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令和5年3月実施1級小型問題10:パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システムを用いたハイブリッド車に関する記述

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パラレル・シリーズ・ハイブリッド・システムを用いたハイブリッド車に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)シャット・ダウンとは,Nレンジ時に,インバータのパワー・トランジスタをすべてOFFにして,モータとジェネレータの作動を強制的に停止させることをいい,車軸での駆動力はゼロになる。この状態では,エンジンが回転していても,ジェネレータは空回りして発電しないため,HVバッテリに充電は行われない。

 

(2)出力制限警告灯は,電池温度が高い場合,低い場合及びRレンジ以外での走行中に電池容量が低下した場合に点灯することがあり,点灯中はハイブリッド・システムの出力が制限される。

 

(3)モータ用のブリッジ回路では,モータ駆動時にHVバッテリの直流を三相交流に変化させるとともに,モータの電流制御や交流周波数制御を行い,発生トルクと回転速度を変化させている。減速時などの回生発電時には,回転抵抗によりモータに発生する直流をボルテージ・レギュレータで調整してHVバッテリに充電している。

 

(4)車両検査時において,自動車直進性試験(サイド・スリップ),制動力試験,速度計試験は,いずれも整備モードに切り替え,シフト位置はDレンジで行う。

 

 

(解く)

 

(1)シャット・ダウンとは,Nレンジ時に,インバータのパワー・トランジスタをすべてOFFにして,モータとジェネレータの作動を強制的に停止させることをいい,車軸での駆動力はゼロになる。この状態では,エンジンが回転していても,ジェネレータは空回りして発電しないため,HVバッテリに充電は行われない。

適切

 

(2)出力制限警告灯は,電池温度が高い場合,低い場合及びRレンジ以外での走行中に電池容量が低下した場合に点灯することがあり,点灯中はハイブリッド・システムの出力が制限される。

不適切

表:ハイブリッド車の警告灯と点灯時の状況等

 

(1)READY(走行可能表示灯)

イグニション・スイッチをSTARTにすると点灯し,走行可能状態であることを示す。

(2)出力制限警告灯

電池温度が高い場合,低い場合及びRレンジでの走行中に電池容量が低下した場合に点灯することがある。点灯中はハイブリッド・システムの出力が制限される。

・点灯中は速度を控えめにして走行する。

(3)マスタ・ウォーニング

(4)~(8)の警告灯と連動して点灯し,ブザーを吹鳴する。

(4)チェック・・エンジン・ウォーニング・ランプ

エンジン制御システム異常時に点灯する。

(イグニション・スイッチON,READYランプ消灯時に点灯する)

(5)充電警告灯

充電系統(コンバータ付きインバータ・アセンプリ)異常時に点灯する。

・マスタ・ウォーニング及びハイブリッド・システム異常警告灯と共に点灯したときは,ダイアグノーシス・コードを確認する。

(6)パワー・ステアリング警告灯

パワー・ステアリング制御システム異常時に点灯する。

(7)HVバッテリ警告灯

HVバッテリ放電時に点灯する。

(長期放置等でHVバッテリ上がりが発生し,点灯した場合は,ハイブリッド・システム・チャージャを接続して充電すれば,そのまま使用可能)

(8)ハイブリッド・システム異常警告灯

モータ,インバータ,HVバッテリ-,ハイブリッドECUなどの異常時に点灯する。

 

 

(3)モータ用のブリッジ回路では,モータ駆動時にHVバッテリの直流を三相交流に変化させるとともに,モータの電流制御や交流周波数制御を行い,発生トルクと回転速度を変化させている。減速時などの回生発電時には,回転抵抗によりモータに発生する直流をボルテージ・レギュレータで調整してHVバッテリに充電している。

不適切

モータ用のブリッジ回路では,モータを駆動させるときには, HV バッテリの直流を三相交流に変化させると共に,モータの電流制御や交流周波数制御を行って,モータの発生トルクと回転速度を変化させており,また,減速時などの回生発電時には,6 個のダイオードによって,三相全波整流を行って HV バッテリに充電している。

 

(4)車両検査時において,自動車直進性試験(サイド・スリップ),制動力試験,速度計試験は,いずれも整備モードに切り替え,シフト位置はDレンジで行う。

不適切

制動力試験:N

車両検査時の注意事項

車両の状態

①整備モードに切り替える前にエアコンを停止し,Pレンジでエンジン始動後,数秒でエンジンが停止することを確認する。(エンジン暖機状態の確認)

②整備モードに切り替え,検査を行う。なお,検査時のシフト位置は,表の通りとする。

 

表 検査項目とシフト位置

検査項目

シフト位置

自動車直進性試験(サイド・スリップ)

Dレンジ

制動力試験

Nレンジ

速度計試験

Dレンジ

排出ガス試験(アイドリング)

Pレンジ

前照灯試験

Pレンジ

 

 

 

1)(3

インバータ

 

インバータ(注参照)は, HV バッテリの直流電流とモータやジェネレータの交流電流の変換を行う変換装置であり,図に示すように,モータ用,ジェネレータ用それぞれ 6 個のパワー・トランジスタで構成される三相ブリッジ回路で電流を変換している。

(注)インバータ とは逆用回転変流機のことで,回転変流機を使用して直流電力を交流電力に変換する装置をいう。

 

ブリッジ回路のパワー・トランジスタは,ハイブリッド(モータ) ECU から制御回路を通して駆動される。

モータ用のブリッジ回路では,モータを駆動させるときには, HV バッテリの直流を三相交流に変化させると共に,モータの電流制御や交流周波数制御を行って,モータの発生トルクと回転速度を変化させており,また,減速時などの回生発電時には,6 個のダイオードによって,三相全波整流を行って HV バッテリに充電している。

ジェネレータ用のブリッジ回路では,HV バッテリに充電するときやモータに電力を供給するときには,エンジンによりジェネレータを回して発生した三相交流を6個のダイオードで全波整流を行っており,また,エンジン始動時には,HV バッテリの直流を三相交流に変換させてジェネレータを駆動してエンジンを回し,スタータの役割をさせている。

インバータはハイブリッド(モータ)ECU に対し,電流制御に必要な出力電流値などの信号を送っている。

インバータは,モータやジェネレータと共に,エンジンとは別の専用ラジエータによる冷却水経路により冷却されている。

前輪とモータは,ギヤとチェーンを介して常時機械的につながっている方式のため,駆動力の遮断手段として, N レンジのときは,インバータのパワー・トランジスタをすべて OFF にして,モータとジェネレータの作動を強制的に停止させている。これをシャット・ダウンといい,車軸での駆動力はゼロになる。この状態では,エンジンが回転していても,ジェネレータは空回りして発電しないため,バッテリに充電は行われない。

 

 

よって答えは1