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SRSエア・バッグ・システムの点検に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)エア・バッグ・システムの電気回路点検は,誤作動を防止するために,最小レンジの通電電流値が10mA以下のデジタル式サーキット・テスタを用いる。 |
(2)エア・バッグの脱着・点検などの作業を行う場合は,エア・バッグの正面で行わないで,側面で行う。 |
(3)エア・バッグ・システムのワイヤ・ハーネスに損傷が生じた場合は,ハンダ付けなどの修理を行わず新品と交換する。 |
(4)エア・バッグ・システムの部品を取り外す場合,誤作動を防止するために,イグニション・スイッチをOFFにし,バッテリ端子を外してから1分以上経過後実施する。 |
解く
(1)エア・バッグ・システムの電気回路点検は,誤作動を防止するために,最小レンジの通電電流値が10mA以下のデジタル式サーキット・テスタを用いる。 適切 |
(2)エア・バッグの脱着・点検などの作業を行う場合は,エア・バッグの正面で行わないで,側面で行う。
適切
エア・バッグの脱着,点検,交換などの作業をする場合は,エア・バッグの正面で行わないで,図の〇印の位置(側面)で行うこと。万一,エア・バッグが作動した場合,身体に衝撃が加わり重大な傷害を引き起こす原因となる。
(3)エア・バッグ・システムのワイヤ・ハーネスに損傷が生じた場合は,ハンダ付けなどの修理を行わず新品と交換する。 適切 |
(4)エア・バッグ・システムの部品を取り外す場合,誤作動を防止するために,イグニション・スイッチをOFFにし,バッテリ端子を外してから1分以上経過後実施する。 |
不適切
よって答えは(4)
整備 SRSエア・バッグ・システム整備上の注意事項 (1)システム全般 エア・バッグ・システム(運転席・助手席用工ア・バッグ,プリテンショナ・シート・ベルト及びサイド・エア・バッグ)の点検及び整備作業は,正しい手順・方法で作業を行わなかった場合,誤作動をしてけがをしたり,システムが正常に機能しなくなることがあるため,実施する前には必ず次の事項に従って作業を進めなければならない。 ①工ア・バッグ・システムの整備作業を行う場合は,イグニション・スイッチをOFFにし,バッテリ端子を外してから3分以上経過後実施すること(故障診断での特別な指示は除く)。これは,イグニション・スイッチをOFFにした後,3分以内はSRS・ECC及び側面衝突センサは作動しているので,衝撃が加わると,エア・バッグなどが展開する可能性があるためである。また,作業が終了するまでは,安全のためにパッテリ端子を接続しないこと。このシステムのメモリ機能は,イグニション・スイッチをOFF又はバッテリ端子を外してもメモリ内容は消去されないためである。 ②エア・バッ-グ・システムの部品を取り外す場合(カプラの接続外しも含む)は,誤作動による事故を防止するため,事前にエア・バッグ・カプラの接続を外すこと。(後述のエア・バッグ,プリテンショナシート・ベルト及びサイド・エア・バッグのカプラの接続外しの項参照) ③SRS・ECU又は側面衝突センサを車体から取り外す場合は,下記項目を確認してから作業を行うこと。 i)イグニション・スイッチをOFFにし.パッテリ端子を外してから3分以上経過していること(上記①参照)。 ⅱ)工ア・バッグ又はサイド・エア・バッグのカプラが外れていること(上記②参照)。 ⅲ)インパクト・レンチを使用しないこと。また,SRS,ECU又は側面衝突センサに衝撃を与えないこと。側面衝突センサはわずかな衝撃を与えただけで,サイド・エア・バッグが展開する構造になっているため,特に注意すること。 ④エア・バッグ・システムの部品を交換する場合は,指定された仕様の新品と交換すること。 ⑤エア・バッグ・システムの部品は,落下させないこと。また,取り付ける前に,へこみ,割れ,変形がないか点検し,異常があれは交換すること。 ⑥エア・バッグ・システムの点検は,最小レンジの通電電流値が10mA以下のデジタル・サーキットテスタを使用すること。通電電流値が10mAを超えるテスタを使用すると,回路の故障又はエア・バッグ暴発の原因となる。 ⑦助手席エア・バッグの上に物(テスタ,工具など)を置いて作業をしないこと。
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ワイヤ・ハーネス
①エア・バッグ・システムのワイヤ・ハーネス及びカプラは,SRS警告灯表示回路を除き,黄色に表示され,他のシステムのワイヤ・ハーネス及びカプラ
と区別しているので各メーカのサーピス・マニュアルの注意事項に従って作業すること。
②損傷,切損が生じた場合,ハンダ付けなどの修理を行わず,必ず,新品と交換する。
③車両側面に衝撃を受けたとき,衝突センサが取り付けてあるサイド・シル(外・内側面)に変形が発生した場合,又は,シートに変形が確認された場合は,
SRSフロア・ハーネスを新品に交換する。
④かみ込んだり,他の部品と千渉したりしないように取り付けること。
⑤アース部は汚れ,塗装の付着がないことを確認してボデーに確実に取り付けること。アース不良は,エア・バッグ・システムの作動不良の原因となるの
で十分注意すること。
⑥SRSフロア・ハーネスの品番ラベルは,車両の右側に付いているため,ハーネスを交換する場合は,品番ラベルの位置を確認して取り付けること。