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令和5年3月実施1級小型問題16:振動・騒音に関する記述

16

振動・騒音に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ディスク・ブレーキの場合,ブレーキ・パッドの背面にゴムでコーティングされたアンチ・スクィール・シムを追加し,ゴムの減衰特性を利用してブレーキ・パッドの振動を減衰させてブレーキ鳴きの低減を図っている。

 

(2)ギヤのガタ打ち音は,歯車がかみ合うときに発生する音であり,かみ合い歯数から決まる特定の振動周波数でピークを示す。

 

(3)ドライブ・シャフトにおける等速性とは,入力軸の回転角度が出力軸においてどのくらい変動するのか,ということである。

 

(4)プロペラ・シャフトのジョイント部に発生する二次偶力とは,スパイダを介して反対側の軸から受ける偶力のことで,シャフト1回転に2回の割合で変動する。

 

(解く)

 

(1)ディスク・ブレーキの場合,ブレーキ・パッドの背面にゴムでコーティングされたアンチ・スクィール・シムを追加し,ゴムの減衰特性を利用してブレーキ・パッドの振動を減衰させてブレーキ鳴きの低減を図っている。

適切

(2)ギヤのガタ打ち音は,歯車がかみ合うときに発生する音であり,かみ合い歯数から決まる特定の振動周波数でピークを示す。

不適切

 

ギヤのうなり音とガタ打ち音

ギヤのうなり音は,歯車がかみ合うときに発生する音であり,かみ合い歯数から決まる特定の振動周波数でピークを示す。

ギヤのガタ打ち音は,駆動力を伝達していない歯車の対の歯面が,エンジンのトルク変動により,たたき合うときに発生する音であり,振動周波数成分は,図のように特に顕著なピークを示さす,広範囲に及ぶ。発生する条件によって,ガラ音とジャラ音に分類され,クラッチ・ディスクのダンパなどで低減している。

(3)ドライブ・シャフトにおける等速性とは,入力軸の回転角度が出力軸においてどのくらい変動するのか,ということである。

適切

 

参考

 

ユニバーサル・ジョイント

・必要性

自動車の動力伝達装置には角度のついた軸の間で回転力を伝えている部分がある。そこで使われるユニバーサル・ジョイントには構造が簡単で丈夫であり,円滑に回転を伝えられることが条件となる。また、ユニバーサル・ジョイントにはいくつかの種類があるが,プロペラ・シャフトのように伝達角度の小さい場合にはフック・ジョイントやフレキシブル・ジョイントが用いられ,前輪駆動車のドライブ・シャフトのようにホイール側に大きな伝達角度のつく場合には等速ジョイントが用いられる。

 

ジョイント

フック・ジョイント

フック・ジョイントは図に示すように駆動側と受動側の2つのヨーク及びこれらを結合するスパイダと,4個のべアリングなどからなっている。

構造的には簡単で作動も確実であるが,2軸間に角度がついた場合に,駆動軸の角速度が一定でも受動軸の角速度は1回転の中で増速と減速を繰り返す性質があり,これをフック・ジョイントの不等速性という。この性質は2つの軸の交わる角度が大きくなる程増加する。

この不等速性について説明する。

駆動軸と受動軸の間に角度がついている場合,受動側のスパイダの回転の軌跡を駆動側のスパイダの回転面に投影してみると図のように楕円になる。

また,投影前は90°であった角度は∠aob<90°,∠boc>90°のように変化する。このため,駆動軸が一定速度で回転していても,駆動軸に対して受動側のスパイダが同図のような角度になる付近では,駆動側がA~B間を移動している間に,受動側はより角度の小さいa~b間を移動している。

つまり受動側の回転速度は駆動側に比べて遅くなっている。またさらに90°回った位置の前後では駆動側がB~C間を移動する間に,受動側はより角度の大きいb~c間を移動することになるので,回転速度が速くなってくる。

この受動側の回転速度の変化をグラフに表すと図のようになり,受動軸の速度は1回転の間に最大及び最小の点が2回ずつ現れ,加速期間,減速期間も同様に2回ずつ現れる。

以上のことからトランスミッションからファイナル・ギヤ及びディファレンシャルに回転カを伝達する場合には,車体の揺動に伴ってプロペラ・シャフトのジョイントの前後に角速度の変動が起きるので,2組のフック・ジョイントのヨークを図で示すような向きに組み付け,発生した角速度の変動を打ち消すようにしている。

(4)プロペラ・シャフトのジョイント部に発生する二次偶力とは,スパイダを介して反対側の軸から受ける偶力のことで,シャフト1回転に2回の割合で変動する。

適切

 

参考

 

ニ次偶カ

プロペラ・シャフトのジョイント部には,それぞれ,ジョイント角と入力トルクに比例した二次偶力が発生する。二次偶力とは,スパイダを介して反対側の軸から受ける偶力のことであり,シャフト1回転に2回の割合で変動するので二次偶力という。この二次偶力は,ジョイント角に付いている方向とその反対方向に作用し,図のように実際には上下方向に働く。また,二次偶力は,ジョイント角と入力トルクに比例することから,3ジョイント・プロペラ・シャフトの発進加速時に問題となる。二次偶力が回転変動と最も異なる点は,それぞれのジョイント角に存在することである。したがって,回転変動のように入力軸と出カ軸を平行にすることだけでは解決できない。

偶力

異なる作用線上にあって,大きさが等しく平行で逆向きの二つの力。物体の回転運動を変化させる作用をもつ。

 

よって答えは2