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タイヤに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1)ユニフォミティは,タイヤ製造中のトレッド・ゴム,カーカス・コード,ベルトなどの部材のばらつきによる寸法と剛性の均一性のことで,バランス・ウェイトで調整する。 |
(2)縦ばね定数より前後ばね定数の方が乗り心地に影響し,タイヤの構造,空気圧の変化の影響を受けにくい。 |
(3)エンベロープ特性は,バイアス・タイヤよりラジアル・タイヤの方が良い。 |
(4)パターン・ノイズは,トレッド・パターンの溝の部分が繰り返し変形して発生するエア・ポンピング音と,トレッド剛性の変化による振動強制力の影響を受ける。 |
解く
(1)ユニフォミティは,タイヤ製造中のトレッド・ゴム,カーカス・コード,ベルトなどの部材のばらつきによる寸法と剛性の均一性のことで,バランス・ウェイトで調整する。 不適切 |
ユニフォミティ
ユニフォミティは,タイヤ製造工程中のトレッド・ゴム,カーカス・コード,ベルトなどの部材のバラッキによる寸法と剛性の均一性のことで,ラン・アウトとフォース・バリエーションとがあり,振動強制力の原因となる。
①ラン・アウト(振れ)
ラン・アウトは,寸法の均一性である。図のようにタイヤ半径方向と軸方向の振れがあり,それぞれラジアル・ラン・アウト(縦振れ)とラテラル・ラン・アウト(横振れ)という。
②フォース・バリエーション
フォース・バリエーションは剛性の均一性のことで,それには,図のように次の三つのフォース・バリエーションがある。
RFV(ラジアル・フォース・バリエーション)
・タイヤの半径方向(縦方向)のカの変動の大きさ
LFV(ラテラル・フォース・バリエーション)
・タイヤの幅方向(橫方向)のカの変動の大きさ
TFV(トラクティブ・フォース・バリエーション)
・タイヤの周方向(回転方向)のカの変動の大きさ
ユニフォミティの修正は,振れと剛性の不均一をなくすことである。
実際には,図のように,振れとRFVはある程度の相関があり,ユニフォミティに起因する不具合は,縦振れを修正することにより,解消することが多い。しかし,縦振れを修正しても,RFVが残る場合は,
タイヤ内部の構造によるものである。この場合,修正は不可能であり,タイヤを交換しなければならない。
(2)縦ばね定数より前後ばね定数の方が乗り心地に影響し,タイヤの構造,空気圧の変化の影響を受けにくい。 不適切 |
ばね定数 ばね定数は,自動車の振動を左右する要因の一つであり,図のように縦ばね定数と,前後ばね定数に分けられる。縦ばね定数は,乗り心地に影響し,タイヤの構造,形状や荷重などの要因によるが,特に大きな要因は空気圧である。また,前後ばね定数は,駆動系の前後方向の振動に影響する。 |
(3)エンベロープ特性は,バイアス・タイヤよりラジアル・タイヤの方が良い。
不適切
エンべロープ特性
エンべロープ特性とは,タイヤが路面の凹凸を包み込む性質であり,特に,ハーシュネスに関係がある。
図のようにバイアス・タイヤとラジアル・タイヤのエンべロープ特性では,バイアス・タイヤの方がよい。これは,タイヤの構造によるもので,ラジアル・タイヤは,剛性の高いベルトがエンべロープ特性にマイナスとなる。また,ハーシュネスを測定した図から,ラジアル・タイヤの方が,音圧レベルが高いことが分かる。これは,ラジアル・タイヤの方がエンべロープ特性が悪いために,路面の凹凸(特に道路継ぎ目などの突起)による振動強制力を吸収する能力が低いためである。
(4)パターン・ノイズは,トレッド・パターンの溝の部分が繰り返し変形して発生するエア・ポンピング音と,トレッド剛性の変化による振動強制力の影響を受ける。
適切
トレッド・パターン
トレッド・パターンは,パターン・ノイズに直接影響する。タイヤが回転する際,図(1)のようなトレッド・パターンの溝の部分が繰り返し変形し,図(2)の溝の中の空気の流れに起因するエア・ポンピング音とトレッド剛性の変化が接地面内で振動強制力となることによる。実際には,スノー・タイヤに使用されるブロック・パターンなどは,パターン・ノイズには不利に作用する。
よって答えは(4)