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インテグラル型パワー・ステアリング(ロータリ・バルブ式)に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1) 操舵時は,トーション・バーのねじれ角に応じてスリーブが回転し,油路を切り替える。
(2) 直進時は,スリーブとロータ間の位置関係が中立にあり,パワー・シリンダの両室に作用する油圧は等しい。
(3) かじ取り感覚(ステアリング・ホイールにかかる反力)は,トーション・バーのねじれを反力として利用することで得ている。
(4) エンジン停止時や故障により操舵時に油圧が発生しない場合は,トーション・バーがねじれスタブ・シャフトのストッパが直接ウォーム・シャフトを回転させる。
解く
(1) 操舵時は,トーション・バーのねじれ角に応じてスリーブが回転し,油路を切り替える。
不適切
操舵時
ステアリング・ホイールを右に操舵すると、その操舵力は、スタブ・シャフトを介してトーション・バーからウォーム・シャフトと伝達されるが、路面抵抗がステアリング・ホイールからの操舵カより大きいときは、ウォーム・シャフトが固定された状態になり、トーション・バーのねじれ角に対応して、図のようにロータが回転する。
(2) 直進時は,スリーブとロータ間の位置関係が中立にあり,パワー・シリンダの両室に作用する油圧は等しい。
適切
直進時
直進状態(操舵なし)のときは、図のように、オイル・ポンプからのフルードは、スリーブのポートからパワー・シリンダのL室及びR室に流入し、余剰なフルードは、スリーブの上段に位置するべアリングの隙間を通ってリザーブ・タンクに戻る。
このとき、スリープとロータ間の隙間は等しい状態(中立位置)にあるため、パワー・シリンダの両室に作用する油圧は等しく、パワー・ピストンは動かない。
(3) かじ取り感覚(ステアリング・ホイールにかかる反力)は,トーション・バーのねじれを反力として利用することで得ている。
適切
かじ取り感覚
パワー・ステアリングは軽く操舵できるので、ステアリング・ホイールに適度な手応え(反カ)が必要になる。
この手応えの感覚を得るために、パワー・ステアリングでは、トーション・バーのねじれを反力として利用しており、路面抵抗が大きいときには、トーション・バーも大きくねじれて反力が大きくなり、路面抵抗が小さいときには、ねじれ角も小さく、反力も小さく作用する。
(4) エンジン停止時や故障により操舵時に油圧が発生しない場合は,トーション・バーがねじれスタブ・シャフトのストッパが直接ウォーム・シャフトを回転させる。
適切
操舵力の補助がない操舵
エンジン停止時や、故障により油圧が発生しない場合は、ステアリング・ホイールを右又は左に操舵すると、トーション・バーがねじられ、図に示すストッパにより、スタブ・シャフトがウォーム・シャフトに当たり、直接ウォーム・シャフトを回転させ、パワー・ピストンを介してセクタ・シャフトを回転させることが可能となり、かじを取ることができる。
よって答えは(1)