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平成23年3月実施1級小型問題16:EPS・ECUの制御に関する記述

EPS・ECUの制御に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

(1)もどり制御では,ステアリングの操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れ,その結果モータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じた回生電流になるよう制御している。

(2)イナーシャ制御では,モータに流すベース電流をステアリング操作の増速時には減少させ,減速時には増加させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減している。

(3)ダンピング制御では,ステアリング・ホイールに伝わる小刻みな振動を低減するため,ステアリング操作の増速時には加算して補助動力特性に制動を与え,減速時には減算して補助動力特性に制動を与えている。

(4)アンローダ制御では,連続した大電流による発熱からシステムを保護するため,据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときのモータ電流を徐々に低下させており,通常の補助動力に戻るのに最長で8分程度必要とする。

 

 

解く

(1)もどり制御では,ステアリングの操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れ,その結果モータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じた回生電流になるよう制御している。

適切

 

(2)イナーシャ制御では,モータに流すベース電流をステアリング操作の増速時には減少させ,減速時には増加させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減している。

不適切

 

(3)ダンピング制御では,ステアリング・ホイールに伝わる小刻みな振動を低減するため,ステアリング操作の増速時には加算して補助動力特性に制動を与え,減速時には減算して補助動力特性に制動を与えている。

不適切

 

(4)アンローダ制御では,連続した大電流による発熱からシステムを保護するため,据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときのモータ電流を徐々に低下させており,通常の補助動力に戻るのに最長で8分程度必要とする。

不適切

EPS制御

モータを駆動するための基本制御,

操作感覚を良くするための補正制御,

システムを保護する保護制御

 

 

基本制御

1.べース制御

べース制御は,モータを駆動する基本になる,べース電流の制御である。

べース電流は,操舵トルクと車速により算出しており,操舵力を決定するものである。車速によってモータ・トルク特性を切り替えることにより,路面反力の伝わり方や力の立ち上がりなどの感覚も制御している。

2.イナーシャ制御

イナーシャ制御は,モータの回転速度により変化する慣性力を制御するものである。

操舵トルク,車速及びステアリング操舵速度により行っており,べース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減させている。

3.ダンピング制御

ダンピング制御は,ステアリング・ホイールに伝わる小刻みな振動を低減させるための制御である。

操舵トルク,車速及びモータ速度により行っており,モータの回転速度に応じてステアリング操作の増速時に減算し,減速時で加算して補助動力特性に制動を与えている。低車速では,もどり特性を良くするためにダンピングを抑えている。

 

補正制御

1.もどり制御

もどり制御は,ステアリング操作の減速時に,逆起電力により発生する電流増加を制御するものである。

この制御は,モータ速度と車速により行っており,操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れてモータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じて,回生電流を制御し,電流フィードバック制御の精度を向上させている。

2.電流フィードバック制御

電流フィードバック制御は,モータに流れる電流を検出し,モータを駆動する口標電流との差を減少させて,モータを精度良く駆動するための制御である。

 

保護制御

1.アンローダ制御

アンローダ制御は,ステアリングを一杯に切った状態にしたときのモータ電流を低下させ,システムを保護するための制御である。

2.モータ出力制限制御

モータ出力制限制御は,連続した大電流での発熱からシステムを保護する制御である。

据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときは,モータ電流を低下させ,システムを保護している。

この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。補助動力の復帰は,操舵トルクがゼロ又は,イグニション・スイッチOFFから徐々に始まり,通常の補助動力に戻るのは最長で8分程度必要とする。