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電子制御式ATのセンサに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)ジェネレータ型の車速センサは,ギヤの凹凸面が通過することで磁束密度が変化しコイルに交流電圧が発生する。 |
(2)サーミスタを用いた油温センサは,基準電圧をAT・ECU内の抵抗と分圧することでオートマティック・トランスミッション・フルード温度変化に応じて電圧を変化させる。 |
(3)磁気抵抗素子(MRE)内蔵のハイブリッドICを使った車速センサは,ATのアウトプット・シャフトのドライブ・ギヤにより駆動されるコイルの磁力変化を検出する。 |
(4)スロットル・ポジション・センサは,スロットル・バルブの開度位置を検出するもので,抵抗体に分布する電圧を可動接点により取り出している。 |
解く
(1)ジェネレータ型の車速センサは,ギヤの凹凸面が通過することで磁束密度が変化しコイルに交流電圧が発生する。
適切
周波数信号センサ
ABSの周波数信号センサでは,車輪速センサがあり,図(1)~(4)のようにパルス・ジェネレータ式(発電機)及び光学式,ホール素子式,磁気抵抗素子式に半導体が用いられ,走行時,制動時における車輪間の回転速度変化や車輪のロックの検出に使用されている。ここでは,パルス・ジェネレータ式(発電機式)及び磁気抵抗素子式を用いた車輪速センサについて説明する。
回路の構造・機能
(イ)パルス・ジェネレータ式
パルス・ジェネレータ式は,図(1)のように4輪に取り付けられており,検出した信号電圧は,ECUに送られ,各車輪の速度や車体速度の計算に利用される。
構造は,図(2)のように発電機形態のセンサが多く,車輪の回転部に取り付けられたロータ部とピックアップ・コイルで構成され,それらの間には,エア・ギャップが設けられている。車輪の回転により,ギヤ・パルサの突起部が,ピックアップ・コイルの先端を通過することにより,磁束密度が変化して交流電圧が発生する。
(2)サーミスタを用いた油温センサは,基準電圧をAT・ECU内の抵抗と分圧することでオートマティック・トランスミッション・フルード温度変化に応じて電圧を変化させる。
適切
(3)磁気抵抗素子(MRE)内蔵のハイブリッドICを使った車速センサは,ATのアウトプット・シャフトのドライブ・ギヤにより駆動されるコイルの磁力変化を検出する。
不適切
磁気抵抗素子式(半導体式)
磁気抵抗素子式は,磁力線の変化を検出し,電流の変化に置き換えている。基本構造は,図に示すような歯形のロータと磁気抵抗素子を二対直列接続したピックアップで構成され,ロータが回転するとロータの歯形によりコアからの磁力線が変化し,この変化に応じて,磁気抵抗素子の抵抗は変化する。
センサ信号電圧は,磁気抵抗素子を流れる微電流の変化を,増幅回路で基準電圧を基に増幅と波形整形を行い,方形波(スケア・ウェーブ)が整形される。
信号電圧を作るセンサの回路構成は,図に示すもので,センサ側の12V電源⇒5V安定化電源回路⇒ボデー・アースに電流を流す回路構成及び5V安定化電源回路⇒センサ・アンプ/出力回路(MREピックアップを含む。)⇒ECUのアースに電流を流す回路構成とECUの5V安定化電源回路⇒抵抗(R)⇒センサ・アンプ/出力回路のTr⇒ECUのアースに電流を流す回路構成により信号電圧への増幅と変換を行って,センサ信号が作られ,入力回路を介してマイコンに入力される。
(4)スロットル・ポジション・センサは,スロットル・バルブの開度位置を検出するもので,抵抗体に分布する電圧を可動接点により取り出している。
適切
スロットル・ポジション・センサ
スロットル・ポジション・センサ(ポテンショ・メータ式)は,スロットル・バルブの開度を検出するセンサで,図2-69のようにスロットル・ボデー本体に組み付けられている。構造は,可変抵抗器で,抵抗体上をしゅう動する可動接点をもっており,可動接点はスロットル・バルブ・シャフトに連結されてスロットル・バルブの開閉と共に抵抗体上を移動する。可動接点が抵抗体上を移動することで,信号アース端子とスロットル開度端子間の抵抗値が変化するため,スロットル開度に応じて抵抗値が変化し,スロットル開度が全閉のときは抵抗値が小さく,開度が全開のときは抵抗値が増加する。
センサが検出している値は抵抗値であり,このままではマイコンは検出できないため,検出できる電圧値に置き換える必要がある。
よって答えは(3)