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平成17年3月実施1級小型問題26:スチール・ベルト式無断変速機(CVT)

26

スチール・ベルト式無断変速機(CVT)に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)油圧制御機構のコントロール・バルブにおいて,プライマリ・バルブが変速制御を行い,セカンダリ・バルブがライン・プレッシャの制御を行う。

(2)プーリとこれに挟まれるスチール・ブロックは,お互いに良く滑った方が引っ張り作用が大きくなるので確実に動力を伝えることができる。

(3)変速比はプーリの溝幅によって変化するが,セカンダリ・プーリに比べてプライマリ・プーリの溝幅が広いときがロー側で,狭いときがオーバドライブ側である。

(4)リバース・インヒビット制御とは,前進走行中に設定車速以上で誤ってリバースにシフトした場合,駆動力がプライマリ・プーリに伝わらないようにするものである。

 

解く

 

(1)油圧制御機構のコントロール・バルブにおいて,プライマリ・バルブが変速制御を行い,セカンダリ・バルブがライン・プレッシャの制御を行う。

適切

変速は,駆動側プーリ(プライマリ・プーリ)と出力側プーリ(セカンダリ・プーリ)のべルトの巻き付け径を変えて行っている。

変速は,駆動側プーリ(プライマリ・プーリ)と出力側プーリ(セカンダリ・プーリ)のべルトの巻き付け径を変えて行っている。

べルトの巻き付け径は,プーリの溝幅によって変わり,プライマリ・プーリの油圧制御により行っている。プライマリ・プーリの油圧を高くすると,溝幅が狭くなることによって巻き付け径が大きくなり(オーバ・ドライブ側),逆に,油圧を低くすると,溝幅が広くなって巻き付け径が小さくなる( LOW 側)。

セカンダリ・プーリには,常に運転条件に応じたライン・プレッシャを掛け,動力伝達に必要なべルトとプーリ間の摩擦力を得られるようにべルト張力を制御している。

このように,プライマリ側の油圧制御により,変速制御を行い,セカンダリ側の油圧制御により,べルト張力制御を行っている。

 

 

(2)プーリとこれに挟まれるスチール・ブロックは,お互いに良く滑った方が引っ張り作用が大きくなるので確実に動力を伝えることができる。

不適切

スチール・べルト

スチール・べルトは,図 のように数百個の厚さ 2mm のスチール・ブロックと,このスチール・ブロックを帯状に連結する 2 組のスチール・バンドで構成されている。

スチール・べルトは,ゴム・べルトやチェーンのように引っ張り作用で動力を伝達するものとは異なり,スチール・ブロック一個一個がプーリと接触しながら,次々と前側のブロックを押して動力を伝える圧縮型のべルトである。このため,ブロックは平板ではなく特別のふくらみを持った形状にしてブロック全体で動力を分担し,応力集中がないように設計されている。また,図のようにブロックの小さな凸部と凹部で相互の位置決めをしている。

ブロックを連結する 2 本のスチール・バンドは,ブロックの左右溝に挿入されている。

スチール・バンドは,絶えず径方向に折り曲げられて内径側には,圧縮応力,外径側には,引っ張り応力が発生する。この応力は,板厚が薄い方が小さくなるので,厚さ約 0 2 ㎜のリング状スチール板を使用し,かつ,強度を確保するために,このバンドを 9 枚緊密に重ねた構造となっている。

 

 

重ねられたバンドは,自由状態では,直径約 200mm の円形で,隣り合った個々のバンドは,板厚分の長さを変えて,しっくりとかん嵌合するように精密に製造されている。内径側のバンド長さと外径側バンド長さの差はπ(0.2×2×9)=11.3㎜あることになる。円形のバンドをプーリに巻き付けた場合,図  のようになるが,径がどのように変化しても半円形部の内外径差は 11.3㎜であり 9 枚の個々のバンドが周方向に滑り合うことはなく,柔軟性を持った 1 本のバンドとして荷重を受けることができる。

 

バンドは,耐摩耗性と強じん性が要求され,高純度のマレージング鋼(注参照)が使用されている。

スチール・ブロックは,プーリに挟まれて接触面の摩擦力で動力を伝達するため,伝達動力に見合った押し付け力 スチール・バンド張力 べルト張力が必要になる。

柔軟性のあるスチール・バンドに支えられ,ある程度自由に動くことができる多数のブロックがプーリ斜面に押し付けられるので,それぞれのブロックが確実に斜面と接触し,効率よく動力の伝達が行われる。

( 注 ) マレージング鋼とは,航空宇宙用として開発された高強度と強じん性を両立する極めて特殊な素材である。

 

(3)変速比はプーリの溝幅によって変化するが,セカンダリ・プーリに比べてプライマリ・プーリの溝幅が広いときがロー側で,狭いときがオーバドライブ側である。

適切

(4)リバース・インヒビット制御とは,前進走行中に設定車速以上で誤ってリバースにシフトした場合,駆動力がプライマリ・プーリに伝わらないようにするものである。

適切

リバース・インヒビット機能

前進走行中の設定車速以上で誤ってリバースにシフトした場合,駆動力がプライマリ・プーリに伝わらないようにカットする機能を備えている。(車速 10km/ h 以上)

 

 

 

よって答えは2