自動車整備士試験勉強 始めました~(^^♪

自動車整備士資格試験を解く

平成19年11月実施検定1級小型問題30:ABSに関する記述

30

ABSに関する記述として,不通切なものは次のうちどれか。

 

(1)車輪速度が推定(疑似)車体速度より急激に下がると,ブレーキ液圧を保持する。さらに,車輪速度が低下すると,ブレーキ液圧を減圧する。

(2)後輪のブレーキ液圧は,ロックしやすい車輪速度の方を基準として制御される。

(3)ABSは,車輪速センサの直接情報である車輪速度から演算される推定(疑似)車体速度を目標に制御される。

(4)スリップ率が100%とはタイヤが完全にロックしている状態である。また,スリップ率が大きくなるほどタイヤのコーナリング・フォースは小さくなる。

 

解く

(1)車輪速度が推定(疑似)車体速度より急激に下がると,ブレーキ液圧を保持する。さらに,車輪速度が低下すると,ブレーキ液圧を減圧する。

適切

ABS制御

ECUは,図に示すように各車輪速センサからの信号によって車輪速度を検知し,すべての車輪速度をもとに車体速度を推定する。推定(又は疑似)車体速度をもとに車輪のスリップ率を計算し,目標スリップ率になるように,モジュレータ・ユニットのモジュレータ・バルプとポンプを作動させ,プレーキ液圧を制御する。前輪のプレーキ液圧は,左右独立に制御し,後輪はロックしやすい方(車輪速度が低い:ロー・セレクト)を基準にして左右同時に制御している。

車輪速度が推定(又は疑似)車体速度より急激に下がると(①),図のようにインレット・バルブは閉じ,ブレーキ圧を保持する。さらに,車輪速度が低下すると(②),アウトレット・バルブは一瞬開き,ブレーキ圧を減圧する。このとき,ポンプ・モータは作動を始める。車輪速度が回復してくると(③),インレット・バルブを一瞬開き,ブレーキ圧を増圧する。この作動を素早く繰り返し,ABS制御を行っている。

(2)後輪のブレーキ液圧は,ロックしやすい車輪速度の方を基準として制御される。

適切

(3)ABSは,車輪速センサの直接情報である車輪速度から演算される推定(疑似)車体速度を目標に制御される。

不適切

目標スリップ率

(4)スリップ率が100%とはタイヤが完全にロックしている状態である。また,スリップ率が大きくなるほどタイヤのコーナリング・フォースは小さくなる。

適切

タイヤの摩擦係数の変化

前述した制動距離の式でも分かるように、制動力か大きければ、制動距離はこれに反比例して短縮され

る。しかし、制動力はタイヤと路面の間の摩擦力として伝達されるため限度がある。

摩擦係数をμ(ミュー)、ホイールに掛かる質量をMで表すと、制動力はμMg(注1参照)より大きくすることはできない。

ブレーキを掛けると、ホイールは路面を滑りながら転かるようになり、制動力が小さいときは滑りは少ないが、制動力が増すに連れて滑りが大きくなっていく。乾燥した舗装路面における摩擦係数とスリップ率(注2参照)との間には、図のような関係があり、摩擦係数はスリップ率が20%前後のときに最大となるが、それ以降はスリップ率が増すに伴い低下し、ホイールか完全にロックした状態では、スリップ率は100%になる

よって答えは3