その他のセンサ
(1)種類
ここでは,前述した論理信号センサ,リニア信号センサ及び周波数信号センサに該当しないノック・センサ,について説明する。
(2)回路の構造・機能
(イ)ノック・センサ
図に示すノック・センサは,シリンダ・ブロックに取り付けられており,エンジンの高負荷時に発生するノッキングによる振動を検出している。
ECUは,振動が規定値を超えたとき,点火時期を最適に制御(遅角)することでノッキングを低減させる。
ノック・センサは,振動板をセンサ・ボデーに固定し,振動板上に圧電素子(圧力を加えると起電力を発生させる特殊な素子)が組み付けられている。この圧電素子には電極が設けられ,一方の電極は出力ターミナル,他方の電極はノック・センサ・ボデーに接続されている。
ノック・センサの発生起電力は,エンジン全般の振動成分(共振型ではノック領域だけを検出しているものもある。)を含有しており,この振動成分は,2気筒,直列4気筒,直列6気筒,V型8気筒でそれぞれ異なり,シリンダ・ブロックの材料組成条件にも関係し,鋳鉄製ブロックとアルミ合金製ブロックでは,ノッキングの周波数が異なる。
信号電圧を作る回路構成は,図に示すもので,センサが発生する自己起電力で信号電圧が作られ,増幅比較器,入力回路を介してマイコンに入力される。
(a)信号形態
信号電圧は,ノック・センサがエンジン運転時に振動による衝撃を受けると,センサが発生する自己起電力により図のようなセンサ信号電圧が作られ,入力回路を介してマイコンに入力される。マイコンは,ノック・センサからの振動信号を入力回路で整形し,そのエンジン特有のノッキング成分の振動信号とECUで記憶している振動レべルを比較し,信号が規定値を超えたときに点火時期の遅角を行う。この遅角作用は,振動信号が規定値以下になるように制御される。
(b)異常検知
センサの機能低下(特性異常)や各配線に異常(接触抵抗の増大など)が発生し,プログラムのマップ・データと検出信号電圧とが一致しなくても,この信号電圧がプログラムのマップ・データで設定した異常検知不可範囲にある場合は,マイコンは異常検知しない。
(ⅱ)異常検知の回路
① 図の■の部分の回路において,ECU内部,信号線,センサ内部の断線及びアースに異常がある場合と,■■■■の部分の信号線及びECU内部に短絡がある場合には,入力回路にセンサからの信号電圧のOVを入力するため,マイコンは,閾値をダウン・エッジする信号電圧を検出して異常検知を行う。