平成19年3月実施1級小型問題12：パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システムを採用したFF車に関する記述

パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システムを採用したFF車に関する記述として，不適切なものは次のうちどれか。

（1）ブレーキ・ペダル操作時には回生ブレーキ制御が働き，ブレーキECUが油圧式ブレーキと回生ブレーキを協調制御し，回生ブレーキを優先的に使用してより多くの運動エネルギを回収している。

（2）油圧式ブレーキの制動倍力装置には，エンジンの負圧を利用した真空式制動倍力装置が用いられ，その油圧を用いて回生協調制御などを行っている。

（3）シャット・ダウンとは，Nレンジの場合にインバータのパワー・トランジスタをすべてOFFにして，モータとジェネレータの作動を停止させることをいう。

（4）滑りやすい路面などで駆動輪がスリップし，前輪の車輪速度が後輪に対して過大になったときに駆動力を制御するトラクション・コントロール機能をもっている。

解く

適切

回生ブレーキ制御

ハイブリッド車は，アクセル・ペダルを戻したときの減速時及びブレーキ・ペダルを踏み込むことによる制動時に，駆動用モータを発電機として作動させ，車両の運動エネルギを電気エネルギに変換して， HV バッテリに回収している。

このようなブレーキ装置のことを，回生ブレーキ制御装置といい，ブレーキ ECU ，ハイブリッド ECU ，ブレーキ・アクチュエータなどで構成されている。回生ブレーキ制御装置では，特にブレーキ・ペダル操作時に，油圧ブレーキと回生ブレーキをブレーキ ECU により協調制御を行い，回生ブレーキを優先的に使用して，より多くの運動エネルギを回収している。

不適切

油圧式ブレーキの制動倍力装置には，ポンプ・モータにより高圧に蓄積された油圧を用いて，ブレーキカを増加させる油圧式制動倍力装置が用いられ，その油圧を用いて，回生協調制御などを行っている。

適切

シャット・ダウン

前輪とモータは：ギヤとチェーンを介して，常時，機械的につながっている方式のため，駆動力の遮断手段として， N レンジのときはインバータのパワー・トランジスタをすべて OFF にして，モータとジェネレータの作動を強制的に停止させている。これをシャット・ダウンといい，車軸での駆動力はゼロになる。この状態では，エンジンが回転していても，ジェネレータは空回りして発電していないため，バッテリに充電は行われない。