自動車整備士試験勉強 始めました~(^^♪

自動車整備士資格試験を解く

令和6年3月実施1級小型問題18:プロペラ・シャフトに関する記述

18

プロペラ・シャフトに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)3ジョイント・プロペラ・シャフトは,2ジョイント・プロペラ・シャフトと比較して,回転変動を相殺させる性能に優れているため,ジョイント角を大きく設定することが可能となる。

 

(2)プロペラ・シャフトのジョイント部に発生する二次偶力は,入力軸と出力軸を平行にすることにより解決されるが,プロペラ・シャフトの位相を組み間違えると,二次偶力を増幅させる結果となる。

 

(3)フレキシブル・ジョイントは,ヨーク間に硬質ゴム製のカップリングを挟み,交互にボルトで締め付けたもので,弾性係数が低いことと,内部摩擦による減衰作用を持っていることが特徴である。

 

(4)シェル形べアリング・カップ・ジョイントは,プロペラ・シャフトのバランス性能を安定化させるもので,軸受けのヨークへの固定には,一般にキャッスル・ナットを用いている。

 

 

解く

 

(1)3ジョイント・プロペラ・シャフトは,2ジョイント・プロペラ・シャフトと比較して,回転変動を相殺させる性能に優れているため,ジョイント角を大きく設定することが可能となる。

不適切

図(1)の2ジョイント・プロペラ・シャフトと比べ,図(2)の3ジョイント・プロペラ・シャフトの場合,回転変動が完全に相殺されないため,ジョイント角を極力小さくする

ことも重要である。

(2)プロペラ・シャフトのジョイント部に発生する二次偶力は,入力軸と出力軸を平行にすることにより解決されるが,プロペラ・シャフトの位相を組み間違えると,二次偶力を増幅させる結果となる。

不適切

ジョイント角

図のようにプロペラ・シャフトのジョイント部には,自動車の構造上,ジョイント角が生じ,プロペラ・シャフトが回転すると振動強制力が発生する。振動周波数は,プロペラ・シャフトの二次成分(プロペラ・シャフト回転速度の2倍)である。この振動強制力は,入力軸に対する出力軸の回転変動と各ジョイント部に働く二次偶力によるものである。

回転変動

プロペラ・シャフトには,通常,フック・ジョイントが使われているので,ジョイント角があると,入力軸に対して出力軸に回転(トルク)変動が発生する。この回転変動を防止するには,当然,ジョイント角をなくせばよいが,車両の構造上,無理である。そこで,入力軸と出力軸を平行にすることにより回転変動を相殺することが有効である。

ここで注意することは,図(1)のように位相を合わせることである。図(2)のように位相を間違えると,回転変動は相殺されずに,かえって増幅させることになる。

ただし,図(1)の2ジョイント・プロペラ・シャフトと比べ,図(2)の3ジョイント・プロペラ・シャフトの場合,回転変動が完全に相殺されないため,ジョイント角を極力小さくすることも重要である。

ニ次偶カ

プロペラ・シャフトのジョイント部には,それぞれ,ジョイント角と入力トルクに比例した二次偶力が発生する。二次偶力とは,スパイダを介して反対側の軸から受ける偶力のことであり,シャフト1回転に2回の割合で変動するので二次偶力という。この二次偶力は,ジョイント角に付いている方向とその反対方向に作用し,図のように実際には上下方向に働く。また,二次偶力は,ジョイント角と入力トルクに比例することから,3ジョイント・プロペラ・シャフトの発進加速時に問題となる。二次偶力が回転変動と最も異なる点は,それぞれのジョイント角に存在することである。したがって,回転変動のように入力軸と出カ軸を平行にすることだけでは解決できない。

 

 

(3)フレキシブル・ジョイントは,ヨーク間に硬質ゴム製のカップリングを挟み,交互にボルトで締め付けたもので,弾性係数が低いことと,内部摩擦による減衰作用を持っていることが特徴である。

適切

フレキシブル・ジョイント

フレキシプル・ジョイントは,2個の三つ又状のヨークの間に,硬質ゴム製のカップリングを挟み,交互にボルトで締め付けてジョイントとしたものである。特徴としては,弾性が低いことと,内部摩擦による減衰作用により,エンジンからプロペラ・シャフトに伝達される振動が低下し,リヤ・サスペンションを経由する振動と騒音(特にこもり音)が低減されることである。

 

(4)シェル形べアリング・カップ・ジョイントは,プロペラ・シャフトのバランス性能を安定化させるもので,軸受けのヨークへの固定には,一般にキャッスル・ナットを用いている。

不適切

シェル形べアリング・カップ・ジョイ

シェル形べアリング・カップ・ジョイントとは,プロペラ・シャフトのバランス性能を安定化させるものである。

軸受けのヨークへの固定方法は,一般にスナップ・リングによる方法カシメによる方法がある。

図のようにシェル形べアリング・カップ・ジョイントは,カシメによる方法であり,スパイダ端面にカップ底を当ててカシメるので,がたは発生せず,バランス性能を安定化させることができる。

よって答えは(3)