と圧縮行程で2回に分けて噴射して燃焼(空燃比:合計で15~23程度)させている。

1回目の吸入行程での噴射では,自己着火しない程度のリーンな混合となるようにし,次に圧縮行程で残りの燃料を噴射する。

圧縮行程中に噴射された燃料は,自己着火(ノッキング)が発生する前に火炎伝播により燃焼するため,耐ノッキング性が向上し,点火時期の進角が可能となり,また低速トルクの大幅な向上が行われている。

 

 

よって答えは4

 

令和6年3月実施2級ジーゼル問題6:冷却装置の電動ファンの回路

6

図に示す冷却装置の電動ファンの回路に接続されている電圧計A,Bに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。ただし,図の電動ファンの回路は停止時を示し,配線の抵抗はないものとする。        

(1) 停止時,電圧計Aは12Vを表示する。        

(2) 高速回転時,電圧計Aは12Vを表示する。        

(3) 高速回転時,電圧計Bは12Vを表示する。        

(4) 低速回転時,電圧計Bは0Vを表示する。        

 

 

解く

(1) 停止時,電圧計Aは12Vを表示する。        

不適切

0V

(2) 高速回転時,電圧計Aは12Vを表示する。

適切

(3) 高速回転時,電圧計Bは12Vを表示する。

不適切

0V

 

(4) 低速回転時,電圧計Bは0Vを表示する。        

不適切

0Vよりは大きい

よって答えは2

 

 

平成18年実施検定1級小型問題4:コモン・レール式高圧燃料噴射システム

4

コモン・レール式高圧燃料噴射システムに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)高圧燃料をフューエル・フィルタに蓄えることで,常に安定した噴射圧力を確保できるためエンジン性能が向上する。

(2)燃料の微粒化により着火性が良くなるため噴射タイミングを遅角させることができ,着火遅れや燃焼期間が長くなることにより燃焼温度が低くなるため,NOxの発生を低減できる。

(3)メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことにより,メインの燃焼が緩やかに開始するため,エンジンの振動及び騒音を低減できる。

(4)高圧燃料系の接続部を締め付ける場合は,燃料漏れを防止するため,基準値を超えた値で行うべきである。

 

解く

(1)高圧燃料をフューエル・フィルタに蓄えることで,常に安定した噴射圧力を確保できるためエンジン性能が向上する。

不適切

コモンレール

 コモン・レールは,図のようになっており高圧燃料を蓄え,インジェクタに供給することにより電子制御噴射を可能にしている。また,高圧システム内の圧力振動波を低減する機能も備えており,材料にはクロム・モリブデン鋼が用いられている。レール部の燃料圧力はレール圧センサにより計測され,エンジン ECU にフィードバック信号として送られているため,常にエンジンの状態に適した圧力( 20 ~ 135 MPa )に保たれる。また,プレッシャ・リミッタは,異常高圧時に燃料を逃がし安全性を確保している。

(2)燃料の微粒化により着火性が良くなるため噴射タイミングを遅角させることができ,着火遅れや燃焼期間が長くなることにより燃焼温度が低くなるため,NOxの発生を低減できる。

不適切

ジーゼル・エンジンは,ガソリン・エンジンのようなノッキングを生じないため圧縮比を高くすることができる。さらに,吸気の絞りを行う必要がないため,ほとんどの領域で空気過剰の希薄燃焼になる。空気が多く希薄燃焼になるため,排気温度も低くエンジンの耐久性もあり, CO (一酸化炭素) , HC (炭化水素)の発生も極めて少ない。しかし,排気ガス中に O2 (酸素)が多く存在するので,ガソリン・エンジンに使用されている三元触媒が,多量の O2 による触媒の効率低下のために使えない。そのため NOx (窒素酸化物)の低減が難しい。また,ジーゼル・エンジンは,一種の層状燃焼であり,燃焼は燃料噴射近傍のところで行われ,局部的空気不足を生じやすく, PM ( Particulate Matter :粒子状物質)(注参照)生成の問題を生ずる。

ジーゼル・エンジンでは,特に,排気ガス中に合まれる有害な大気汚染物質となる PM , NOx をそれぞれ低減させることが最も重要になってくる。 PM は,完全燃焼させることで低減させることができるが, NOx は,完全燃焼すると燃焼ガス温度が高くなるため,より多く生成される。この PM と NOx は,同時に両者を低減することは,困難な関係にある。

この問題を解決するためには,コモン・レール式高圧燃料噴射システムのように噴射圧力を高圧化することで液体の燃料を微粒化させ,微粒化したことで総表面積が大きくなり周囲の吸入空気や熱とよく触れることになり,良い燃焼状態になり PM の発生が低減する。さらに,微粒化したことで着火性が良くなるため噴射タイミングを遅角させることができ,着火遅れや燃焼期間が短くなることにより燃焼温度が低くなるため,NOx の生成も低減できる。

