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平成16年3月実施1級小型問題27:車両安定制御装置(VSCS:ビークル・スタビリティ・コントロール・システム)に関する記述

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車両安定制御装置(VSCS:ビークル・スタビリティ・コントロール・システム)に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ヨー・レートの検出は,振動子回りに発生するコリオリカによる圧電セラミックの歪み量により検出している。

(2)VSCSは,旋回時の車両の方向安定性を確保する装置で,緊急旋回時などの不測の状況や外的要因などによって生じる強いアンダステア,又は強いオーバステアを緩和させている。

(3)VSCSは,摩耗差の著しいタイヤを車両に装着した場合でも正常に作動する。

(4)フォト・インタラプタを用いた舵角センサは,スリット板での光の遮断によるフォト・トランジスタのON・OFF信号を検出してスキッドECUに出力している。

 

解く

(1)ヨー・レートの検出は,振動子回りに発生するコリオリカによる圧電セラミックの歪み量により検出している。

適切

ヨー・レート・センサ部

車両の鉛直軸方向の回転角度(ヨー・レート,自転速度)を検出している。

構造は図のような,音叉型の振動式レート・ジャイロを採用し,各振動子は振動部と検出部で構成されており,振動部及び検出部とも圧電セラミックスが張り合わせてある。この圧電セラミックスは,電圧を掛けると歪みを発生したり,外力によりセラミックスを歪ませると電圧を発生する特性を持っている。

ヨー・レートの検出ば,振動部に交流電圧を供給して振動させ,検出部で振動子周りに発生するコリオリカ(注参照)による圧電セラミックスの歪み量や,図のように車両の進行方向により検出している。

(2)VSCSは,旋回時の車両の方向安定性を確保する装置で,緊急旋回時などの不測の状況や外的要因などによって生じる強いアンダステア,又は強いオーバステアを緩和させている。

適切

走る(加速),曲がる(旋回),止まる(減速)など車両の運動状態が運動性能の限界付近にあるときは,車両の動きが不安定になり危険である。また,濡れたアスファルト路面や氷雪路など摩擦係数の低い路面を走行しているときや,急ブレーキ及び急ハンドルなどの緊急回避操作を行ったときなどは,車両の運動状態が限界を超えて操縦困難となる。これを防止するために, ABS ,トラクション・コントロールビークル・スタビリティ・コントロール・システム(以下, VSCS という。 )を装着しており,図に示すように三つの装置を作用させ車両の安定性を確保している。 ABS は,滑りやすい路面などで急ブレーキを掛けても車輪がロックしないようにする役割をし,トラクション・コントロールは.駆動輪のスリップを防止する役割をしている。また, VSCS は,車両の旋回方向の安定性を確保する役割をしている。なお,これら三つの装置は,各運動領域においてブレーキ制御を行うことから図 2 一 2 の電子制御部品及びブレーキ油圧経路を共用している。

(3)VSCSは,摩耗差の著しいタイヤを車両に装着した場合でも正常に作動する。

不適切

VSCS が正常に作動しない場合

① 指定以外のサイズ,指定以外の空気圧,異なるメーカー,異なる銘柄,異なるトレッド・パターンのタイヤ装着したとき。

② 摩耗差の著しいタイヤを混ぜて装着したとき。

③ タイヤ・チェーン装着のとき。

④ 応急用スペア・タイヤを使用したとき。

 

(4)フォト・インタラプタを用いた舵角センサは,スリット板での光の遮断によるフォト・トランジスタのON・OFF信号を検出してスキッドECUに出力している。

適切

 

舵角センサ

舵角センサは,ハンドルの操舵方向及び操舵角量を検出するもので,図  のようにコンビネーション・スイッチに取り付けられている。

 

,図 のようにフォト・インタラプタ(注参照)が三つ用いられて位相差が設けられており,スリット板での光の遮断によるフォト・トランジスタの ON ・ OFF 信号から操舵方向及び操舵角量を検出してスキッド ECU に出力している。

( )フォト・インタラプタとは,発光ダイオードの発光をフォトダイオード又は,フォト・トランジスタが受信し,機械的な動きにより生ずる光の変化を電気信号に変換するのに有効な光結合素子である。

 

よって答えは3