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鉛バッテリに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)電解液の温度を一定とすると、電解液の比重が1.200の場合より1.300の方が起電力は大きい。
(2)放電終止電圧は、5時間率放電で放電した場合、一般に1セル当たり1.75vである。
(3)電解液の比重を一定とすると、電解液の温度が0℃の場合より20℃の方が起電力は大きい。
(4)バッテリの電解液温度が50℃未満におけるバッテリの容量は、電解液温度が高いほど減少する。
解く
(1)電解液の温度を一定とすると、電解液の比重が1.200の場合より1.300の方が起電力は大きい。
適切
起電力と電解液比重
起電力は電解液の比重が高いほど大きくなる。電解液の比重値が1.050から1.350の範囲内での起電力は、比重に比例して図のように直線的に変化する。
(2)放電終止電圧は、5時間率放電で放電した場合、一般に1セル当たり1.75vである。
適切
放電特性曲線
バッテリをある一定電流で放電すると、端子電圧は、図のように下がり、この電圧低下は放電電流が大きいほど速くなる。バッテリはある程度以上に放電すると悪影響があるので、これ以上放電してはならないという一定の限度を定め、これを放電終止電圧という。放電終止電圧は5時間率放電の場合、12Vバッテリで10.5V(1セル当たり1.75V)であり、放電電流が大きくなるほど放電終止電圧は低く定められている。
なお、実際には図のように5時間率電流で放電させても、放電終止電圧に達するまでの時間は、5時間を若干超えるようになっている。
(3)電解液の比重を一定とすると、電解液の温度が0℃の場合より20℃の方が起電力は大きい。
適切
起電力と電解液温度
起電力は一般に電解液の温度が高くなると大きくなる。その値は電解液温度が1℃上昇すると0.0002〜0.0003V程度高くなる。起電力と電解液
温度との関係の一例を図に示す。
(4)バッテリの電解液温度が50℃未満におけるバッテリの容量は、電解液温度が高いほど減少する。
不適切
容量と電解液温度
容量はバッテリの電解液温度が高いほど増加し、低いほど減少する。その理由は、温度が上昇すると電解液の拡散が良好となり、極板活物質内部まで浸透が容易となるため、内部抵抗(注参照)が減少するからである。ただし、電解液温度が50℃以上になると、自己放電のためにかえって容量は減少しセパレータ及び極板の損傷を早める。容量と電解液温度の関係は、ほぼ図のようになる。
よって答えは(4)