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令和5年3月実施1級小型問題27:SRSエア・バッグ・システム及びロード・リミッタ付きプリテンショナELRシート・ベルトに関する記述

27

SRSエア・バッグ・システム及びロード・リミッタ付きプリテンショナELRシート・ベルトに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)乗員姿勢検知ユニットにおける乗員の有無やサイズの検出では,アンテナ(乗員姿勢検知センサ)から電波を放射する際,乗員の有無で出力電流が増減するため,複数のアンテナからの出力比の差を計算して乗員のサイズを検知しており,乗員がいるときは,いないときと比較して出力電流は大きくなる。

 

(2)プリテンショナ・シート・ベルトは,一定限度を超えた車両の前方向衝突時に作動する構造であるため,衝突条件やシート・ベルト装着条件により,エア・バッグが作動していなくてもプリテンショナ・シート・ベルトだけが作動することもある。

 

(3)プリテンショナ・シート・ベルトのロード・リミッタが作動を開始すると,ロッキング・べースの底付きによりストッパの回転は停止するものの,トーション・バーのねじれ分だけボビンが回転するため,シート・ベルトが繰り出される。

 

(4)サイド・エア・バッグにおいて,側面からの衝突により発生した衝撃力は,側面衝突センサとSRS・ECUに入力され,各々のGセンサで電気信号に変換される。変換された電気信号は,フィルタにより波形整形された後,衝突判定回路に入力される。

 

 

解く

(1)乗員姿勢検知ユニットにおける乗員の有無やサイズの検出では,アンテナ(乗員姿勢検知センサ)から電波を放射する際,乗員の有無で出力電流が増減するため,複数のアンテナからの出力比の差を計算して乗員のサイズを検知しており,乗員がいるときは,いないときと比較して出力電流は大きくなる。

正解

参考

(2)プリテンショナ・シート・ベルトは,一定限度を超えた車両の前方向衝突時に作動する構造であるため,衝突条件やシート・ベルト装着条件により,エア・バッグが作動していなくてもプリテンショナ・シート・ベルトだけが作動することもある。

正解

参考

SRSエア・バッグ・システム及びプリテンショナ・シート・ベルトは,車両の設定限度を超えた前面衝突時,並びに,サイド・エア・バッグ・システムは,車両の側面からの衝突時にセンサが感知しSRSユニットが衝突と判析してインフレータ(ガス発生装置)に点火することにより,ガスを発生させて,図のようにエア・バッグを膨らませたりベルトを巻き取ったりして,運転席乗員や助手席乗員の拘束効果の向上,顔面及び側面(衝撃を受けた側の乗員の主に胸部)の衝撃の緩和を行う装置である。

SRS・ECU

SRS・ECUは,衝突時に発生する澱速度を検知するGセンサ(正面衝突用及び側面衝突用)と正面街突用セーフィング・センサ,インフレータの着火を行う点火回路,バッテリの電圧の低下や衝突時の電源故障に備えて電力を確保する電源回路(バックアップ回路含む),正面・側面衝突信号を衝突判定アルゴリズムによりエア・バッグなどを作動させるべき衝突かどうかを判定する衝突判定回路,システムの異常の有無を自己診断し,絶えす状況を監視して異常が発生した場合、SRS警告灯を点灯させる故障診断回路,故障状況を記憶するメモリ,メモリの内容を出力又は消去するための通信回路などで構成されている。また,SRS・ECUは,SRSエア・バッグ,サイド・エア・パッグ,プリテンショナ・シート・ベルトの作動を制御し衝突時の衝撃の強さを分析して衝突判定性能の知能化を行っている。

前面衝突用の助手席エア・バッグの回路には,図のように高速衝突と判断すると,二つのインフレータに同時点火を行い,中低速の衝突と判断すると,ベルトの装着・非装着や街撃の強さにより,二つ目のインフレータの点火タイミングであるしきい値(設定値)を変えて,二つのインフレータの点火タイミングを制御することによりエア・バッグの圧力を調整しより適切な衝撃緩和効果を得るものが設定されている。

