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一般的なABSに関する記述として,不通切なものは次のうちどれか。
(1)ABS・ECUは,各センサの情報を基に車両の状態を検出し,モジュレータ・ユニットに信号を出力する。モジュレータ・ユニットは,この情報を基にブレーキ液圧の制御を行っている。 |
(2)ABSの車載故障診断装置による診断は,初期診断と常時診断の2種類がある。 |
(3)車輪速センサの異常検知には,他の車輪速センサとの信号を比較して行う方法がある。 |
(4)フェイルセーフ制御は,センサ,アクチュエータ,ABS・ECU内部などに異常が発生すると,フェイルセーフ・リレーをON(接点閉)にしてABS制御を中止する。 |
解く
ABS・ECU
ECUの制御には,制動力を制御するABS制御及びシステムの状態や作動を監視し,異常を検知したときのフェイルセーフ制御とがある。
ABS制御
ECUは,図に示すように各車輪速センサからの信号によって車輪速度を検知し,すべての車輪速度をもとに車体速度を推定する。推定(又は疑似)車体速度をもとに車輪のスリップ率を計算し,目標スリップ率になるように,モジュレータ・ユニットのモジュレータ・バルブとポンプを作動させ,ブレーキ液圧を制御する。前輪のブレーキ液圧は,左右独立に制御し,後輪はロックしやすい方(車輪速度が低い:ロ・セレクト)を基準にして左右同時に制御している。
(2)ABSの車載故障診断装置による診断は,初期診断と常時診断の2種類がある。 適切 |
車載故障診断装置による診断機能 車載故障診断装置による診断は,次の2種類がある。 ①初期診断:IG・ONで警告灯が点灯したのち,正常であれば消灯。更にエンジン始動(スタータ回転)で再点灯したのち,正常であれば消灯する。 ②常時診断:初期診断終了直後からイグニション・スイッチOFFまで。 車載故障診断装置による診断でシステムに異常を検知すると,ABS警告灯の点灯及びダイアグノーシス・コードの記憶の制御を行う。
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(3)車輪速センサの異常検知には,他の車輪速センサとの信号を比較して行う方法がある。 適切 |
ノイズ混入の対策では,ソフトウェアを使用し,マイコンが図に示すように高速域でセンサ信号情報を検出する場合に,他の関連センサ情報との相関を比較して,ノイズ混入の異常検知を行うものがある。 |
(4)フェイルセーフ制御は,センサ,アクチュエータ,ABS・ECU内部などに異常が発生すると,フェイルセーフ・リレーをON(接点閉)にしてABS制御を中止する。
不適切
OFF(接点開)
フェイルセーフ制御
フェイルセーフ制御は,故障などによりABSに異常が発生すると,ECUがフェイルセーフ制御を実行し,ABS制御をカットして通常ブレーキにするものである。
センサ,アクチュエータ,ECU内部などに異常が発生すると,ECUはフェイルセーフ・リレーをOFFし,ABS制御を中止すると共に通常プレーキにする。
同時に,車載故障診断装置の診断機能により,ABS警告灯を点灯させ,運転者にシステムの異常が発生していることと,制御を停止していることを知らせる。また,故障の系統を記憶し,整備性を向上させている。
よって答えは(4)