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平成20年11月実施検定1級小型問題13:CAN通信システムに関する記述

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CAN通信システムに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)CANバスを構成する2系統の信号線には,耐ノイズ性の高いツイスト・ペア線が用いられている。

 

(2)ECUかデータを送信するときは,信号と一緒に色々な情報を送信し,この信号を含む一連の情報を「メッセージ」と呼ぶ。

 

(3)点検・整備の対応として車載式故障診断装置には,CAN通信システムとECUごとにダイアグノーシスが設定されている。

 

(4)デジタル信号を作るにあたって,信号線とアース線の電圧の差を用いる方式のものをディファレンジャル・エンドという。

 

解く

(1)CANバスを構成する2系統の信号線には,耐ノイズ性の高いツイスト・ペア線が用いられている。

適切

 CAN バスを構成する信号線には,図 のように耐ノイズ性の高いツイスト・ペア線が用いられている。信号線は,常に近接していることからノイズが乗ったときにも, CAN - L 線と, CAN - H 線それぞれに同程度のノイズが乗るため,ノイズによる信号電圧値の変動はあるものの, CAN - L 線と CAN - H 線間の信号電圧差は生じず,影響は少ない。

(2)ECUかデータを送信するときは,信号と一緒に色々な情報を送信し,この信号を含む一連の情報を「メッセージ」と呼ぶ。

適切

CAN 通信で送信されるデータ

ECU がデータを送信するときは,信号と一緒に色々 な情報を送信する。この信号を含む一連の情報を「メッセージ」と呼び, CAN バスに接続された各 ECU は,「メッセージの管理」,「メッセージの送信」,「メッセージの受信」を行う。図 は,データの構成例を表したもので,下記にメッセージの受け渡し内容の例を示す。

スタート・オブ・フレーム

メッセージの始まりを示す。

識別子フィールド

複数のメッセージが同時に送信されそうになったときの優先順位を表す。

コントロール・フィールド

メッセージの信号量を表す。

データ・フィールド

実際の信号( 0 - 64bit )

CRC フレーム

送信前に一定の演算を行った結果(演算値)を表し,信号を表したときに受信したユニットが同じ演算を行い,メッセージ中の演算値と照合して通信が正常に受信したかを判定する。

アック・フィールド

正常受信信号を表す。「 0(ドミナント) 」が書き込まれて送信され,正常に受信できたときに受信したユニットが「 1(レセシブ) 」を書き込んで返信する。

エンド・オブ・フレーム

メッセージの終わりを表す。( 7bit の「 1 」)

インタ・フレーム・スペース

メッセージ間の区切りを表す。( 2 – 11bit の「 1 」)

 

 

 

(3)点検・整備の対応として車載式故障診断装置には,CAN通信システムとECUごとにダイアグノーシスが設定されている。

適切

 メッセージ・データの構成は,各自動車メーカによりシステムの一部が独自の仕様になっている。

これら装置に関する故障領域の点検は,使用されているアドレス,コマンド,データなどのプロトコルに対応した車載式故障診断装置で行われるようになっている。

  点検・整備の対応として車載式故障診断装置には,通信異常,バス・ラインの異常の検知及び ECU の診断機能が組み込まれ, CAN 通信システムと ECU ごとにダイアグノーシスが設定されている。 CAN 通信システムにトラブルが発生した場合は,ダッシュ・ボードのメータ・パネル又はモニタ・ディスプレイなどでトラブル発生の警告を行う。

警告システムは,該当装置によって様々で,ダイアグノーシス・コードなどのリストは,該当メーカの仕様及び手順に従い,専用外部診断器の活用が必須であるが,外部診断器以外の点検は,オシロスコープを活用した CAN バス・ラインへのノイズ混入とデジタル信号波形の確認が可能である。

この信号電圧波形の確認の点検は,目安程度のものであるが経験を積むと推測の領域は深くなる。また,サーキット・テスタによる点検では,バス・ラインの断線,短絡及び終端抵抗の確認が可能である。

ここでは,はじめに簡略に整理した CAN 回路構成をもとに CAN バス信号回路の信号波形とサーキット・テスタなどによる CAN バス信号回路の点検を行い,次に高速・低速・信号交換(高 ⇔ 低)の CAN 回路構成をもとにサーキット・テスタなどによる CAN バス信号回路の点検を行う。

 

(4)デジタル信号を作るにあたって,信号線とアース線の電圧の差を用いる方式のものをディファレンジャル・エンドという。

不適切

このようにデジタル信号を作るにあたって,信号線間の電圧差を用いる方式のものをディファレンシャル・エンドといい,信号線と信号アース線間の電圧差を用いる方式のものをシングル・エンドという。

 

よって答えは4