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一般的なEPSに関して述べた文章の正誤の組み合わせとして,適切なものは次の(1)~(4)のうちどれか。
(イ)モータの発熱のため,EPS・ECUが補助動力を制限している場合,イグニション・スイッチをOFFにすれば,直ちに通常の補助動力に戻る。
(ロ)イナーシャ制御は,ベース電流を制御することで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減させている。
(ハ)車速1km/h以下で,かつ,エンジン回転速度2000min-1以上を3秒継続したときシステムは正常でも,EPS警告灯は点灯する。
(イ)/(ロ)/(ハ)
(1)正/正/誤 |
(2)正/誤/正 |
(3)誤/正/誤 |
(4)誤/誤/正 |
解く
(イ)モータの発熱のため,EPS・ECUが補助動力を制限している場合,イグニション・スイッチをOFFにすれば,直ちに通常の補助動力に戻る。
誤
(ロ)イナーシャ制御は,ベース電流を制御することで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減させている。
正
(ハ)車速1km/h以下で,かつ,エンジン回転速度2000min-1以上を3秒継続したときシステムは正常でも,EPS警告灯は点灯する。
誤
EPS警告灯は,システムが正常でも下記の条件のときに点灯する。
①車速1Km/h以下で,かっ,エンジン回転速度2000min-1以上を3分継続したとき。
②エンジン回転速度500min-1以下で,かつ,車速10Km/h以上を3秒継続したとき。
よって答えは(3)
基本制御
1.べース制御 べース制御は,モータを駆動する基本になる,べース電流の制御である。 べース電流は,操舵トルクと車速により算出しており,操舵力を決定するものである。車速によってモータ・トルク特性を切り替えることにより,路面反力の伝わり方や力の立ち上がりなどの感覚も制御している。 |
2.イナーシャ制御 イナーシャ制御は,モータの回転速度により変化する慣性力を制御するものである。 操舵トルク,車速及びステアリング操舵速度により行っており,べース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減させている。 |
3.ダンピング制御 ダンピング制御は,ステアリング・ホイールに伝わる小刻みな振動を低減させるための制御である。 操舵トルク,車速及びモータ速度により行っており,モータの回転速度に応じてステアリング操作の増速時に減算し,減速時で加算して補助動力特性に制動を与えている。低車速では,もどり特性を良くするためにダンピングを抑えている。 |
補正制御
1.もどり制御 もどり制御は,ステアリング操作の減速時に,逆起電力により発生する電流増加を制御するものである。 この制御は,モータ速度と車速により行っており,操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れてモータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じて,回生電流を制御し,電流フィードバック制御の精度を向上させている。 |
2.電流フィードバック制御 電流フィードバック制御は,モータに流れる電流を検出し,モータを駆動する口標電流との差を減少させて,モータを精度良く駆動するための制御である。 |
保護制御
1.アンローダ制御 アンローダ制御は,ステアリングを一杯に切った状態にしたときのモータ電流を低下させ,システムを保護するための制御である。 |
2.モータ出力制限制御 モータ出力制限制御は,連続した大電流での発熱からシステムを保護する制御である。 据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときは,モータ電流を低下させ,システムを保護している。 この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。補助動力の復帰は,操舵トルクがゼロ又は,イグニション・スイッチOFFから徐々に始まり,通常の補助動力に戻るのは最長で8分程度必要とする。
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