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自動車整備士資格試験を解く

平成15年実施1級小型問題検定:ABSのポンプ・モータに関する記述

ABSのポンプ・モータに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ポンプ・モータは,ABS制御中にリザーバ・タンクに蓄えられたブレーキ液を,マスタ・シリンダに戻す機能を持っている直流モータである。

(2)ポンプ・モータ駆動電圧は,ポンプ・モータ・リレーをONにし,ポンプ・モータが定格回転に達すると,バッテリ電圧約12Vに近づく。また,同リレーをOFFにすると,モータ回転が低下するのに伴って電圧も下がる。

(3)ポンプ・モータ・リレーは,ABS制御によるブレーキ液圧の増圧開始時に,ECUからの信号によりリレー・スイッチがONにされ,ポンプ・モータを駆動している。また,ABS制御停止時には,ECUからの信号によりリレー・スイッチをOFFにすることで、ポンプ・モータを停止させる制御をしている。

(4)ポンプ・モータ・リレー信号電圧は,ポンプ・モータを駆動していないとき(ABS制御停止時)には約12Vとなり,駆動しているとき(ABS制御時)は約0Vになる。

 

解く

(1)ポンプ・モータは,ABS制御中にリザーバ・タンクに蓄えられたブレーキ液を,マスタ・シリンダに戻す機能を持っている直流モータである。

(2)ポンプ・モータ駆動電圧は,ポンプ・モータ・リレーをONにし,ポンプ・モータが定格回転に達すると,バッテリ電圧約12Vに近づく。また,同リレーをOFFにすると,モータ回転が低下するのに伴って電圧も下がる。

(3)ポンプ・モータ・リレーは,ABS制御によるブレーキ液圧の増圧開始時に,ECUからの信号によりリレー・スイッチがONにされ,ポンプ・モータを駆動している。また,ABS制御停止時には,ECUからの信号によりリレー・スイッチをOFFにすることで、ポンプ・モータを停止させる制御をしている。

不適切

 

(4)ポンプ・モータ・リレー信号電圧は,ポンプ・モータを駆動していないとき(ABS制御停止時)には約12Vとなり,駆動しているとき(ABS制御時)は約0Vになる。

 

 

よって答えは3

 

 

スイッチング駆動アクチュエータ

ABSのモジュレータ・ユニットは,図に示すように各車輪へのブレーキ圧を制御するモジュレータ・バルブ,減圧制御時にブレーキ・フルードを一時蓄えるリザーバ,リザーバに蓄えられたブレーキ液をマスタ・シリンダへ戻すポンプとポンプ・モータなどから構成されている。

ABSでは,各リレーを介してモジュレータ・ユニットを駆動する。モータによりポンプを駆動して油圧を昇圧させ,モジュレータ・ユニット内のモジュレータ・バルブにより油圧の制御を行う。アクチュエータの作動としては,停止と駆動を比較的長い周期で行う場合と瞬間的に駆動と停止を行うアクチュエータがあり,駆動停止時には電圧なし,駆動時には,電源電圧の範囲で設定された一定電圧で駆動される。

ポンプ・モータ

ポンプ・モータは,小型で駆動トルクの大きい固定磁界モータが利用され,図のような固定磁界モータ構造で,ヨークにパーマネント・マグネ

ット(永久磁石)が内蔵され,ブラシからコンミュテータを介して,ロータ・コイルに電流を流して駆動する。

回路構成

回路の構成は,図に示すようにECUマイコンの信号電圧により12V電源⇒駆動回路のFSRのTr⇒FSRのコイル(フェイルセーフ・リレー・コイル)⇒ボデー・アースに電流を流す回路構成,及びマイコンの信号電圧により12V電源⇒FSR(フェイルセーフ・リレー)⇒PMRのコイル(ポンプ・モータ・リレー・コイル)⇒駆動回路のPMRのTr⇒ECUのアースに電流を流す回路構成,更に12V電源⇒PMR⇒モータ⇒ボデー・アースに電流を流す回路が構成されてポンプ・モータが駆動する。また,MCK(ポンプ・モータ駆動チェック)の回路の構成は,駆動停止時には,駆動回路⇒ダイオード⇒MCK駆動診断線⇒モータ⇒ボデー・アースに電流を流す回路構成,駆動時には,モータ駆動線⇒MCK駆動信号線⇒ダイオードで電流の流れが止まり,駆動回路⇒診断信号線に電流を流す回路が構成される。なお,FSR,PMR,MCK端子からマイコンにフィードバックされる信号線は,便宜上,一つの信号線とし表しているが,実際は並列接続となっている。

信号形態

FSR(フェイルセーフ・リレー)駆動回路(プラス駆動回路)

PMR(ポンプ・モータ・リレー)の駆動準備は,図に示す駆動回路がFSRコイルを駆動することによりFSRコンタクト・ポイントがONされ,PMRのコイルに電源電圧が入力(駆動回路のTrがOFFでPMRは駆動はしない。)してPMRの駆動準備が整う。図左に示すものがFSRコイル駆動信号電圧特性,図右に示すものがFSRコイル駆動電圧特性で,イグニション・スイッチON状態のシステム正常時には,常にPMR(ポンプ・モータ・リレー)駆動準備完了状態にある。

PMR(ポンプ・モータ・リレー)駆動回路(マイナス駆動回路)

走行状態の過程において,マイコンが必要と判断した場合には,回路構成の図(駆動回路構成)で示すようにFSRコンタクト・ポイントを経由した電源電圧をPMRコイルを介して引き込み,PMRコンタクト・ポイントをONして,ポンプ・モータを駆動して制御油圧の圧送を行う。図左に示すものがPMRコイル駆動信号電圧特性,図右に示すものがモータの駆動電圧特性である。

MCK(ポンプ・モータ駆動チェック)回路

図(駆動回路構成)に示すMCKのフィードバックは,駆動停止時の正常時には,駆動回路からMCK駆動診断線に5Vを出力し,モータ・アース線を介してボデー・アースに落ちて,マイコンには0Vが入力される。よって,マイコンは,回路不具合によりMCKの診断信号5Vが入力された場合には,駆動回路がFSRコイルの駆動を停止して,フェイルセーフに入る。