自動車整備士試験勉強 始めました~(^^♪

自動車整備士資格試験を解く

平成22年3月実施1級小型問題20:タイヤに関する記述

タイヤに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)パターン・ノイズには,タイヤが回転する際にトレッド・パターンの溝の部分が繰り返し変形して発生するエア・ポンピング音などがある。

 

(2)バイアス・タイヤのエンベロープ特性は,ラジアル・タイヤのエンベロープ特性より優れているが,これはタイヤの構造によるもので,ラジアル・タイヤの剛性の高いベルトが,エンベロープ特性にマイナスとなるためである。

 

(3)タイヤの縦ばね定数は,乗り心地に影響し,タイヤの構造,形状や荷重などの要因にもよるが,特に大きな要因は空気圧である。

 

(4)ユニフォミティは,タイヤ製造工程中のトレッド・ゴム,カーカス・コード,ベルトなどの部材のバラつきによる寸法と剛性の均一性のことで,タイヤの縦振れを修正してもRFVが残る場合は,タイヤの横振れを修正することで解消する。

 

 

解く

 

(1)パターン・ノイズには,タイヤが回転する際にトレッド・パターンの溝の部分が繰り返し変形して発生するエア・ポンピング音などがある。

適切

トレッド・バターン

トレッド・パターンは,パターン・ノイズに直接影響する。タイヤが回転する際,図(1)のようなトレッド・パターンの溝の部分が繰り返し変形し,図(2)の溝の中の空気の流れに起因するエア・ポンピング音とトレッド剛性の変化が接地面内で振動強制力となることによる。実際には,スノー・タイヤに使用されるプロック・パターンなどは,パターン・ノイズには不利に作用する。

(2)バイアス・タイヤのエンベロープ特性は,ラジアル・タイヤのエンベロープ特性より優れているが,これはタイヤの構造によるもので,ラジアル・タイヤの剛性の高いベルトが,エンベロープ特性にマイナスとなるためである。

適切

エンべロープ特性

工ンべロープ特性とは,タイヤが路面の凹凸を包み込む性質であり,特に,ハーシュネスに関係がある。図左のようにバイアス・タイヤとラジアル・タイヤのエンべロープ特性では,バイアス・タイヤの方がよい。これは,タイヤの構造によるもので,ラジアル・タイヤは,剛性の高いベルトがエンべロープ特性にマイナスとなる。また,ハーシュネスを測定した図右から,ラジアル・タイヤの方が,音圧レベルが高いことが分かる。これは,ラジアル・タイヤの方がエンべロープ特性が悪いために,路面の凹凸(特に道路継ぎ目などの突起)による振動強制力を吸収する能力が低いためである。

(3)タイヤの縦ばね定数は,乗り心地に影響し,タイヤの構造,形状や荷重などの要因にもよるが,特に大きな要因は空気圧である。

適切

ばね定数

はね定数は,自動車の振動を左右する要因の一つであり,のように縦ばね定数と,前後はね定数に分けられる。縦ばね定数は,乗り心地に影響し,タイヤの構造,形状や荷重などの要因によるが,特に大きな要因は空気圧である。また,前後ばね定数は,駆動系の前後方向の振動に影響する。

(4)ユニフォミティは,タイヤ製造工程中のトレッド・ゴム,カーカス・コード,ベルトなどの部材のバラつきによる寸法と剛性の均一性のことで,タイヤの縦振れを修正してもRFVが残る場合は,タイヤの横振れを修正することで解消する。

不適切

ユニフォミティ

ユニフォミティは,タイヤ製造工程中のトレッド・ゴム,カーカス・コード,ベルトなどの部材のバラツキによる寸法と剛性の

均一性のことで,ラン・アウトとフォース・バリエーションとがあり,振動強制力の原因となる。

ラン・アウト(振れ)

ラン・アウトは,寸法の均一性である。のようにタイヤ半径方向と軸方向の振れがあり,それぞれラジアル・ラン・アウト(縦振れ)とラテラル・ラン・アウト(横振れ)という。

フォース・バリエーション

フォース・バリエーションは剛性の均一性のことで,それには,のように次の三つのフォース・バリエーションがある。

RFV(ラジアル・フォース・バリエーション)

・タイヤの半径方向(縦方向)のカの変動の大きさ

LFV(ラテラ丿いフォース・バリエーション)

・タイヤの幅方向(横方向)のカの変動の大きさ

TFV(トラクティブ・フォース・バリエーション)

・タイヤの周方向(回転方向)のカの変動の大きさ

ユニフォミティの修正は,振れと剛性の不均一をなくすことである。

実際には,のように,振れとRFVはある程度の相関があり,ユニフォミティに起因する不具合は,縦振れを修正することにより,解消することが多い。しかし,縦振れを修正しても,RFVが残る場合は,タイヤ内部の構造によるものである。この場合,修正は不可能であり,タイヤを交換しなければならない。

よって答えは4