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鉛バッテリに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1) バッテリから取り出し得る電気量は,放電電流が大きいほど小さくなる。
(2) バッテリの電解液温度が50℃未満におけるバッテリの容量は,電解液温度が高いほど減少し,低いほど増加する。
(3) 起電力は,一般に電解液の温度が高くなると小さくなり,その値は,電解液温度が1℃上昇すると 0.0002V~0.0003V程度低くなる。
(4) バッテリの放電終止電圧は,一般に放電電流が大きくなるほど,高く定められている。
解く
(1) バッテリから取り出し得る電気量は,放電電流が大きいほど小さくなる。
適切
容量
容量と放電電流
容量は放電電流が大きいほど小さくなる。これは、放電が開始されると、正極、負極の両極板の活物質は極板表面から硫酸基を吸収して硫酸鉛に変化するが、放電電流が大きいほど化学反応に必要な硫酸基が極板細孔内へ拡散浸透する補給速度が遅れて早く放電終止電圧に到達するためである。
例えば、図のように完全充電したバッテリを5時間率放電で放電する場合に取り出すことのできる電気量を100%とすると、2時間率放電で放電する場合は放電電圧の低下が速く、電気量は88%程度しか取り出すことができない。
(2) バッテリの電解液温度が50℃未満におけるバッテリの容量は,電解液温度が高いほど減少し,低いほど増加する。
不適切
容量と電解液温度
容量はバッテリの電解液温度が高いほど増加し、低いほど減少する。その理由は、温度が上昇すると電解液の拡散が良好となり、極板活物質内部まで浸透が容易となるため、内部抵抗(注参照)が減少するからである。ただし、電解液温度が50℃以上になると、自己放電のためにかえって容量は減少しセパレータ及び極板の損傷を早める。容量と電解液温度の関係は、ほぼ図のようになる。
(3) 起電力は,一般に電解液の温度が高くなると小さくなり,その値は,電解液温度が1℃上昇すると 0.0002V~0.0003V程度低くなる。
不適切
起電力と電解液温度
起電力は一般に電解液の温度が高くなると大きくなる。その値は電解液温度が上昇すると0.0002〜0.0003V程度高くなる。起電力と電解液
温度との関係の一例を図に示す。
(4) バッテリの放電終止電圧は,一般に放電電流が大きくなるほど,高く定められている。
不適切
放電特性曲線
バッテリをある一定電流で放電すると、端子電圧は、図のように下がり、この電圧低下は放電電流が大きいほど速くなる。バッテリはある程度以上に放電すると悪影響があるので、これ以上放電してはならないという一定の限度を定め、これを放電終止電圧という。放電終止電圧は5時間率放電の場合、12Vバッテリで10.5V(1セル当たり1.75V)であり、放電電流が大きくなるほど放電終止電圧は低く定められている。
なお、実際には図のように5時間率電流で放電させても、放電終止電圧に達するまでの時間は、5時間を若干超えるようになっている。
よって答えは(1)