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ABS警告灯に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)各車輪の回転速度差が大きくなった場合には,点灯する可能性がある。 |
(2)車輪速センサ・ラインが断線,ボデー短絡した場合には点灯する。 |
(3)最速車輪が30km/h以上のときで,70秒以上車輪速信号がない場合には点灯する。 |
(4)初期診断時及び初回制動時における各ソレノイドへのテスト・パルス出力と,ソレノイドの作動が不一致の場合には点灯する。 |
解く
(1)各車輪の回転速度差が大きくなった場合には,点灯する可能性がある。 適切 |
故障診断を始める前の注意 ABS・ECUは,IG2の電源で起動するため,スタータ・モータ回転時は電源が切れるため,エンジン始動後にもABS警告灯が再点灯し,2秒後に消灯する。
ABS警告灯は,システムが正常でも次のような状況下では異常と検出し,点灯することがある。 したがって,これらのことも想定して問診を行い,システムが正常と判断できた場合は,ダイアグノーシス・コードを消去する。 ⅰ)駆動輪のみの回転 ⅱ)駆動輪の片輪スタック ⅲ)車両スピン ⅳ)長時間のABS制御状態 ⅴ)外乱信号(ノイズ)
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(2)車輪速センサ・ラインが断線,ボデー短絡した場合には点灯する。 適切 |
(3)最速車輪が30km/h以上のときで,70秒以上車輪速信号がない場合には点灯する。 適切 |
(4)初期診断時及び初回制動時における各ソレノイドへのテスト・パルス出力と,ソレノイドの作動が不一致の場合には点灯する。 |
不適切
ソレノイドを診断しており,初期診断及び最速車輪が10kmhのとき,各モジュレータ・バルブの自己ソレノイドコイル・チェック出力とモジュレータ・バルブ作動の不一致やモジュレータ・バルブの異常作動を検出している。(検出するとフェイルセーフ・リレーをOFFする。)
(ロ)車載故障診断装置による診断機能
車載故障診断装置による診断は,次の2種類がある。
①初期診断:IG・ONで警告灯が点灯したのち,正常であれば消灯。更にエンジン始動(スタータ回転)で再点灯したのち,正常であれば消灯する。
②常時診断:初期診断終了直後からイグニション・スイッチOFFまで。
車載故障診断装置による診断でシステムに異常を検知すると,ABS警告灯の点灯及びダイアグノース・コードの記憶の制御を行う。
参考
車輪速センサ診断 (断線,ボデー短絡,電源短絡) |
車輪速センサ信号の断線,短絡を検知している。 ABS警告灯が消灯せず,上記のダイアグノシス・コードを表示していることを確認する。 点検はイグニション・スイッチをONにして行う。 |
車輪速センサ診断 (信号異常) |
車輪速センサ信号の異常,リヤ最速車輪が10kmh以上のとき,他の車輪速センサ信号がない,最速車輪が30kmh以上のとき,70秒以上信号がない,センサ・ハーネスと他センサ・ハーネスの短絡,ノイズ入力による異常を検出している。 イグニション・スイッチをOFFからONにし,車速30km/h以上で走行して再現テストを実施する。 ABS警告灯が消灯しない又は点灯し,ダイアグノーシス・コード12,14,16,18を確認できた場合は,ダイアグノーシスコードに該当した車輪速センサに上記の検出条件下で,異常が発生している。 ・点灯しない場合は,駆動輪のみの回転,車両スピン,ノイズ入力があったと考えられる。 |
パルサ診断 |
車輪速センサ信号が一定車速以上のときに,パルサ歯欠け診断を実施している。 ダイアグノーシス・コードを消去した後,車速30kmh以上で走行して再現テストを実施する。ABS警告灯が点灯し,ダイアグノーシス・コード幻~24を確認できた場合は,ダイアグノーシス・コードに該当した車輪速センサのパルサの歯欠け点検を実施する。 ・点灯しない場合は,一時的な信号消失などの異常があったと考えられる。 |
