図に示すFET電子スイッチ(Power・MOS-FET)を用いたオート・エアコンのブロア・モータの駆動回路の点検に関して述べた(イ)から(ハ)の文章の正誤の組み合わせとして,適切なものは(1)から(4)のうちどれか。
(イ)モータのHigh駆動条件時(デューティ比80%の駆動),V1の電圧が2.4Vに,V2の電圧が9.6Vにそれぞれ満たない場合,駆動電源線の異常(断線,短絡,接触抵抗などの増大),駆動線の異常(断線,接触抵抗などの増大),駆動アース線の異常(断線,接触抵抗などの増大)が考えられる。
(ロ)モータのLow駆動条件時(デューティ比30%の駆動),V1に3.6Vの電圧が発生する場合,オート・エアコンECU本体の異常は考えられるが,FET電子スイッチの異常は考えられない。
(ハ)駆動停止条件時,V1に12Vの電圧の発生がなくV2に12Vの電圧が発生している場合,FET電子スイッチの異常は考えられるが,オート・エアコンECU本体の異常は考えられない。
(1) (イ)誤 (ロ)誤 (ハ)誤 |
(2) (イ)正 (ロ)誤 (ハ)誤 |
(3) (イ)誤 (ロ)正 (ハ)誤 |
(4) (イ)正 (ロ)誤 (ハ)正 |
解く
駆動条件時のイメージ
(イ)モータのHigh駆動条件時(デューティ比80%の駆動),V1の電圧が2.4Vに,V2の電圧が9.6Vにそれぞれ満たない場合,駆動電源線の異常(断線,短絡,接触抵抗などの増大),駆動線の異常(断線,接触抵抗などの増大),駆動アース線の異常(断線,接触抵抗などの増大)が考えられる。
デューティ比80%の駆動:V2電圧平均値
12×0.8=9.6
よってV1電圧の平均値:12-9.6=2.4
駆動電源線の異常(断線,短絡,接触抵抗などの増大)
断線:V1、V2=0V
短絡:V1、V2=0V
駆動電源線の接触抵抗などの増大:接触抵抗で分圧されるので、V1,V2共基準より低い電圧となる
断線:V1、V2=0V
接触抵抗で分圧されるので、V1,V2共基準より低い電圧となる
駆動アース線の異常(断線,接触抵抗などの増大)
断線:V1,V2共0Vというよりは電圧の発生がない
駆動アース線の接触抵抗などの増大
接触抵抗で分圧されるので、V1,V2共基準より低い電圧となる。
適切
(ロ)モータのLow駆動条件時(デューティ比30%の駆動),V1に3.6Vの電圧が発生する場合,オート・エアコンECU本体の異常は考えられるが,FET電子スイッチの異常は考えられない。
デューティ比30%の駆動:V2電圧平均値
12×0.3=3.6
よってV1電圧の平均値:12-3.6=8.4Vが正常
正常時より低い電圧
オート・エアコンECU本体の異常:考えられる(駆動信号異常)
FET電子スイッチの異常:考えられる(正常に作動してない)
ECU内駆動信号線の異常はそのままFET電子スイッチの作動以上につながる。
この二つは関連している。
不適切
(ハ)駆動停止条件時,V1に12Vの電圧の発生がなくV2に12Vの電圧が発生している場合,FET電子スイッチの異常は考えられるが,オート・エアコンECU本体の異常は考えられない。
駆動停止条件時
正常時:G~S間電位差0,V1電圧12V,V2電圧0V
FET電子スイッチの異常:D~S間短絡なら考えられる。
オート・エアコンECU本体の異常:マイコンや駆動回路の異常でGへ電圧が発生していれば考えられる。
不適切
よって答えは(2)