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令和6年3月実施2級ジーゼル問題22:ホイール・アライメント

22

ホイール・アライメントに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。        

 

(1) キャスタ・トレールを長くすると直進復元力が向上し,ホイールの動きを不安定にする力を抑える作用が働き,ステアリング・ホイールの操舵力は軽減される。

(2) 独立懸架式のサスペンションでは,キング・ピンを使用していないため,キング・ピン傾角に相当する角度のことをステアリング軸傾角という。

(3) サイド・スリップ・テスタを用いてサイド・スリップ量を測定する場合は,かじ取り車輪をテス夕の踏み板上で静かに通過させる必要があるため,ブレーキを軽く操作しながら行う。

(4) FF車のトーは,駆動力が前輪に働くことから加速時などにトーイン方向に力が働くことを考慮して,一般に大きく卜ーアウトへ設定される場合が多い。

 

 

解く

 

(1) キャスタ・トレールを長くすると直進復元力が向上し,ホイールの動きを不安定にする力を抑える作用が働き,ステアリング・ホイールの操舵力は軽減される。

不適切

キャスタのオフセット

キャスタ・トレールは直進復元力を向上させ、ホイールの動きを不安定にする力を抑える作用があるが、キャスタ・トレールを長くすると復元力が大きくなる反面、ステアリング・ホイールの操舵力が重くなったり、ステアリング・ホイールの戻り速度が速くなりすぎるなどして、操舵感の悪化を招くことになる。

一方、キャスタはキング・ピン傾角と共に操舵時のキャンバ変化に影響し、キャスタを大きく設定することで、旋回時における外側のホイールのキャンバがマイナス方向に変化するようになり、コーナリング・フォースが増加することで旋回性能が向上する。そのため、近年の車両では、図のようにキング・ピン軸をホイール中心から前後に動かすことで、キャスタを変更しないでキャスタ・トレールを設定している。また、前後に動かした距離をホイール・センタ・キャスタ・オフセットという。

(2) 独立懸架式のサスペンションでは,キング・ピンを使用していないため,キング・ピン傾角に相当する角度のことをステアリング軸傾角という。

適切

キング・ピン傾角

車両を前方から見ると、キング・ヒンは図(1)のように鉛直線に対して内側に傾けて取り付けられている。この傾きをキング・ピン傾角といい、図(1)に車軸懸架式、図(2)と図(3)に独立懸架式の一例を示す。

独立懸架式はキング・ピンを使用していないため、キング・ピン傾角相当としてウィッシュボーン型では、図(2)に示すホール・ショイントの中心を結ぶ直線と鉛直線によって作られる角度、ストラット型では、図(3)に示すショック・アプソーバ上部のマウンティング・プロック中心と下部のボール・ジョイント中心を結ぶ直線と鉛直線によって作られる角度を用いる。これらのキング・ピン傾角に相当する角度のことを別称でステアリング軸傾角という。

キング・ピン軸の路面交点とタイヤ接地中心点の距離をキング・ピン・オフセット(スクラブ半径)という。

 

 

(3) サイド・スリップ・テスタを用いてサイド・スリップ量を測定する場合は,かじ取り車輪をテス夕の踏み板上で静かに通過させる必要があるため,ブレーキを軽く操作しながら行う。

不適切

サイド・スリップ・テスタ

(1)目的

サイド・スリップ・テスタは、図のようなもので、自動車の走行によって生じるホイールの横滑り量(サイド・スリップ量)を踏み板の移動量によって測定するものである。この場合、横滑り量を表す目盛りの単位は、一般にmm/mを用い、自動車が直進したときの進行方向に対して直角方向への移動量を表すようになっている。

なお、フロント・ホイールの横滑り量は、フロント・ホイール・アライメントのうち、特にトーインとキャンバが密接に関係するので、これらの良否判定の手段としても用いられる。

(2)取り扱い

測定する場合には、まず、踏み板面の汚れの有無、踏み板及び指示計の作動状態などを確かめる。

次に、直進状態の車両をテスタに正対させ、静かに前進し、かじ取り車輪がテスタの踏み板上を通過し終わるまでに指示計が示した最大のサイド・スリップ量を読み取る。

なお、測定時の注意事項は次のとおりである。

踏み板上では、ステアリング・ホイール及びブレーキ操作はしないこと。

・前2軸車(大型車)は、前前軸及び前後軸を測定する。

 

(4) FF車のトーは,駆動力が前輪に働くことから加速時などにトーイン方向に力が働くことを考慮して,一般に大きく卜ーアウトへ設定される場合が多い。

不適切

トーインの役割

従来のトーインにする目的は、プラス・キャンバの特性により、フロント・ホイールの前側が外側に広がろうとする(トーアウト)のを防ぐことであったが、近年の乗用車では、マイナス・キャンバに設定されることが多いものの、走行抵抗や制動時の入力もトーアウト方向に作用することから、直進安定性の確保を主な目的として僅かにトーインとなっている。また、FF車の場合には、駆動力が前輪に働くことから加速時なとにトーイン方向に力が働くことを考慮して、トーはゼロ付近に設定される場合が多い。

 

よって答えは2