6
コモン・レール式高圧燃料噴射システムに関する次の文章の(イ)から(ハ)にあてはまる語句の組み合わせとして,適切なものは次のうちどれか。
「補助的な噴射であるパイロット噴射は,図に示すように圧縮の早い段階で噴射される。このとき噴射した燃料は(イ)しないで燃焼室に拡散し,(ロ)状態のまま保持される。この状態からピストンが上死点を過ぎ,シリンダ内の温度が(ハ)始めた所でメイン噴射が行われる。」
(1)(イ)引火 (ロ)冷炎反応 (ハ)上がり |
(2)(イ)自己着火 (ロ)熱炎反応 (ハ)上がり |
(3)(イ)引火 (ロ)熱炎反応 (ハ)下がり |
(4)(イ)自己着火 (ロ)冷炎反応 (ハ)下がり |
解く
「補助的な噴射であるパイロット噴射は,図に示すように圧縮の早い段階で噴射される。このとき噴射した燃料は(イ)しないで燃焼室に拡散し,(ロ)状態のまま保持される。この状態からピストンが上死点を過ぎ,シリンダ内の温度が(ハ)始めた所でメイン噴射が行われる。」
よって答えは(4)
パイ口ット噴射制御
補助的な噴射であるパイロット噴射は,図 に示すように圧縮行程の早い段階で噴射される。このとき噴射した燃料は,自己着火しないで燃焼室内に拡散し,空気と混ざった予混合状態にして,冷炎反応状態(燃焼し易い状態)のまま保持される。この状態からピストンが上死点を過ぎ,シリンダ内の温度が下がり始めた所でメイン噴射が行われるため,このとき噴射された燃料もすぐには自己着火せず,拡散して予混合状態となってから,冷炎反応状態のパイロット燃料の作用を受け急速に燃焼する。このような燃料噴射制御を行うことにより,噴射した燃料と空気とを十分混合させてから燃焼させることができるため黒煙が低減できる。また,メインの燃焼の開始を緩やかにすることで,最高燃焼温度が低下することにより NOx の排出も低減できる。ただし,ある程度エンジンの回転速度が上昇するとパイロット噴射を止め,通常の噴射方式に切り替えている。
なお,パイロット及びメインの噴射量は,各々についてエンジンの状態から算出し,各種センサによる補正を加え決定した後,レール圧に応じてインジェクタへの通電時間を制御している。また,メインの噴射時期及びパイロット噴射とメイン噴射の間隔についても同様の方法で決定している。