SRSエア・バッグに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1)エア・バッグ・システムの電気回路の点検には,通電時間が5秒以下であれば通電電流値が10mAを超えるアナログ式のサーキット・テスタを使用することができる。
(2)SRSエア・バッグの車載故障診断装置で,現在故障と一過性の故障の異常検出が重なった場合には,現在故障のみのダイアグノーシス・コードを表示する。
(3)電気式のエア・バッグを強制的に展開させる車内作動処理を行う場合,静電気での誤作動を防止するため,作動用ハーネスのバッテリ側の端部は,バッテリ端子に接続する直前までより合わせて(導通させて)おく。
(4)衝突などにより,エア・バッグが作動し,修理のためにエア・バッグの交換を行う場合であっても,SRS・ECUを交換する必要はない。
解く
(1)エア・バッグ・システムの電気回路の点検には,通電時間が5秒以下であれば通電電流値が10mAを超えるアナログ式のサーキット・テスタを使用することができる。
不適切
エア・バッグ・システムの点検は,最小レンジの通電電流値が10mA以下のデジタル・サーキット・テスタを使用すること。通電電流値が10mAを超えるテスタを使用すると,回路の故障又はエア・バッグ暴発の原因となる。
(2)SRSエア・バッグの車載故障診断装置で,現在故障と一過性の故障の異常検出が重なった場合には,現在故障のみのダイアグノーシス・コードを表示する。
不適切
ダイアグノーシス・コードの表示例
①異常コードの出力は,最新故障を含めて,それ以前に発生した故障のトータル3種までを,図のように表示する。
②現在故障がある場合は,異常コードは繰り返し図(1)のように表示される。
③一過性の故障があった場合は,図(2)のようにダイアグノーシス・コードを一度表示した後に連続点灯状態となる。
④現在故障と一過性の故障が重なった場合には,図(1)のように両方のコードを現在故障として表示する。
⑤正常な(異常コードがない)場合は,図(3)のように初期点灯後一度消灯(3秒間)し,以後連続点灯状態となる。
⑥ダイアグノーシス・コードを表示せす,図(4)のように連続点灯状態(消えない状態)となる場合は,SRS警告灯回路などに異常がある。
(3)電気式のエア・バッグを強制的に展開させる車内作動処理を行う場合,静電気での誤作動を防止するため,作動用ハーネスのバッテリ側の端部は,バッテリ端子に接続する直前までより合わせて(導通させて)おく。
適切
作動
①周囲への音を小さくするため,ステアリング・ホィール上に毛布等を掛ける。
(注)ガラスが傷付いている場合やサッシュレス・ドアのタイプは,割れる恐れがあり,危険なので図のようにボデー・カバーを掛ける。
②バッテリを,図のように車両から5m以上離れた場所に置く。
③より合わせたビニール平行線をほぐし,図のように各々の線をバッテリ端子に接続し,作動させる。
(注)
・作動前に大きな声で周囲に注意を促す。
・作動時発生する熱により,毛布が焦げたりすることがあるので,毛布は直ちに取り除き,燃え出さないように十分注意する。
(4)衝突などにより,エア・バッグが作動し,修理のためにエア・バッグの交換を行う場合であっても,SRS・ECUを交換する必要はない。
不適切
SRS・ECU及び側面衝突センサ
①イグニション・スイッチON時又はイグニション・スイッチOFF後3分以内にSRS・ECU及び側面衝突センサに衝撃を与えないこと。SRS・ECU内部及び側面衝突センサには,衝撃を感知するセンサが内蔵されており,SRS・ECUのパックアップ電源回路により,イグニションスイッチOFFでも,3分以内は工ア・バッグ及びサイド・エア・バッグが展開する可能性があるためである。
②SRS・ECU及び側面衝突センサを脱着するときは,インパクト・レンチを使用しないこと。また,その付近に強い衝撃を与えないこと。
③衝突などにより,エア・バッグなどが作動した場合は,SRS・ECUを交換すること。また,サイド・エア・バッグが作動した場合は,SRS・ECUと衝突側の側面衝突センサを交換すること。作動していない場合は,SRS・ECU,側面衝突センサの外優,変形を点検し,それらがある場合は交換すること。
④SRS・ECU及び側面衝突センサは,絶対に分解しないこと。
⑤SRS・ECUの脱着及びSRS・ECUに接続するカプラの取り外しは,イグニション・スイッチをOFFにし,バッテリ端子を外してから3分以上経過後行うこと。
⑥SRS・ECU及び側面衝突センサは,ボデーに規定トルクで取り付けること。
⑦オイル,水,ホコリが付着しないように保管すること。
⑧温度40℃以下,湿度80%以下で結露しない場所に保管すること。
よって答えは(3)