モジュレータ・バルブ診断 |
ソレノイドを診断しており,初期診断及び最速車輪が10kmhのとき,各モジュレータ・バルブの自己ソレノイドコイル・チェック出力とモジュレータ・バルブ作動の不一致やモジュレータ・バルブの異常作動を検出している。(検出するとフェイルセーフ・リレーをOFFする。) イグニション・スイッチをOFFからONにして,警告灯が消灯しない場合は,ダイアグノーシス・コードに該当するモジュレータ・バルブの信号線の断線,短絡点検を点検する。 ・点灯しない場合は,断線,短絡などの一時的な異常があったと考えられる。 |
ホイール・ロック診断 |
ホイール・ロックを診断しており,走行中の車輪速センサ信号によりホイール・ロックを検出している。 走行して,プレーキを掛けるとABS警告灯か戸灯し,ダイアグノーシス・コード41~44を確認できた場合は,ダイアグノーシス・コードに該当したホイールのプレーキの引きずりや車輪速センサの取り付け状態などの点検を実施する。 ・点灯しない場合は,旋回中のスピンや,一時的な異常があったと考えられる。 |
モータ・ロック診断 |
モータ・ロックを診断しており,イグニション・スイッチON後の発進時,モータを駆動させたときのモータ・ロックを検出している。 ダイアグノーシスコードを消去した後,車速10kmh以上で走行して再現テストを実施する。 ABS警告灯が点灯し,ダイアグノーシス・コード51を確認できた場合は,モータ(モジュレータ・ユニット)を交換する。 ・点灯しない場合は,一時的な異常があったと考えられる。 |
モータOFF故障診断 |
モータOFFの故障診断をしており,発進時にモータを駆動し,モータチェック(MCK)電圧が4.5V以下のときに警告灯を点灯させる。 発進時にABS警告灯が点灯し,ダイアグノーシス・コード52を表示することを確認する。 |
モータON故障診断 |
モータON故障を診断しており,ポンプ・モータ・リレーOFF時のMCK電圧が3V以上のときに警告灯を点灯させる。 ABS警告灯が消灯せず,ダイアグノーシスコードが53の表示をすることを確認する。 イグニション・スイッチがOFFの状態でも,ポンプ・モータが作動している場合は,ポンプ・モータ・リレーを交換する。 |
フェイルセーフ・リレー診断 |
フェイルセーフ・リレーを診断しており,フェイルセーフ・リレーがON・OFF時の全モジュレータ・バルブ端子電圧によりON故障,OFF故障を診断している。検出すると,フェイルセーフ・リレーをOFFする。 ABS警告灯が消灯せず,ダイアグノーシス・コード54を確認できた場合は,フェイルセーフ・リレーの駆動信号線,電源側,モジュレータ・バルブの電源側,フェイルセーフ・リレー単体を点検する。 ・警告灯が点灯しない場合は,一時的な異常があったと考えられる。 |
IG2電圧診断 |
IG2電源を診断しており,車速10km/h以上でIG2電源電圧が,10V以下又は16V以上で検出する。 ダイアグノーシスコードを消去した後,車速10kmh以上で走行して再現テストを実施する。ABS警告灯が点灯し,ダイアグノーシス・コード61又は62を確認できた場合は,充電系などを点検する。 ・警告灯が点灯しない場合は,一時的な異常があったと考えられる。 |
異径タイヤ診断 |
異径タイヤの診断をしており,走行したときの車輪速センサ信号の比較により,異径タイヤを装着していないか検出する。 走行して再現テストを実施する。ABS警告灯か点灯し,ダイアグノーシス・コード71を確認できた場合は,タイヤを点検する。 |
マイコン診断 |
マイコンを診断しており,走行したときに連続作動やECU内の異常を検出する。 走行して再現テストを実施する。ABS警告灯か点灯し,ダイアグノーシス・コード81を確認できた場合は,ECUを交換する。 ・警告灯が点灯しない場合は,外的要因などによる一時的な異常があったと考えられる。 |