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自動車整備士資格試験を解く

平成14年実施1級小型問題:騒音・振動に関する故障診断の対処方法

騒音・振動に関する故障診断の対処方法として、不適切なものは次のうちどれか。 

 

(1)高速走行時などに,ステアリング・ホイールや座席が“ブルブル"と上下振動したので,シェイクと診断し,ほぼタイヤが振動源であると考えられるためステアリング・ホイールの振動を測定した。

 

(2)停車時にエンジン・レーシングしたとき,特定のエンジン回転速度で“ボー”,“ウォーン”と耳に圧追感のある連続音がしたので,こもり音と診断し,エンジンや補機類に共振、アンバランス又は共鳴を生じるところがないか点検した。

 

(3)高速道路を走行中,特定の車速になると“ウォーン ウォーン”という波打つ音が発生したので,ビート音と診断し,エンジンやプロペラ・シャフトなどで共振やトルク変動を生じる箇所を点検した。

 

(4)高速走行時などに比較的限られた車速で発生し,ステアリング・ホイールが回転方向に振動したので,フラッタと診断し,プロペラ・シャフトを点検した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解く

(1)高速走行時などに,ステアリング・ホイールや座席が“ブルブル"と上下振動したので,シェイクと診断し,ほぼタイヤが振動源であると考えられるためステアリング・ホイールの振動を測定した。

適切

シェイク

中・高速走行時のボデー,ステアリング,シートの上下・左右振動

5~30Hz

・路面の凹凸

・タイヤのアンバランス,ノン・ユニフォミティ

・ホイールの偏心など

・エンジン剛体振動

・サスペンションの共振

・ボデー,ステアリング,シートの共振       

 

 

(2)停車時にエンジン・レーシングしたとき,特定のエンジン回転速度で“ボー”,“ウォーン”と耳に圧追感のある連続音がしたので,こもり音と診断し,エンジンや補機類に共振、アンバランス又は共鳴を生じるところがないか点検した。

適切

こもり音の主な原因

振動強制力(②及び③はプロペラシャフト関係)

振動伝達部位

①エンジンの回転速度,往復部分のアンバランスやトルク変動

②プロペラシャフトのジョイント角

 によるトルク変動        →1回転に2回発生

                  (プロペラシャフト二次成分)

③プロペラシャフトのアンバランス →1回転に1回発生

                  (プロペラシャフト一次成分)

クラッチカバー及びディスクのアンバランス

⑤排気振動

⑥吸気振動

⑦タイヤのユニフォミティ不良 →(1回転で何か所もある)

①駆動系のねじり振動の共振

②駆動系の曲げ共振

③エキゾーストパイプの共振

④エンジン補機類の共振

⑤リヤサスペンション系の共振

⑥ボデー外板の共振

 

 

低速こもり音

低速(~50㎞/h)走行時のこもり音

30~60Hz

・エンジンのトルクの変動

・吸排気音

・エンジン,サスペンションのワインドアップ共振

・車室の気柱共振

 

(3)高速道路を走行中,特定の車速になると“ウォーン ウォーン”という波打つ音が発生したので,ビート音と診断し,エンジンやプロペラ・シャフトなどで共振やトルク変動を生じる箇所を点検した。

適切

 

こもり音,ビート音

こもり音は,特定のエンジン回転速度で発生し,”ボー””ウォーン”と耳に圧迫感がある連続音で,ビート音は特定の車速で発生し,”ウォーン ウォーン”と波打つ感じの音である

 

発生するケースにより,次の三つに分類できる。

①停車時,エンジン・レーシングで発生

停車状態で発生することから,エンジン本体や,補機類に共振やアンバランスを生じる原因があるかを点検する。

②駆動時のみに発生

トルク変動が不具合原因と判断される。

駆動時の伝達トルクが大きい状態で現象が発生することから,エンジン,プロペラ・シャフトなどに,共振やトルク変動を生じる原因があるかを点検する。

③惰行時,駆動時に発生

惰行時の伝達トルクが小さい状態で現象が発生することから,トルク変動による原因とは考えにくいため,プロペラ・シャフト,ディフアレンシャルなどにアンバランスを生じる原因があるかを点検する。

