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令和6年3月実施1級小型問題8:パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システムを用いたハイブリッド車

8

パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システムを用いたハイブリッド車に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ジェネレータ用のブリッジ回路では,HVバッテリの直流を三相交流に変化させるとともに,モータの電流制御や交流周波数制御を行い,モータの発生トルクと回転速度を変化させている。

 

(2)インバータからコンバータへ入力された電圧は,トランジスタ・ブリッジ回路で交流に変換し,トランスで低電圧に降圧した後,整流及び平滑を行いDC12Vに変換している。

 

(3)モータ内に発生した回転磁界を,ロータの回転位置,速度に合わせて制御することにより,ロータに配置された永久磁石が回転磁界の作用を受け,トルクが発生する。

 

(4)ブレーキECUは,油圧調整部にある増圧,減圧用のリニア・ソレノイド・バルブの開度を制御して,ホイール・シリンダ油圧を調圧し,制動力要求値のうち回生ブレーキによる制動力の不足分を油圧ブレーキで補っている。

 

 

解く

 

(1)ジェネレータ用のブリッジ回路では,HVバッテリの直流を三相交流に変化させるとともに,モータの電流制御や交流周波数制御を行い,モータの発生トルクと回転速度を変化させている。

不適切

モータ用のブリッジ回路では,モータを駆動させるときには, HV バッテリの直流を三相交流に変化させると共に,モータの電流制御や交流周波数制御を行って,モータの発生トルクと回転速度を変化させており,また,減速時などの回生発電時には,6 個のダイオードによって,三相全波整流を行って HV バッテリに充電している。

ジェネレータ用のブリッジ回路では,HV バッテリに充電するときやモータに電力を供給するときには,エンジンによりジェネレータを回して発生した三相交流を6個のダイオードで全波整流を行っており,また,エンジン始動時には,HV バッテリの直流を三相交流に変換させてジェネレータを駆動してエンジンを回し,スタータの役割をさせている。

インバータはハイブリッド(モータ)ECU に対し,電流制御に必要な出力電流値などの信号を送っている。

なお,インバータは,モータやジェネレータと共に,エンジンとは別の専用ラジエータによる冷却水経路により冷却されている。

前輪とモータは,ギヤとチェーンを介して常時機械的につながっている方式のため,駆動力の遮断手段として, N レンジのときは,インバータのパワー・トランジスタをすべて OFF にして,モータとジェネレータの作動を強制的に停止させている。これをシャット・ダウンといい,車軸での駆動力はゼロになる。この状態では,エンジンが回転していても,ジェネレータは空回りして発電しないため,バッテリに充電は行われない。

(2)インバータからコンバータへ入力された電圧は,トランジスタ・ブリッジ回路で交流に変換し,トランスで低電圧に降圧した後,整流及び平滑を行いDC12Vに変換している。

適切

(3)モータ内に発生した回転磁界を,ロータの回転位置,速度に合わせて制御することにより,ロータに配置された永久磁石が回転磁界の作用を受け,トルクが発生する。

適切

モータの作動原理( AC サーボ・モータ)

ステータ・コイルに,図 のように三相に交流電流を流すと,モータ内に回転磁界が発生する。

この回転磁界をロータの回転位置,速度に合わせて制御することにより,ロータに配置された永久磁石が回転磁界の作用を受け,トルクが発生する。

発生するトルクは,電流の大きさにほぼ比例し,回転速度は交流電流の周波数で制御する。また,回転磁界とロータの磁石の角度を適切に制御することにより,高回転まで高いトルクを効率よく発生させることができる。

 

(4)ブレーキECUは,油圧調整部にある増圧,減圧用のリニア・ソレノイド・バルブの開度を制御して,ホイール・シリンダ油圧を調圧し,制動力要求値のうち回生ブレーキによる制動力の不足分を油圧ブレーキで補っている。

適切

回生協調制御の作動

ブレーキ・ペダルを踏むと,マスタ・シリンダに油圧が発生する。

このマスタ・シリンダ油圧を圧力センサで検出し,ブレーキ ECU が制動力要求値を算出する。

ブレーキ ECU は,算出した制動力要求値のうち,より多くのエネルギを回収できるような回生ブレーキ作動要求値をハイブリッドECU に送り,ハイブリッドECU は,モータを発電機として作動させ,回生制動を行っている。

ブレーキ ECU は,油圧調整部にある増圧,減圧用のリニア・ソレノイド・バルブの開度を制御して,ホイール・シリンダ油圧を調圧し,制動力要求値のうち,回生ブレーキによる制動力の不足分を油圧ブレーキで補っているが,油圧ブレーキと回生ブレーキによる制動力の分担は,車速などにより変化させている。

また,急制動によってタイヤのロックを検出した場合は,回生協調制御を制限し,ABS 制御を行う。

制動時には,マスタ・シリンダとホイール・シリンダ間の油圧経路が切り替え弁により遮断されているため,図に示すようにブレーキ・アクチュエータ内にあるストローク・シュミレータが,ブレーキ・ペダルの踏力に応じたペダル・ストロークと反力を発生させている。また,切り替え弁は,システムに異常が発生したときなどに油圧経路の切り替えを行い,最低限の制動力を確保する働きをしている。

よって答えは1