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平成23年6月実施1級小型問題12:ハイブリッド車のインバータに関する記述

ハイブリッド車のインバータに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。


(1)モータ用のブリッジ回路では,モータ駆動時にHVバッテリの直流を三相交流に変化させると共に,モータの電流制御や交流周波数制御を行い,発生トルクと回転速度を変化させる。
(2)Nレンジでエンジンが回転している場合,インバータのパワー・トランジスタのうち,モータ側のパワー・トランジスタはONし,ジェネレータ側のパワー・トランジスタがOFFするので,ジェネレータが空回りして発電しないため,バッテリに充電は行われない。
(3)インバータは,モータやジェネレータと共に,エンジンとは別の専用ラジエータの冷却水経路により冷却されている。
(4)エンジン始動時は,HVバッテリからジェネレータ用のブリッジ回路でHVバッテリの直流を三相交流に変換してジェネレータを駆動させ,エンジンを回すスタータの役割をさせている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解く

(1)モータ用のブリッジ回路では,モータ駆動時にHVバッテリの直流を三相交流に変化させると共に,モータの電流制御や交流周波数制御を行い,発生トルクと回転速度を変化させる。
適切
インバータ(注参照)は, HV バッテリの直流電流とモータやジェネレータの交流電流の変換を行う変換装置であり,図 に示すように,モータ用,ジェネレータ用それぞれ 6 個のパワー・トランジスタで構戎される三相ブリッジ回路で電流を変換している。
(注)インバータ とは逆用回転変流機のことで,回転変流機を使用して直流電力を交流電力に変換する装置をいう。
このブリッジ回路のパワー・トランジスタは,ハイブリッド(モータ) ECU から制御回路を通して駆動される。
モータ用のブリッジ回路では,モータを駆動させるときには, HV バッテリの直流を三相交流に変化させると共に,モータの電流制御や交流周波数制御を行って,モータの発生トルクと回転速度を変化させており,また,減速時などの回生発電時には,6 個のダイオードによって,三相全波整流を行って HV バッテリに充電している。

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(2)Nレンジでエンジンが回転している場合,インバータのパワー・トランジスタのうち,モータ側のパワー・トランジスタはONし,ジェネレータ側のパワー・トランジスタがOFFするので,ジェネレータが空回りして発電しないため,バッテリに充電は行われない。
不適切
前輪とモータは,ギヤとチェーンを介して常時機械的につながっている方式のため,駆動力の遮断手段として, N レンジのときは,インバータのパワー・トランジスタをすべて OFF にして,モータとジェネレータの作動を強制的に停止させている。これをシャット・ダウンといい,車軸での駆動力はゼロになる。この状態では,エンジンが回転していても,ジェネレータは空回りして発電しないため,バッテリに充電は行われない。

サンギヤが空転しているため,エンジンが回転してキャリアが回転しても,駆動輪とつながっているインターナルギアには,動力が伝わらない。

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(3)インバータは,モータやジェネレータと共に,エンジンとは別の専用ラジエータの冷却水経路により冷却されている。
適切

(4)エンジン始動時は,HVバッテリからジェネレータ用のブリッジ回路でHVバッテリの直流を三相交流に変換してジェネレータを駆動させ,エンジンを回すスタータの役割をさせている。
適切
ジェネレータ用のブリッジ回路では,HV バッテリに充電するときやモータに電力を供給するときには,エンジンによりジェネレータを回して発生した三相交流を6個のダイオードで全波整流を行っており,また,エンジン始動時には,HV バッテリの直流を三相交流に変換させてジェネレータを駆動してエンジンを回し,スタータの役割をさせている。

 

よって答えは(3)