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自動車整備士資格試験を解く

平成19年3月実施1級小型問題20:EPSの制御

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EPSの制御に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)イナーシャ制御は,ベース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させ,モータがもつ回転体の慣性による操舵トルクへの影響を低減する。

(2)もどり制御は,車速によりモータ・トルク特性を切り替え,路面反力の伝わり方やカの立ち上がりなどの感覚も制御している。

(3)ダンピング制御は,据切り操作を極端に繰り返したときにモータ電流を段階的に低下させる。

(4)ベース制御は,ステアリング操作の減速時に,逆起電力により発生する電流増加を制御する。

 

解く

(1)イナーシャ制御は,ベース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させ,モータがもつ回転体の慣性による操舵トルクへの影響を低減する。

適切

(2)もどり制御は,車速によりモータ・トルク特性を切り替え,路面反力の伝わり方やカの立ち上がりなどの感覚も制御している。

不適切

べース制御

(3)ダンピング制御は,据切り操作を極端に繰り返したときにモータ電流を段階的に低下させる。

不適切

モータ出力制限制御

(4)ベース制御は,ステアリング操作の減速時に,逆起電力により発生する電流増加を制御する。

不適切

もどり制御

 

よって答えは1

 

 

基本制御

1.べース制御

べース制御は,モータを駆動する基本になる,べース電流の制御である。

べース電流は,操舵トルクと車速により算出しており,操舵力を決定するものである。車速によってモータ・トルク特性を切り替えることにより,路面反力の伝わり方や力の立ち上がりなどの感覚も制御している。

2.イナーシャ制御

イナーシャ制御は,モータの回転速度により変化する慣性力を制御するものである。

操舵トルク,車速及びステアリング操舵速度により行っており,べース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減させている。

3.ダンピング制御

ダンピング制御は,ステアリング・ホイールに伝わる小刻みな振動を低減させるための制御である。

操舵トルク,車速及びモータ速度により行っており,モータの回転速度に応じてステアリング操作の増速時に減算し,減速時で加算して補助動力特性に制動を与えている。低車速では,もどり特性を良くするためにダンピングを抑えている。

 

補正制御

1.もどり制御

もどり制御は,ステアリング操作の減速時に,逆起電力により発生する電流増加を制御するものである。

この制御は,モータ速度と車速により行っており,操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れてモータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じて,回生電流を制御し,電流フィードバック制御の精度を向上させている。

2.電流フィードバック制御

電流フィードバック制御は,モータに流れる電流を検出し,モータを駆動する口標電流との差を減少させて,モータを精度良く駆動するための制御である。

 

保護制御

1.アンローダ制御

アンローダ制御は,ステアリングを一杯に切った状態にしたときのモータ電流を低下させ,システムを保護するための制御である。

2.モータ出力制限制御

モータ出力制限制御は,連続した大電流での発熱からシステムを保護する制御である。

据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときは,モータ電流を低下させ,システムを保護している。

この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。補助動力の復帰は,操舵トルクがゼロ又は,イグニション・スイッチOFFから徐々に始まり,通常の補助動力に戻るのは最長で8分程度必要とする。