 

(4)高速走行時などに比較的限られた車速で発生し,ステアリング・ホイールが回転方向に振動したので,フラッタと診断し,プロペラ・シャフトを点検した。

不適切

適切な内容に訂正

高速走行時などに比較的限られた車速で発生し,ステアリング・ホイールが回転方向に振動したので,フラッタと診断し,タイヤのアンバランスを点検した。

 

フラッタ

中・高速走行時のステアリ

ング・ホイールの回転

方向振動

10~15Hz

・タイヤのアンバランス,

ノン・ユニフォミティ

・路面の凹凸

・フロント・サスペンション

からステアリング系までの共振

 

よって答えは(4)

 振動現象まとめ

現象名

内容

振動周波数

振動源(振動強制力)

共振系

乗り心地

凹凸路走行時の車両全体の

振動

1~15Hz

・路面の凹凸

・エンジン剛体振動

・ボデー・サスペンションの          共振

しゃくり

アクセル開・閉時の車両

全体の前後振動

~10Hz

・エンジン・トルク急変

・駆動系のねじり共振

サージ

定常走行時の車両全体の

前後振動

~10Hz

・エンジン・トルク変動

・駆動系のねじり共振

シェイク

中・高速走行時のボデー,

ステアリング,シートの

上下・左右振動

5~30Hz

・路面の凹凸

・タイヤのアンバランス,ノン・ユニフォミティ

・ホイールの偏心など

・エンジン剛体振動

・サスペンションの共振

・ボデー,ステアリング,

シートの共振       

シミ―

中・高速走行時のステアリ

ング・ホイールの回転

方向振動

5~10Hz

・タイヤのアンバランス,

ノン・ユニフォミティ

・路面の凹凸

・フロント・サスペンション

からステアリング系までの共振

 

フラッタ

中・高速走行時のステアリ

ング・ホイールの回転

方向振動

10~15Hz

・タイヤのアンバランス,

ノン・ユニフォミティ

・路面の凹凸

・フロント・サスペンション

からステアリング系までの共振

エンジン・ク

ランキング時

の振動

エンジンON・OFF及び

アイドリング時のボデー

全体の上下・前後振動

5~30Hz

・エンジン始動トルクの変動

・エンジン・トルクの変動

・エンジン剛体振動

(ローリング)

・排気管の曲げ共振

・カウル,ステアリング系の共振

アイドル回転

時の振動

エンジンON・OFF及び

アイドリング時のボデー

全体の上下・前後振動

10~50Hz

・エンジン始動トルクの変動

・エンジン・トルクの変動

・エンジン剛体振動

(ローリング)

・排気管の曲げ共振

・カウル,ステアリング系の共振

ブレーキング

時の振動

制動時の,ボデー,ステア

リングの上下・前後振動

5~30Hz

・ブレーキ・ドラム,ロータの振れ・偏心など

・エンジン剛体振動

・サスペンションの共振

・ボデー,ステアリング,

シートの共振 

エンジン・ワイ

ンド・アップ時

の振動

加減速時のボデーの上下

振動

8~12Hz

・駆動トルク

・エンジン剛体振動

ジャダ

クラッチ接続時のボデー

全体の前後振動

10~20Hz

クラッチ伝達トルクの

変動

・駆動系のねじり共振

クラッチ以降)

