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自動車整備士資格試験を解く

平成20年3月実施1級小型問題5:センサの特性に関する記述

5

センサの特性に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)水温センサに用いられる負特性のサーミスタは,水温が高くなるに従い抵抗値は大きくなる。

(2)バキューム・センサに用いられるシリコン・チップ(ピエゾ効果をもつ素子)は,受ける圧力が変化すると発生する起電力も変化する。

(3)熱線式エア・フロー・メータに用いられる発熱抵抗体は,吸入空気量が少なく発熱抵抗体の温度が高くなると,抵抗値は大きくなる。

(4)02センサに用いられるジルコニア素子は,空燃比が大きい(薄い)状態で燃焼したときは素子の排気ガス側と大気側の酸素濃度差が小さいので,約1Vの起電力を発生する。

 

解く

 

(1)水温センサに用いられる負特性のサーミスタは,水温が高くなるに従い抵抗値は大きくなる。

不適切

サーミスタは,温度によって抵抗値が変わる性質をもち,この抵抗値の変化は温度変化に応答しているため,冷却水温度の変化を抵抗値の変化に置き換えて温度の検出を行うことができる。

 温度に対する抵抗値の変化(温度抵抗特性)は,一般に温度が低いときは抵抗値が大きく,温度が高くなるに従い抵抗値が小さくなる負の温度特性をもつサーミスタが多く用 いられている。

 サーミスタが温度により変化するのは抵抗値であるため,マイコンは,検出できる電圧値に置き換える必要がある。

 

(2)バキューム・センサに用いられるシリコン・チップ(ピエゾ効果をもつ素子)は,受ける圧力が変化すると発生する起電力も変化する。

不適切

 ゲージ圧検出型は,大気圧を基準に正圧側,負圧側の検出を行うものである。

 絶対圧検出型は,真空値を基準に真空値から大気圧値及び加圧値までの検出を行うものである。

 絶対圧検出型は,インテーク・マニホールド内に発生した圧力をシリコン・チップ(ピエゾ抵抗効果素子)に作用させ,シリコン・チップは,受けた圧力によって電気抵抗が変化する。シリコン・チップには電極を設け,5V安定化電圧を加えておき,圧カの変化に応じた電流の変化をICによって,電圧の変化に置き換えてセンサ信号電圧を出力している。

 

 

(3)熱線式エア・フロー・メータに用いられる発熱抵抗体は,吸入空気量が少なく発熱抵抗体の温度が高くなると,抵抗値は大きくなる。

適切

エア・フロー・メータの発熱抵抗体は,温度が低いと抵抗値が小さく,温度が高いと抵抗値は大きくなる。

 吸入空気量が少ない場合は,発熱抵抗体の放熱量が少なく,抵抗が大きいために回路の電流は少なく,逆に吸入空気量が多い場合は,発熱抵抗体の放熱が多く,抵抗が小さいために回路の電流は多くなる。

 ECUは,この電気信号による電流の変化を電圧の変化に置き換えて吸入空気量信号として検出している。

 

 

(4)O2センサに用いられるジルコニア素子は,空燃比が大きい(薄い)状態で燃焼したときは素子の排気ガス側と大気側の酸素濃度差が小さいので,約1Vの起電力を発生する。

不適切

 

O2センサ

 図に示すO2センサは,排気ガス中に含まれる酸素濃度を検出するもので,この酸素濃度を検出するこ とで空燃比(A/F)が理論空燃比に対し,小さい(濃い)か,大きい(薄い)かを判断する。

 

 

 O2センサは,円筒状のジルコニア素子の内外面に白金をコーティングしてあり,内側は大気と,外側は排気ガス接触できるようになっている。なお,ジルコニア素子は,活性化領域(例:360℃)を超えたとき,大気側と排気ガス側の酸素濃度差により,起電力を発生させる性質がある。

 信号電圧を作る回路構成は,図に示すもので,エンジン運転中に排出される排気ガス中の酸素濃度の変化に応じて発生する起電力の信号電圧が作られ,入力回路を介してマイコンに入力される。

 マイコンは,リアル・タイムで燃料噴射量を制御する必要から,O2センサからの入力信号電圧により,燃焼状態を判断すると共に,エンジン制御などに関係するそのほかのセンサから,エンジンの負荷条件を検出して必要に応じ燃料噴射量を補正する。

 信号形態

 信号電圧は,図のように空燃比が小さい(濃い)状態で燃焼したときの排気ガスが白金に触れると,白金の触媒作用により残存する低濃度の02は排気ガス中のCOやHCと反応し,ジルコニア素子表面の02はほとんどなくなるため,O2センサ内外面の酸素濃度差が非常に大きくなり起電力(High)が生じる。

逆に,空燃比が大きい(薄い)状態で燃焼したときの排気ガスは,高濃度の02と低濃度のCOがあるため,COとO2が反応しても余分なO2が残存し,酸素濃度差は小さく,ほとんど起電力(Low)が生じない。

 マイコンによる信号電圧の検出は,マイコン閾値と信号電圧の比較により行われるが,図のように閾値をアップ・エッジしたときに信号電圧を検出する。