28
エアコンに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1) R134a(HFC134a)のガス漏れの点検には,ハライド・トーチ式のガス検知器は絶対に使用しないこと。
(2) コンデンサの冷却に用いられている電動ファンの回転速度は,一般に室内温度に応じてECUが制御している。
(3) リヒート方式のエアコンは,ヒータ・コアを通った温風がすべてエバポレータを流れるようになっており,温度調整はヒータ・コアに流れるエンジン冷却水の流量を変化させて行う。
(4) R-1234yf(HFO-1234yf)は,温室効果ガスとして地球温暖化に影響することから,代替フロンとして,地球温暖化係数が極めて低いR134a(HFC134a)が欧州より利用され始めた。
解く
(1) R134a(HFC134a)のガス漏れの点検には,ハライド・トーチ式のガス検知器は絶対に使用しないこと。
適切
(2)配管接続部の点検
配管接続部がコンプレッサ・オイルで汚れているかを目視で点検する。もし、コンプレッサ・オイルで汚れている場合は、その部分での冷媒漏れが考えられるので、ガス検知器(注参照)などで冷媒漏れの有無を確認する。漏れがあれば接続部の増し締めを行い、作業後ガス検知器で再確認をしておく。
なお、配管の増し締めは、締め過ぎないよう規定トルクで締め付ける。
(注)R134aのガス漏れの点検には、ハライド・トーチ式のガス検知器は絶対に使用しないこと。この方式の検知器は、塩素との反応を利用したもので、塩素を含まないR134aはガス漏れを検知できないばかりでなく、吸い込むとR134aを分解して有毒物質を発生させる。
(2) コンデンサの冷却に用いられている電動ファンの回転速度は,一般に室内温度に応じてECUが制御している。
不適切
コンデンサは、コンプレッサから圧送された高温・高圧のガス状冷媒を冷却して液状冷媒にするためのもので、図のようにチューブとフィンで構成され、ラジエータ前面に取り付けられている。高温・高圧の冷媒はチュープ内を通る間に冷却されて液化するようになっている。
また、冷房性能の向上を図るために、図に示した従来からある冷凍サイクルにおいて別々に設置していたレシーバとコンデンサを一体化させ、レシーバのあとにサブクール部を設けたものがある。
このコンデンサは、一般にサブクール式と呼ばれ、図のようにコンデンサ部(凝縮部)、レシーバ部(気液分離部)、サブクール部(過冷却部)で構成されており、冷媒はコンデンサ部、レシーバ部、サブクール部の順に通過し、コンデンサ部で一部が液化された後に、レシーバ部でガス状冷媒と液状冷媒に分離され、液状冷媒がサプクール部に送られる。サブクール部で液状冷媒を更に冷却することで冷房性能の向上を図っている。
コンデンサの冷却には、一般的に電動ファンが用いられ、ファンの回転速度は、冷凍サイクル内の圧力、あるいは、エンジンの冷却水温度に応じてECUが2~3段階に制御しているものが多い。
(3) リヒート方式のエアコンは,ヒータ・コアを通った温風がすべてエバポレータを流れるようになっており,温度調整はヒータ・コアに流れるエンジン冷却水の流量を変化させて行う。
不適切
リヒート方式
リヒート方式は、図のように、エバポレータを通った冷風が全てヒータ・コアに流れるようになっており、温度調整はヒータ・コアに流れるエンジン冷却水の流量をウォータ・バルブによって変化させることで、吹き出し温度の調整を行っている。
(4) R-1234yf(HFO-1234yf)は,温室効果ガスとして地球温暖化に影響することから,代替フロンとして,地球温暖化係数が極めて低いR134a(HFC134a)が欧州より利用され始めた。
不適切
整備
エアコンの整備は、温水回路、冷凍回路、空気回路及び制御回路に分けて行うが、特に冷凍回路の機能部品の整備は、特殊な技術と工具、測定器が必要であり、不用意に取り外して整備を行うと、装置自体を損傷するばかりでなく、他の機能部品にまで害を及ばしたり、場合によっては危険を伴うこともあるので十分に注意する。
エアコンの冷媒に使用されていたR12(CFC12)などの特定フロンは、大気中に排出されると成層圏のオゾン層を破壊し、その結果、有害な紫外線が増加して人の健康や生態系への悪影響が懸念されることから、法律によりR12の生産が禁止され、代替フロンとしてオゾンの破壊がないR134a(HFC134a)が生産・使用されるようになった。しかしながら、温室効果ガスとして地球温暖化に影響することから、R134aの代替冷媒としてオゾンの破壊がなく、地球温暖化係数が極めて低いR-1234Yf(HFO-1234Yf)が欧州より利用され始めた。また、その他の代替冷媒として同様の効果があるCO2を利用した車両も一部にある。
よって答えは(1)