前進4段のロックアップ機構付き電子制御式ATのライン・プレッシャ制御に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)エンジン・ブレーキ時のDレンジ4速から2レンジにダウン・シフトした場合,AT内部のクラッチに大きな駆動力が加わるため,ライン・プレッシャを通常の変速時より高くしている。
(2)AT・ECUはエンジンの負荷を車速センサの信号で判断し,車速をもとにライン・プレッシャ特性が設定されているため,車速が増すに従ってライン・プレッシャは高くなりクラッチやバンドの締結力を強めている。
(3)ATFが低温(-10℃以下)のときは,AT内部のクラッチやブレーキに作動遅れが発生するため,アクセル開度には関係なくライン・プレッシャを常に最高圧にしている。
(4)Rレンジでは,減速比が大きいため動力伝達容量を高めるためにD,2,1レンジよりライン・プレッシャを高めている。
解く
(1)エンジン・ブレーキ時のDレンジ4速から2レンジにダウン・シフトした場合,AT内部のクラッチに大きな駆動力が加わるため,ライン・プレッシャを通常の変速時より高くしている。
適切
エンジン・ブレーキ時のラインプレッシャ制御 Dレンジ第4速(オーバドライブ)又は,Dレンジ第3速で走行中に2レンジにダウン・シフトした場合AT内部のクラッチに大きな駆動力が加わるため,クラッチ作動油圧又は,ライン・プレッシャを通常のライン・プレッシャより高く設定する必要がある。アクセル開度1/16以下で,Dレンジ第4速(オーバドライブ)から2レンジ又は,1レンジにダウン・シフトした場合とDレンジ第3速から2レンジ又は,1レンジにダウン・シフトした場合ではクラッチに加わる駆動力が異なるため,図のようにそれぞれに最適なライン・プレッシャ特性を設定している。 |
(2)AT・ECUはエンジンの負荷を車速センサの信号で判断し,車速をもとにライン・プレッシャ特性が設定されているため,車速が増すに従ってライン・プレッシャは高くなりクラッチやバンドの締結力を強めている。
不適切
通常時のラインプレッシャ制御 ECUがエンジンの負荷をスロットル・ポジション・センサの信号より判断し,スロットル開度をもとにライン・プレッシャ特性を設定している。また,図のようにアクセル開度が増すに従ってライン・プレッシャは高くなりクラッチやバンドの締結力を強めている。 なお,Rレンジでは,減速比が大きいため動力伝達容量を高めるためにD,2,1レンジよりライン・プレッシャを高めている。 |
(3)ATFが低温(-10℃以下)のときは,AT内部のクラッチやブレーキに作動遅れが発生するため,アクセル開度には関係なくライン・プレッシャを常に最高圧にしている。
適切
低温時のラインプレッシャ制御 ATFが低温時の場合,粘性変化のために起こる変速時のショックを防止するために油温60℃以下では図左のように変速時のライン・プレッシャを通常時より低く調圧している。 また,ATFの温度が定められた温度以下(-10℃)になったとき,クラッチやブレーキなどの作動遅れが発生するため,図右のようにアクセル開度に関係なくライン・プレッシャを常に最高圧にしている。 |
(4)Rレンジでは,減速比が大きいため動力伝達容量を高めるためにD,2,1レンジよりライン・プレッシャを高めている。
適切
(2)より
よって答えは(2)