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ピストン・リングに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)フラッタ現象が起きると,ピストン・リングの機能が損なわれ,ガス漏れによるエンジン出力の低下,オイル消費量の増大,リング溝やリング上下面の異常摩耗などが促進される。
(2)ピストン・リングには,耐摩耗性,強じん性,耐熱性及びオイル保持性などが要求されるため,一般にコンプレッション・リングの材料は特殊鋳鉄又は炭素鋼で,オイル・リングは炭素鋼で作られている。
(3)スカッフ現象は,オイルの不良や過度の荷重が加わったとき,あるいはオーパヒートした場合などに起こりやすい。
(4)バレル・フェース型のピストン・リングは,吸入行程では,シリンダ壁面と線接触し,また,燃焼(膨張)行程では,高い面圧でシリンダ壁面に密着しており,一般にセカンド・リングに用いられている。
解く
(1)フラッタ現象が起きると,ピストン・リングの機能が損なわれ,ガス漏れによるエンジン出力の低下,オイル消費量の増大,リング溝やリング上下面の異常摩耗などが促進される。
適切
③フラッタ現象 フラッタ現象とは、ピストン・リングがリング溝と密着せずにバタバタと浮き上がる現象をいい、ピストン・リング、ピストン及びシリンダ壁面との気密が損なわれ、ピストン・リングの上下面に作用する圧縮圧力による力よりピストン・リングの慣性力が上回ると発生する。コンプレッション・リングやシリン ダ壁面が摩耗した場合に起りやすく、この現象は、ピストン・リングの拡張力が小さいほど、ピストン・ リング幅が厚いほど、また、ピストン速度が速いほど起こりやすい。 したがって、この現象が起きた場合には、ピストン・リングの機能が損なわれ、ガス漏れによるエンジン出力の低下、オイル消費量の増大、リング溝やリング上下面の異常摩耗などが促進される。 なお、正常の場合のコンプレッション・リングは、リング固有の拡張力とリング内周面に働く燃焼ガス 圧力や圧縮圧力によって、シリンダ壁面に強くく押し付けられている。 |
(2)ピストン・リングには,耐摩耗性,強じん性,耐熱性及びオイル保持性などが要求されるため,一般にコンプレッション・リングの材料は特殊鋳鉄又は炭素鋼で,オイル・リングは炭素鋼で作られている。
適切
ピストン・リングには、耐摩耗性、強じん性、耐熱性及びオイル保持性などが要求され、一般にコンプレッション・リングの材料は、特殊鋳鉄又は炭素鋼で、オイル・リングは炭素鋼で作られている。 |
(3)スカッフ現象は,オイルの不良や過度の荷重が加わったとき,あるいはオーパヒートした場合などに起こりやすい。
適切
スカッフ現象 スカッフ現象とは、シリンダ壁面の油膜が切れてリングとシリンダ壁面が直接接触しリングやシリン ダの表面に引っかき傷ができることをいい、この現象は、オイルの不良や過度の荷重が加わったとき、あるいは、オ一バヒー卜した場合などに起こりやすい。 |
(4)バレル・フェース型のピストン・リングは,吸入行程では,シリンダ壁面と線接触し,また,燃焼(膨張)行程では,高い面圧でシリンダ壁面に密着しており,一般にセカンド・リングに用いられている。
不適切
バレル・フェースアンダ・カット型のピストン・リングは,吸入行程では,シリンダ壁面と線接触し,また,燃焼(膨張)行程では,高い面圧でシリンダ壁面に密着しており,一般にセカンド・リングに用いられている。
バレル・フェース型
バレル・フェース型は、しゅう動面が円孤状になっており、初期なじみの際の異常摩耗が少なく、シリンダ壁面との油膜を一定に保つので、後述するスカッフ現象を防止する。また、燃焼(膨張)行程及び圧縮行程では、図2 — 9のように燃焼ガスの圧力や圧縮圧カが, リングの上面と背面に加わるため、一層碰くシリンダ壁面に密着して、ガス漏れや圧縮漏れを防ぐと共に、オイル上がりを防ぐ役目も果たしている。
なお、このリングは、一般にトップ・リングに用いられている。
よって答えは(4)