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スパーク・プラグに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1) 高熱価型プラグは,低熱価型プラグと比較して,火炎にさらされる部分の表面積及びガス・ポケットの容積が小さい。
(2) 混合気の空燃比が大き過ぎる(薄過ぎる)場合は,着火ミスは発生しないが,逆に小さ過ぎる(濃過ぎる)場合は,燃焼が円滑に行われないため,着火ミスが発生する。
(3) スパーク・プラグの中心電極を細くすると,飛火性が向上するとともに着火性も向上する。
(4) 着火ミスは,電極の消炎作用が強過ぎるとき,又は吸入混合気の流速が高過ぎる(速過ぎる)場合に起きやすい。
解く
(1) 高熱価型プラグは,低熱価型プラグと比較して,火炎にさらされる部分の表面積及びガス・ポケットの容積が小さい。
適切
高熱価型プラグと低熱価型プラグを比べてみると、図のように碍子脚部の形状(Tの長さ)が異なっている。
高熱価型プラグは、図(1)のように碍子脚部が短くなっており、火炎にさらされる部分の表面積及びガス・ポケットの容積が小さく、また、碍子脚部からハウジングに至る放熱経路が短くなっているので放熱がよく、中心電極の温度は上昇しにくい。
これに対して、低熱価型プラグは、図(3)のように碍子脚部が長く、火炎にさらされる部分の表面秋及びガス・ポケットの容積が大きく、また、放熱経路が長いので放熱が少ない。
したがって、低熱価型プラグは、中心電極の温度が上昇しやすく、高熱価型に比べて低速回転でも自己清浄温度に達しやすい。
(2) 混合気の空燃比が大き過ぎる(薄過ぎる)場合は,着火ミスは発生しないが,逆に小さ過ぎる(濃過ぎる)場合は,燃焼が円滑に行われないため,着火ミスが発生する。
不適切
混合気が薄い、又は濃い
混合気が燃焼するためには、混合気の空燃比が適切であることが必要で、空燃比が大き過ぎても、また、逆に小さ過ぎても燃焼は円滑に行われず、着火ミスが発生する。
(3) スパーク・プラグの中心電極を細くすると,飛火性が向上するとともに着火性も向上する。
適切
中心電極を細くする
中心電極を細くすると、図のように飛火性が向上すると共に、着火性も向上する。これは、電極が細くなることにより消炎作用が小さくなり、火炎核が成長しやすくなるためである。
(4) 着火ミスは,電極の消炎作用が強過ぎるとき,又は吸入混合気の流速が高過ぎる(速過ぎる)場合に起きやすい。
適切
着火と着火ミス
スパーク・プラグの火花による混合気の燃焼は一瞬に行われるが、次のような過程で行われる。
混合気の中で火花を飛ばすと、図のように小さな火炎核ができ、この火炎核が周囲の混合気に広がり燃焼する。
このとき、火炎核が周囲に広がろうとするのを抑制しようとする作用も同時に起こる。これを宛極の消炎作用とい
い、電極付近の火炎核の熱を吸収して、火炎核の成長を妨げるものである。
この消炎作用が強過ぎるとき又は、吸入混合気の流速が高過ぎる場合に着火ミスが起きやすい。
着火ミスとは、スパーク・プラグの電極に火花が飛んでいるにもかかわらず、混合気が着火せず燃焼しない現象のことである。
よって答えは(2)