パラレル・シリーズ・ハイブリッド車に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)搭載されている高膨張比サイクル(アトキンソン・サイクル)ガソリン・エンジンは,インテーク・バルブが閉じる時期を遅くして,圧縮行程が始まる初期は(ピストンが上昇を始めたときには),シリンダ内に吸入した空気を一部インテーク・マニホールド側に戻し,圧縮の開始を実質的に遅らせることで,実圧縮比を高めることなく,高い膨張比を得ている。
(2)やむを得ず4輪が接地した状態でロープにより牽引する場合は,イグニション・スイッチはアクセサリ,シフト・レバーはNレンジにして,60km/h以下で60kmまでの移動距離とする。
(3)事故等でHVバッテリの液漏れが発生し,やむを得ずバッテリ液に触れる場合は,ゴム手袋,保護メガネを着用し,漏れているバッテリ液を飽和ホウ酸水で中和して,赤色リトマス試験紙が青色に変化しないことを確認後,ウェス等でふき取る。
(4)HVバッテリとインバータ,インバータとモータやジェネレータを結ぶパワー・ケーブルをはじめ,高電圧系のワイヤ・ハーネス,コネクタがオレンジ色等に統一されているため,一般の低電圧用電線との識別が容易である。
解く
(1)搭載されている高膨張比サイクル(アトキンソン・サイクル)ガソリン・エンジンは,インテーク・バルブが閉じる時期を遅くして,圧縮行程が始まる初期は(ピストンが上昇を始めたときには),シリンダ内に吸入した空気を一部インテーク・マニホールド側に戻し,圧縮の開始を実質的に遅らせることで,実圧縮比を高めることなく,高い膨張比を得ている。
適切
既存エンジンは,圧縮行程容積と燃焼(膨張)行程容積がほぼ同一のため,圧縮比と膨張比は基本的に同一となる。
このため,膨張比を高めようとすると圧縮比も高くなり,ノッキングの発生が避けられず膨張比を高めることには限界がある。
そのため,インテーク・バルブが閉じる時期を遅くして,圧縮行程が始まる初期は(ピストンが上昇を始めたときには),シリンダ内に吸入した空気を一部インテーク・マニホールド側に戻し,圧縮の開始を実質的に遅らせることで,実圧縮比を高めることなく,高い膨張比を得ることができる。
また,この方式によりスロットル・バルブ開度を大きくすることが可能となり,部分負荷時にインテーク・マニホールド負圧を小さくできるため,吸気損失も低減できる。
(2)やむを得ず4輪が接地した状態でロープにより牽引する場合は,イグニション・スイッチはアクセサリ,シフト・レバーはNレンジにして,60km/h以下で60kmまでの移動距離とする。
不適切
やむを得ず 4 輪が接地した状態でロープにより牽引する場合は, 30km/h 以下でレッカ車までの移動などできるだけ短い距離とする。
このとき,イグニション・スイッチはアクセサリ,シフト・レバーは N レンジにして,牽引の途中で車両に異常を感じた場合は,直ちに牽引を中止する。
(3)事故等でHVバッテリの液漏れが発生し,やむを得ずバッテリ液に触れる場合は,ゴム手袋,保護メガネを着用し,漏れているバッテリ液を飽和ホウ酸水で中和して,赤色リトマス試験紙が青色に変化しないことを確認後,ウェス等でふき取る。
適切
HV バッテリ付近の液漏れを確認する。漏れている液は,強アルカリ性の電解液である恐れがあるため,触れないようにする。やむを得ず触れる場合は,ゴム手袋,保護メガネを着用し,漏れている液を飽和ホウ酸水で中和して,赤色リトマス試験紙が青色に変化しないことを確認後,ウエス等で拭き取る。
(4)HVバッテリとインバータ,インバータとモータやジェネレータを結ぶパワー・ケーブルをはじめ,高電圧系のワイヤ・ハーネス,コネクタがオレンジ色等に統一されているため,一般の低電圧用電線との識別が容易である。
適切
高電圧回路のワイヤ・ハーネス,コネクタは,オレンジ色で統一してある。
また, HV バッテリをはじめ高電圧に関わる部品には,「高電圧」のコーション・ラべルが張り付けてある。
よって答えは 2