制御基盤

衝突判定付きSRSエア・バッグの制御は,シート・ベルトの着用を検知しシート・ベルトでの乗員の拘束性を確保できる低速時に,図のようにエア・バッグが作動し始める車速を引き上げている。更に,衝突時の衝撃の大きさを検知し助手席エア・バッグの展開を2段点火又は同時点火で制御している。また,シート・ベルト非装着の場合は、運転席・助手席共,衝撃が低・中・高で作動(助手席は司時点火)し極低では作動しない。なお,プリテンショナ・シート・ベルトは,ベルトを装着していない場合,全域で作動しない。

SRSエア・バッグ作動条件

作動する場合

(イ)エア・バッグ(前面衝突作動用)及びプリテンショナ式シート・ベルト

①きわめて厚い固定されたコンクリート壁に,図のように正面から衝突した場合,約20~30km/h以上の速度で作動するようになっている。

②同じ車同士が双方共に,約20~30km/h以上で,図のように正面から衝突した場合に作動する。

③相手(同じ車)が止まっていて真正面から衝突した場合,図のように前述②の約2倍の速度で作動する。ただし衝突する物体及び条件(角度など)により作動条件は異なる。

④エア・バッグは運転席・助手席用を独立して,衝突判定を行う構造であるため,衝突条件やシート・ベルト装着条件により,片側だけ作動することもある。

⑤プリテンショナ・シート・ベルトは,一定限度を超えた車両の前方向衝突時に作動する構造であるため,衝突条件やシート・ベルト装着条件により,エア・バッグが作動していなくてもプリテンショナ・シート・ベルトだけが作動することもある。

 

(3)プリテンショナ・シート・ベルトのロード・リミッタが作動を開始すると,ロッキング・べースの底付きによりストッパの回転は停止するものの,トーション・バーのねじれ分だけボビンが回転するため,シート・ベルトが繰り出される。

不正解

参考

 

ロード・リミッタの作動

前面衝突時では,急激にベルトが繰り出されることにより,図(1)のようにELRのロック機構が作動し,パウルがフレーム・ギヤにかみ込むため,ロッキング・べース及びこれと一体のトーション・バーとボビンがロックする。

ロッキング・べースがロックされた状態で,図(2)のようにベルトに規定の荷重が加わると,トーション・バーがねじられ,ボビンが回転してベルトが繰り出される。

ロッキングべースのねじ上のストッパ(ナット)がボビンと一体(回転方向)で回転しながら,ストッパは,図(3)のようにスライド移動する。

ストッパが図(4)のようにロッキング・ベースに底付きすると,ストッパの回転が停止するため,ボビンの回転も停止し,ベルトの繰り出しが止まる。

(4)サイド・エア・バッグにおいて,側面からの衝突により発生した衝撃力は,側面衝突センサとSRS・ECUに入力され,各々のGセンサで電気信号に変換される。変換された電気信号は,フィルタにより波形整形された後,衝突判定回路に入力される。

正解

参考

サイド・エア・バッグ

側面からの衝突により発生した衝撃力は,図のように側面衝突センサとSRS・ECUに各々入力され,Gセンサで電気信号に変換される。変換された電気信号は,フィルタにより波形整形された後、各々の衝突判定回路に入力され,その回路では,基準となるしきい値と比較し,衝突の作動を判定すると作動信号を出力する。このとき,側面衝突センサ内のセーフィング・センサが衝突を判定していると,点火回路に電流が流れてサイド・エア・バッグが作動する。

助手席側においては,シート内部に装備された乗員姿勢検知センサによって乗員の乗車状態を常時検出し,乗員姿勢検知ECUによって衝突時の作動の可否を判断している。その信号は,SRS・ECUの衝突判定回路に送られる。もし乗員姿勢検知ECUが不作動と判断している場合は,例え,衝突が起こっても作動しない。

よって答えは 3