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平成18年3月実施1級小型問題23:ABS・ECUのフェイルセーフ制御及びABS制御に関する記述

23

ABS・ECUのフェイルセーフ制御及びABS制御に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)システムの異常を検知した場合は,フェイルセーフ・リレー,ソレノイド・バルブ及びポンプ・モータの出力をすべてONにし,ABSが作動しない通常ブレーキに戻す。

(2)イグニション回路の電圧異常(上昇,下降)でABSの作動を禁止した場合は,電圧が正常と判断されてもイグニション・スイッチを一旦OFFにするまでABS制御へ移行しない。

(3)ABS作動中に異常検知した場合は,故障箇所以外の作動をそのまま継続し,制御終了後にソレノイド・バルブ及びポンプ・モータの出力をすべてOFFにし,ABSが作動しない通常ブレーキに戻す。

(4)推定車体速度をもとに車輪のスリップ率を計算し,目標スリップ率になるように,モジュレータのポンプをON・OFFして,ブレーキ液を増圧・保持・減圧する。

 

解く

(1)システムの異常を検知した場合は,フェイルセーフ・リレー,ソレノイド・バルブ及びポンプ・モータの出力をすべてONにし,ABSが作動しない通常ブレーキに戻す。

不適切

(2)イグニション回路の電圧異常(上昇,下降)でABSの作動を禁止した場合は,電圧が正常と判断されてもイグニション・スイッチを一旦OFFにするまでABS制御へ移行しない。

不適切

(3)ABS作動中に異常検知した場合は,故障箇所以外の作動をそのまま継続し,制御終了後にソレノイド・バルブ及びポンプ・モータの出力をすべてOFFにし,ABSが作動しない通常ブレーキに戻す。

適切

(4)推定車体速度をもとに車輪のスリップ率を計算し,目標スリップ率になるように,モジュレータのポンプをON・OFFして,ブレーキ液を増圧・保持・減圧する。

不適切

ABS制御

ECUは,図に示すように各車輪速センサからの信号によって車輪速度を検知しすべての車輪速度をもとに車体速度を推定する。推定(又は疑似)車体速度をもとに車輪のスリップ率を計算し目標スリップ率になるように,モジュレータ・ユニットのモジュレータ・バルブとポンプを作動させ,ブレーキ液圧を制御する。前輪のプレーキ液圧は,左右独立に制御し,後輪はロックしやすい方(車輪速度が低い:ロ・セレクト)を基準にして左右同時に制御している。

 

よって答えは3

 

 

フェイルセーフ制御

フェイルセーフ制御は,故障などによりABSに異常が発生すると,ECUがフェイルセーフ制御を実行しABS制御をカットして通常プレーキにするものである。

センサ,アクチュエータ,ECU内部などに異常が発生すると,ECUはフェイルセーフ・リレーをOFFしABS制御を中止すると共に通常プレーキにする。同時に,車載故障診断装置の診断機能により,ABS警告灯を点灯させ,運転者にシステムの異常が発生していることと,制御を停止していることを知らせる。また,故障の系統を記憶し整備性を向上させている。

制御内容

フェイルセーフ制御は,異常内容により次のように実行され,いすれも警告灯が点灯する。

①システムの異常を検知して,フェイルセーフ・リレー,モジュレータ・バルプ及びポンプ・モータの出力をすべてOFFにする。

②ABS動作中に異常検知した場合,故障箇所以外の作動をそのまま継続し制御終了後に出力をすべてOFFにする。

③メモリしているダイアグノーシス・コードにより,異常コードのときはABSの動作を禁止し,次に正常と判断された時点で,ABS制御へ移行する。

これは,システムに異常がなくなった状態で,車速30km/h以上で,1秒以上走行した場合,解除されてABS制御となる。

④イグニション・スイッチ(IG2)の電圧異常(上昇,下降)で,ABSの動作を禁止した場合は,電圧が正常と判断された場合,ABS制御へ移行する。