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自動車整備士資格試験を解く

令和4年3月実施1級小型問題17:EPS・ECUの制御に関する記述

EPS・ECUの制御に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ダンピング制御は,ステアリングの操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れ,その結果モータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じて回生電流を制御している。

 

(2)アンローダ制御は,ステアリングを一杯に切った状態にしたときのモータ電流を低下させてシステムを保護している。

 

(3)イナーシャ制御は.モータに流すべース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し停止時にはトルクが継続する影響を低減している。

 

(4)モータ出力制限制御は,据え切りを連続で行うなどのステアリング操舵を極端に繰り返したときに,モータ電流を低下させ,システムを保護しており,この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。

 

 

解く

 

(1)ダンピング制御もどり制御は,ステアリングの操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れ,その結果モータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じて回生電流を制御している。

 

不適切

 

EPSECU制御

 

 

制御

内容

基本制御

べース制御

モータを駆動する基本になる,べース電流の制御である。

べース電流は,操舵トルクと車速により算出しており,操舵力を決定するものである。車速によってモータ・トルク特性を切り替えることにより,路面反力の伝わり方や力の立ち上がりなどの感覚も制御している。

 

イナーシャ制御

モータの回転速度により変化する慣性力を制御するものである。

操舵トルク,車速及びステアリング操舵速度により行っており,べース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減させている。

 

ダンピング制御

ステアリング・ホイールに伝わる小刻みな振動を低減させるための制御である。

操舵トルク,車速及びモータ速度により行っており,モータの回転速度に応じてステアリング操作の増速時に減算し,減速時で加算して補助動力特性に制動を与えている。低車速では,もどり特性を良くするためにダンピングを抑えている。

補正制御

もどり制御

もどり制御は,ステアリング操作の減速時に,逆起電力により発生する電流増加を制御するものである。この制御は,モータ速度と車速により行っており,操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れてモータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じて,回生電流を制御し,電流フィードバック制御の精度を向上させている。

 

 

アン口ーダ制御

ステアリングを一杯に切った状態にしたときのモータ電流を低下させ,システムを保護するための制御である。

 

モータ出力制限制御

連続した大電流での発熱からシステムを保護する制御である。

据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときは,モータ電流を低下させ,システムを保護している。

この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。補助動力の復帰は,操舵トルクがゼロ又は,イグニション・スイッチOFFから徐々に始まり,通常の補助動力に戻るのは最長で8分程度必要とする。

フェイルセーフ制御

 

故障などによりEPSに異常が発生したとき,可能な限り制御を行う。EPSが制御を正しく実行できなくなる場合は,安全上の配慮からフェイルセーフとして制御を停止し,補助動力無しのステアリングにするものである。

車載故障診断装置による診断には,システムの電源,各センサ,計算結果,出力電流に対してイグニション・スイッチをONにしたときに行う初期診断と,システム作動中,常に行う常時診断とがある。

異常があれば,警告灯を点灯させ,フェイルセーフ制御により,故障内容によって補助動力の暫定継続,減少,停止を行う。

車載故障診断装置による診断には,警告灯の故障点灯表示,ダイアグノーシス・コードの表示機能も持っている。

正常に回復したときのシステムの復帰も,回復次第直ちに復帰,イグニション・スイッチのONOFFで復帰,ダイアグノーシス・コードの消去後に復帰の3種類があり,ステアリング操作に対する影響度を考慮して設定されている。

 

 

(2)アンローダ制御は,ステアリングを一杯に切った状態にしたときのモータ電流を低下させてシステムを保護している。

 

適切

 

(3)イナーシャ制御は.モータに流すべース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し停止時にはトルクが継続する影響を低減している。

 

適切

 

(4)モータ出力制限制御は,据え切りを連続で行うなどのステアリング操舵を極端に繰り返したときに,モータ電流を低下させ,システムを保護しており,この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。

 

適切

 

よって答えは1