発進時の振動

発進時のボデー,シート,

ステアリングの上下・前後

振動

30~60Hz

・エンジン・トルクの変動

クラッチで生ずる回転変動

・プロペラ・シャフトの二次偶力

・ジョイント角による二次偶力

ドライブ・シャフトのスラスト力

・エンジン剛体振動

・プロペラ・シャフトのセンタ・マウントの共振

・ボデーの曲げ共振

ペダル類の

ビビリ振動

アクセル,クラッチ・ペ

ダルの振動

20~200Hz

・エンジン本体

・ペダルの共振

・リンク系の共振

・駆動系の曲げ共振

シフトレバーの

ビビリ振動

シフトレバーの振動

20~200Hz

・エンジン本体

・駆動系の曲げ共振

・シフト・レバーの共振

低速こもり音

低速(~50㎞/h)走行

時のこもり音

30~60Hz

・エンジンのトルクの変動

・吸排気音

・エンジン,サスペンションの

ワインドアップ共振

・車室の気柱共振

中速こもり音

50~80㎞/hで発生する

こもり音

60~100Hz

・エンジンのトルク変動

・エンジンの回転荷重,往復荷重の二次慣性力

・ジョイント角によるトルク変動

・吸・排気音など

・プロペラ・シャフトのアンバランス

・駆動系の曲げ・ねじり共振

・サスペンションの共振

・排気管の曲げ共振

・ボデー,フロアの膜共振

・車室の気柱共振

高速こもり音

80㎞/hで発生するこもり

100~200Hz

・エンジンのトルク変動

・エンジンの回転荷重,往復荷重の二次慣性力

・ジョイント角によるトルク変動

・吸・排気音など

・プロペラ・シャフトのアンバランス

・駆動系の曲げ・ねじり共振

・サスペンションの共振

・排気管の曲げ共振

・ボデー,フロアの膜共振

・車室の気柱共振

・エンジン補器類の共振

・ボデー骨格系の共振

エンジン・

ノイズ

車内で発生する高周波の

200Hz~2kHz

・エンジンの振動・騒音

・吸・排気音

・ファン音など

・エンジン弾性共振

・ボデー・パネルの共振

・ブラケット類の共振

ディファレン

シャルうなり

ファイナル・ギヤのかみ

合いによる”クー音”

400Hz~

1.5kHz

・ファイナル・ギヤのかみ合い

トランスミッション・ケースの弾性共振

・エンジン・サポートメンバの弾性共振

・プロペラ・シャフト,ドライブ・シャフトの弾性共振

トランスミッ

ションうなり

トランスミッション・ギヤ

のかみ合いによる”クー音”

400Hz~

3kHz

トランスミッション・ギヤのかみ合い

トランスミッション・ケースの弾性共振

・エンジン・サポート・メンバーの弾性共振

・プロペラシャフト,ドライブ・シャフトの弾性共振

風切り音

高速走行時に発生する

”ザー音”

500Hz~

5kHz

・ボデー外部の風の乱れ

・ドアの隙間などからの室内空気の出入り

 

・ピラー・アンテナの弾性共振

・フロント・パネルの弾性共振

ドスン音

加減速,シフト時に発生

する衝撃音

20~50Hz

・エンジンのトルク変動

・駆動系のトルク変動

・サスペンションのワインドアップ共振

・ボデーの弾性共振

ロード・ノイズ

凹凸路走行時の”ゴー音”

30~60Hz

又は

80~300Hz

・路面の凹凸

・タイヤの弾性共振

・サスペンション系の共振

・ボデーの弾性共振

・車室の弾性共振

ハーシュネス

路面の継ぎ目,凹凸部を

通過する時のショックを

伴う音

30~60Hz

・路面の凹凸

・タイヤの弾性共振

・サスペンションの共振

・ボデーの気柱共振

タイヤのパタ

ーンノイズ

中・高速走行時のザー音

100~5kHz

・タイヤ・パターンのエア・ポンピング作用

・タイヤ弾性共振

・サスペンションの共振

車外騒音

自動車から発生する音

20Hz~5kHz

・エンジン音,吸・排気音

・ファン音

・タイヤ・パターンノイズ