 

 

(3)メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことにより,メインの燃焼が緩やかに開始するため,エンジンの振動及び騒音を低減できる。

適切

特徴

(1)従来の電子制御式分配型インジェクション・ポンプでは,インジェクション・ノズルの最大噴射圧力はエンジン回転速度や負荷の影響を受け,全回転域に渡って良好な噴射圧力を得ることが難しかったが,コモン・レール式高圧燃料噴射システムでは,高圧燃料をコモン・レールに蓄えることで,常に安定した噴射圧力を確保できるためエンジン性能が向上する。

(2)コモン・レールと電磁式インジェクタを使用することにより,インジェクタ内の燃料に常に高い圧力が掛かっているため,電子制御式分配型インジェクション・ポンプに比べ,噴射量及び噴射時期をエンジンECUでより精密に制御できる。

(3)燃料噴射を2段階に分割し,メイン噴射の前に補助的なパイロット噴射を行うことによりメインの燃焼が緩やかに開始するため,エンジンの振動及び騒音を低減できる。さらに,噴射時期を最適に制御することにより燃料の拡散を促進し,燃焼温度が低く抑えられるため,黒煙及びNOXの排出量を低減することができる。また,この噴射システムでは,燃焼速度を速めることができるため,良好な燃焼を確保できる。

 

 

(4)高圧燃料系の接続部を締め付ける場合は,燃料漏れを防止するため,基準値を超えた値で行うべきである。

不適切

コモン・レール式高圧燃料噴射システム整備上の全般的な注意事項

(1)コモン・レール式高圧燃料噴射システムは精密部品で構成されており,また,非常に高圧の燃料(20~135MPa)を扱うため,異物に対して特に注意が必要となる。整備時には以下の項目に注意すること。

・分解前に周辺の泥,さびなどを洗浄除去し,分解時に燃料系内部に混入しないようにする。

・部品保管時に異物の混入,シール面などに傷を付けない。

・組み付け前には各部品を十分に洗浄し,シール面にごみ,切粉などの異物が付着しないように注意

して組み付ける。

(2)高圧燃料系(サプライ・ポンプ~インジェクタ~リターン間)の締め付けトルクは,必ず,修理書に記載してある基準値を守ること基準値以上でも,以下でも燃料漏れを起こす恐れがある。

(3)燃料系の作業後(含むガス欠工ンスト時)は,配管内のエア抜きを行うこと。(通常のエンジンよりもエアが抜けにくくなっている。)

エア抜きは,フューエル・フィルタの手押しポンプの抵抗が大きくなるまで押して行う。行わない場合は,30秒程度のクランキングが必要となる。

 

 

よって答えは3

 

令和6年3月実施2級ジーゼル問題5:エンジンのバルブ開閉機構に用いられているバルブ・スプリング

5

エンジンのバルブ開閉機構に用いられているバルブ・スプリングに関する次の文章の(イ)と(ロ)に当てはまるものとして,下の組み合わせのうち,適切なものはどれか。

 

不等ピッチ・バルブ・スプリングは,質量の(イ)ピッチの(ロ)方をシリンダ・ヘッド側に向けて組み付ける。        

 

(1) (イ)大きい (ロ)狭い        

(2) (イ)大きい (ロ)広い        

(3) (イ)小さい (ロ)狭い        

(4) (イ)小さい (ロ)広い        

 

解く

 

バルブ・スプリング

バルブ・スプリングは,バルブをカムの運動に従い迅速確実に閉じるばね力が要求される。

また,回転速度に応じて伸縮が繰り返されるので,耐疲労性,強じん性なども要求されるため,材料は,その性質によりシリコン,マンガン,クロム,バナジウムなどを数種類の組み合わせで添加した特殊鋼,いわゆる,耐熱ばね鋼が用いられている。

バルブ・スプリングは,作動時の荷重が往復運動部分に働く慣性カより高くないと,正確なバルプ開閉ができない。この作動時荷重が往復運動部分に働く慣性カより低くなると,バルブがカムから離れたり,バルブ・シートに着座するときに踊ったりする。バルブ・スプリングの一端を急に圧縮すると,スプリングの各コイルは圧縮されたその端から順次圧縮されていき,それが他端で反射され,一定の周期でコイルを往復する圧縮波になる。この周期とカムによるバルブの開閉速度の周期が同調すると,バルブ・スプリングが共振を起こして異常な振動をする。この現象をサージングといい,高速回転時に起きやすい。サージングが起きるとバルプが踊ったり,ときには破損することもあるので,これを防止するためにばねの固有振動数を変えて共振を防ぐ,複式のスプリングや不等ピッチのスプリングが用いられている。

