Lジェトロニック方式エンジンの不具合点検において,暖機後無負荷アイドリング状態におけるO2センサ信号電圧の点検結果と故障診断に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1)O2センサ信号電圧が1V付近で一定の場合,「エア・フロー・メータの信号電圧のHi側への特性ずれ」が考えられ,「エア・フロー・メータのアース線の接触抵抗増大」も考えられる。
(2)O2センサ信号電圧が0V付近で一定の場合,「プレッシャ・レギュレータ不良による燃圧の低下」は考えられるが,「エア・フロー・メータの信号線の接触抵抗増大」は考えられない。
(3)O2センサ信号電圧が1V付近で一定の場合,「プレッシャ・レギュレータのダイヤフラムの破れ」が考えられ,「フューエル・ポンプのフィルタの詰まり」も考えられる。
(4)O2センサ信号電圧が0V付近で一定の場合,「水温センサの信号電圧のHi側への特性ずれ」は考えられない。
解く
(1)O2センサ信号電圧が1V付近で一定の場合,「エア・フロー・メータの信号電圧のHi側への特性ずれ」が考えられ,「エア・フロー・メータのアース線の接触抵抗増大」も考えられる。
エア・フロー・メータの信号電圧のHi側への特性ずれ
空燃比小=濃い=1V付近 |
エア・フロー・メータのアース線の接触抵抗増大
下図のような電圧になり,極端な例だが,電源電圧が入力され,空燃比は小さくなり,O2センサ信号電圧が1V付近で一定になる。 |
適切
(2)O2センサ信号電圧が0V付近で一定の場合,「プレッシャ・レギュレータ不良による燃圧の低下」は考えられるが,「エア・フロー・メータの信号線の接触抵抗増大」は考えられない。
プレッシャ・レギュレータ不良による燃圧の低下
空燃比大=薄い=0V付近で一定 |
エア・フロー・メータの信号線の接触抵抗増大
信号線に接触抵抗を追加して考えると,正常な信号電圧は分圧されて低下するので,実際の空気量より少ない量の信号電圧がが入力される。 よって空燃比が大きくなり,O2センサ信号電圧が0V付近で一定になる。 |
不適切
(3)O2センサ信号電圧が1V付近で一定の場合,「プレッシャ・レギュレータのダイヤフラムの破れ」が考えられ,「フューエル・ポンプのフィルタの詰まり」も考えられる。
プレッシャ・レギュレータのダイヤフラムの破れ
通常より燃圧が高くなる。 ダイヤフラムの破れから燃料が吸われ,通常より空燃比が小さくなる。 =0V付近で一定 |
フューエル・ポンプのフィルタの詰まり
燃料の絶対量が少なくなる=空燃比大 =0V付近で一定 |
不適切
(4)O2センサ信号電圧が0V付近で一定の場合,「水温センサの信号電圧のHi側への特性ずれ」は考えられるが,「水温センサのアース線の接触抵抗増大」は考えられない。
水温センサの信号電圧のHi側への特性ずれ
ECU内抵抗との分圧電圧が信号電圧になるので,Hi側への特性ずれは,水温センサの抵抗が大きくなるので水温が低い状態である。 燃料は増量補正がかかるので空燃比は小さくなる。よってO2センサ信号電圧が1V付近で一定になる。 |
水温センサのアース線の接触抵抗増大
接触抵抗が水温センサの抵抗に上乗せされて信号電圧となるので,水温センサの信号電圧のHi側への特性ずれとなる。 よってO2センサ信号電圧が1V付近で一定になる。 |
不適切
よって答えは 1