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点火時期制御に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1) 通電時間制御は,エンジン回転速度が低くなるに連れて,トランジスタがONする時期(一次電流が流れ始めるとき)を早めている。
(2) ECUは,クランク角センサ,カム角センサ,スロットル・ポジション・センサなどからの信号をもとに,そのときのエンジン回転速度や負荷を計算して点火すべき気筒及び点火時期を算出する。
(3) エンジン始動後のアイドリング時の基本進角は,インテーク・マニホールド圧力信号又は吸入空気量信号により,あらかじめ設定された点火時期に制御されている。
(4) アイドル安定化補正は,アイドル回転速度が低くなると点火時期を遅角し,高い場合は進角してアイドル回転速度の安定化を図っている。
解く
(1) 通電時間制御は,エンジン回転速度が低くなるに連れて,トランジスタがONする時期(一次電流が流れ始めるとき)を早めている。
不適切
通電時間制御
イグニション・コイルの二次側に誘起される起電力の大きさは、一次電流の大きさによって変化する。すなわち、一次コイルに電流が流れようとするときは、コイルの自己誘導作用により逆起電力が生じるため、図のようにある時間を経過しなければ定常電流(I)にならない。
この場合、定常電流(I)は、バッテリ電圧(Ⅴ)と一次回路の抵抗(R)からオームの法則によって求
められ、I=V/Rとなる
一次電流が定常電流になるまでの立ち上がりの程度は、時定数(タイム・コンスタント)(注1参照)で表され、この値が小さいほど一次電流の立ち上
がりはよい。
(注1)時定数とは、トランジスタがONして一次電流が流れ始めてから、定常電流の0.632倍の電流値になるまでの時間(秒)のことをいう。
時定数を小さくするには、コイルのインダクタンス(注2参照)を小さくすればよい。
(注2)回路の電流を変化させると、電磁誘導作用によ。て起電力を生じるが、このときの電流の変化に対する起電力の比をインダクタンス又は誘導係数といい、コイルの巻数の自乗に比例して変化する。単位はヘンリ(H)である。
エンジンの回転速度が高くなると、一次電流を流して遮断するまでの通電時間が少なく、電流が増加する途中で遮断されるので、一次電流か減少して二次誘起電圧が低下する。
この低下を防ぐには、イグニション・コイルの性能向上はもちろんであるが、一次電流を定常電流に近付ける必要があり、ECUに通電時間制御機
能をもたせて、一次電流の通電時期を早くし、通電時間を長くすることで対応している
(2) ECUは,クランク角センサ,カム角センサ,スロットル・ポジション・センサなどからの信号をもとに,そのときのエンジン回転速度や負荷を計算して点火すべき気筒及び点火時期を算出する。
適切
(3) エンジン始動後のアイドリング時の基本進角は,インテーク・マニホールド圧力信号又は吸入空気量信号により,あらかじめ設定された点火時期に制御されている。
不適切
②基本進角
エンジン始動後のアイドリング時の基本進角は、クランク角度信号(回転信号)により、あらかじめ設定された点火時期に制御されている。
通常走行時の基本進角は、エンジン回転速度信号及びインテーク・マ二ホールド圧力信号又は吸入空気量信号により、あらかじめ設定された点火時期に制仰されている
(4) アイドル安定化補正は,アイドル回転速度が低くなると点火時期を遅角し,高い場合は進角してアイドル回転速度の安定化を図っている。
不適切
アイドル安定化補正
アイドル回転速度か低くなると点火時期を進角し、高い場合は遅角してアイドル回転速度の安定化を図る。
よって答えは(2)