図(1)は,ばね定数の異なる内外(インナ及びアウタ)二つのスプリングを設けた複式スプリングで,外側と内側のスプリングの巻き方向が逆になっているのが一般的である。これはスプリング同士のかみ込みを防ぐためと座りを安定させるためである。また,図(2)の不等ピッチ・スプリングは,質量の大きいピッチの狭い方をシリンダ・ヘッド側に向けて組み付ける。

 

平成18年3月実施検定1級小型問題3:サーキット・テスタ

3

表にある性能を有するサーキット・テスタを用いて図の①,②間の電圧を測定したとき,サーキット・テスタに表示される測定値の範囲として,適切なものは次のうちどれか。ただし,電圧レンジは最も適切なレンジを使用したものとする。

(1)4.528V~4.562V

(2)4.634V~4.668V

(3)4.745V~4.779V

(4)4.860V~4.894V

 

解く

 

 

令和6年3月実施2級ジーゼル問題4:ピストン・リングに起こる異常現象

4

ピストン・リングに起こる異常現象に関する次の文章の(イ)から(ハ)に当てはまるものとして,下の組み合わせのうち,適切なものはどれか。

 

フラッタ現象とは,ピストン・リングがリング溝に密着せずに浮き上がる現象をいい,ピストン・リングの拡張力が(イ)ほど,ピストン速度が(ロ)ほど起こりやすい。また,この現象を防止するためには,リング幅を(ハ)して面圧を増す必要がある。        

 

 

(1) (イ)小さい (ロ)遅い (ハ)広く        

(2) (イ)大きい (ロ)遅い (ハ)広く        

(3) (イ)小さい (ロ)速い (ハ)狭く        

(4) (イ)大きい (ロ)速い (ハ)狭く        

 

解く

 

 

フラッタ現象

フラッタ現象とは,ピストン・リングがリング溝と密着せずにバタバタと浮き上がる現象をいい,ピストン・リング,ピストン及びシリンダ壁面との気密が損なわれ,ピストン・リングの上下面に作用する圧縮圧力によるカよりピストン・リングの慣性力が上回ると発生する。コンプレッション・リングやシリンダ壁面が摩耗した場合に起こりやすく,この現象は,ピストン・リングの拡張力が小さいほど,ピストン・リング幅が厚いほど,また,ピストン速度が速いほど起こりやすい。

したがって,この現象が起きた場合には,ピストン・リングの機能が損なわれ,ガス漏れによるエンジン出力の低下,オイル消費量の増大,リング溝やリング上下面の異常摩耗などが促進される。

なお,正常な場合のコンプレッション・リングは,リング固有の拡張力とリング内周面に働く燃焼ガス圧力によって,シリンダ壁面に強く押し付けられている。

 

 

よって答えは3

 

平成18年実施検定1級小型問題2:ISO規格のダイアグノーシス・コード

2

ISO規格のダイアグノーシス・コードに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ダイアグノーシス・コードは,以前は2進法であったが現在では4進法を採用している。

(2)ダイアグノーシス・コードは,車両の異常系統を8桁のコードで表示する。

(3)ダイアグノーシス・コードは,外部診断器で消去できないので,バッテリのマイナス端子を外すなどの作業が必要である。

(4)外部診断器は,ダイアグノーシス・コードと異常系統名を表示することが可能である。

 

解く

 

(1)ダイアグノーシス・コードは,以前は2進法であったが現在では4進法を採用している。

不適切

故障の大区分のみで16進数+故障の詳細16進数+B,C,P,U+0・・・37進数か?

(2)ダイアグノーシス・コードは,車両の異常系統を8桁のコードで表示する。

不適切

外部診断器は,ダイアグノーシス・コードを読み取り,画面表示することができ,ダイアグノーシス・コードは,ISO及びSAE(アメリ自動車技術会)の規格に準拠したアルファべット1文字と4桁の数字で表示されている。

 

(3)ダイアグノーシス・コードは,外部診断器で消去できないので,バッテリのマイナス端子を外すなどの作業が必要である。

不適切

ダイアグノーシス・コードの消去方法で,ヒューズを抜く又はバッテリのマイナスを外した場合,ECUの学習値や時計,ラジオ等のメモリまでリセットされてしまう場合があるが,外部診断器でコード消去を行うと,ダイアグノーシス・コードとフリーズ・フレーム・データのみの消去が可能となり,二次的な時計,ラジオなどの調整は必要ないという利点がある。

 

(4)外部診断器は,ダイアグノーシス・コードと異常系統名を表示することが可能である。

適切

ダイアグノーシス・コードの表示及び消去

 外部診断器は,ダイアグノーシス・コードを読み取り,画面表示することができ,ダイアグノーシス・コードは,ISO及びSAE(アメリ自動車技術会)の規格に準拠したアルファべット1文字と4桁の数字で表示されている。

 また,ダイアグノーシス・コードの消去も外部診断器から行うことができる。

よって答えは4