28
CAN通信に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1) 各ECUが同時にデータ・フレームを送信してしまった場合は,複数のデータ・フレームが衝突してしまうので,大容量データのものを優先して送信している。
(2) CAN通信の種類には,高速と低速があり,エンジン制御のデータ通信は,高速の通信速度125Kbps~1Mbpsで送信を行っている。
(3) 「バス・オフ」状態とは,ECUが自らの通信に関わるエラーを検知し,リカバリしてもエラーが解消しない場合に通信を停止する状態のことをいう。
(4) 受信側ECUは,バス・ライン上の電圧変化から情報を読み取る。
解く
(1) 各ECUが同時にデータ・フレームを送信してしまった場合は,複数のデータ・フレームが衝突してしまうので,大容量データのものを優先して送信している。
不適切
(3)通信規制
各ECUは、独立してバス・ライン上に通信がないことを検知し、それぞれのタイミングでデータ・フレームの送信を行っているが、同時に送信を始めてしまった場合には、複数のデータ・フレームが衝突してしまう。そのような場合、送信を行おうとするECUは次の規則に従って処理する。
・アイデンティファイヤ・フィールドにより優先度が高いデータ・フレームを優先して送信する。
・優先度が低い情報は、送信側ECUが送信を保留し、バス・ラインが空く(送信データがバス・ライン上になくなった状態)のを待つ。なお、保留状態が一定時間を経過すると新しいデータ(データ・フレームの内容)に更新して送信する。
・バス・ラインが空くとデータ・フレームを再送する。なお、バス・ラインには十分な余裕があるためデータ・フレームを送信できなくなることはない。
(2) CAN通信の種類には,高速と低速があり,エンジン制御のデータ通信は,高速の通信速度125Kbps~1Mbpsで送信を行っている。
適切
CAN通信は、表のように高速と低速があり、使用される制御装置によってこれらを使い分けている。
(3) 「バス・オフ」状態とは,ECUが自らの通信に関わるエラーを検知し,リカバリしてもエラーが解消しない場合に通信を停止する状態のことをいう。
適切
エラーの検知とリカバリ
CANではデータ・フレーム中のCRCフィールドのほか、様々なエラーの検知機能とリカバリ機能(再送などにより回復を図ること)を備えて通信の信頼性を確保している。また、ECUが自らの通信に関わるエラーを検知し、リカバリしてもエラーが解消しない場合は通信を停止するようにしている。この状態を"バス・オフ"状態という。
(4) 受信側ECUは,バス・ライン上の電圧変化から情報を読み取る。
適切
バス・ライン上の電圧変化
データ・フレームをバス・ラインに送信するときの電圧変化(出力信号)は、図に示すようにCAN特有の形となっている。
送信側ECUは、CAN-H、CAN-Lの2本のバス・ラインにCAN-H側は2.5~3.5V、CAN-L側は2.5~1.5Vの電圧変化として出カ(送信)する。また、受信側ECUは、受信したCAN-H、CAN-Lの電位差から情報を読み取るようになっている。
CAN-H、CAN-L共に2.5Vの状態をレセシブといい、CAN-Hが3.5V、CAN-Lが1.5Vの状態をドミナントという。
なお、2.5Vを中心に信号を変化させることで、アース不良などによる0Ⅴ電圧の変化(バス・ライン上の0Vが0.5V程上昇してしまう不具合)が発生した場合でも、通信を継続することができる。バス・ラインに用いる通信線をツイスト・ペア線にすることで、従来の通信方法と比べ信頼性が向上している。
よって答えは(1)