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高熱価型スパーク・プラグに関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
(1)低熱価型に比べて碍子脚部が長い。
(2)低熱価型に比べて中心電極の温度が上昇しやすい。
(3)低熱価型に比べてガス・ポケットの容積が小さい。
(4)ホット・タイプと呼ばれる。
解く
(1)低熱価型に比べて碍子脚部が長い。
(2)低熱価型に比べて中心電極の温度が上昇しやすい。
(3)低熱価型に比べてガス・ポケットの容積が小さい。
(4)ホット・タイプと呼ばれる。
よって答えは(3)
スパーク・プラグの熱価
スパーク・プラグの熱価(ヒート・レンジ)とは、スパーク・プラグが受ける熱を放熱する度合をいい、この熱を放熱する度合が大きいプラグを高熱価型(コールド・タイプ、冷え型)プラグ、熱を放熱する度合が小さいプラグを低熱価型(ホット・タイプ、焼け型)プラグと呼んでいる。
スパーク・プラグには、使用上、下限温度として自己清浄温度があり、上限温度として過早着火温度という制約があって、中心電極の温度が約500~
800℃の間にあって初めてその機能が発揮される。
スパーク・プラグは、図のような温度特性をもっており、低熱価型プラグは低速回転で自己清浄温度に達し、過早着火温度に達する回転速度も低く、
高熱価型は、逆にこの特性が高速側に移動した形になっている。理想的には、低速から高速までのあらゆる運転条件に耐えることが望ましいが、広範囲の使用条件に合致させることは難しいので、標準的な使用範囲での熱特性を可能な限り広くするために、図のように中心電極に銅を揷入して熱伝導を高めるなどの改良が施されている。
(3)熱価を左右する要因
スパーク・プラグの放熱及びその割合は、図のような経路で行われる。
自己清浄温度が約450℃、過早着火温度が約950℃というのは、図に示すA部の温度のことである。
スパーク・プラグにとって重要なのは、このA部の温度で、これはシリンダ内の燃焼ガスの温度とスパーク・プラグの設計によって左右される。
プラグの中心電極の温度は、図のような経路で外部に逃げる熱の絶対量によって変わるが、これに関係ある要因として、次の四つが考えられる。
・碍子及び電極の熱伝導率
・火炎にさらされる部分の表面積
・ 外気にさらされる部分の表面積
・ガス・ポケットの形状・容積
高熱価型プラグと低熱価型プラグを比べてみると、図のように碍子脚部の形状(丁の長さ)が異なっている。
高熱価型プラグは、図(1)のように碍子脚部が短くなっており、火炎にさらされる部分の表面積及びガス・ポケットの容積が小さく、また、碍子脚部からハウジングに至る放熱経路が短くなっているので放熱がよく、中心電極の温度は上昇しにくい。
これに対して、低熱価型プラグは、図(3)のように碍子脚部が長く、火炎にさらされる部分の表面秋及びガス・ポケットの容積が大きく、また、放熱経路が長いので放熱が少ない。
したがって、低熱価型プラグは、中心電極の温度が上昇しやすく、高熱価型に比べて低速回転でも自己清浄温度に達しやすい。