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平成20年11月実施検定1級小型問題28:負の光量特性をもつホト・ダイオードを用いたオート・エアコンの日射センサ回路に関する記述

28

図に示す負の光量特性をもつホト・ダイオードを用いたオート・エアコンの日射センサ回路に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

(1)日射センサの受けた光量が増すに従い,A点の電圧は高くなる。

(2)プルアップ抵抗Rを用いることにより,ECUは信号電圧の高い状態を正確に認識して固定させ,信号電圧のふらつきを防止する。

(3)ホト・ダイオードが検出する光量は,マイコンが検出できる電圧値に置き替えられる。

(4)抵抗Rsは日射センサに使用しているホト・ダイオードの特性を補正するためのものである。

 

解く

(1)日射センサの受けた光量が増すに従い,A点の電圧は高くなる。

不適切

低くなる

(2)プルアップ抵抗Rを用いることにより,ECUは信号電圧の高い状態を正確に認識して固定させ,信号電圧のふらつきを防止する。

適切

(3)ホト・ダイオードが検出する光量は,マイコンが検出できる電圧値に置き替えられる。

適切

(4)抵抗Rsは日射センサに使用しているホト・ダイオードの特性を補正するためのものである。

適切

 

よって答えは1

 

日射センサ

日射センサには,図のようなホト・ダイオード,光導電セル(CdS)などが用いられているが,ここでは,ホト・ダイオードの日射センサについて説明する。

ホト・ダイオードは,光量に応じて電流の流れを変化させる素子で,ダイオードの分類に属し,発生光量の電流値を抵抗値つ電圧値に変換して明るさを検出する。センサの取付場所は,一般に車外や車室内の光量を検出しやすい箇所に取り付けられている。

抵抗値の変化(光度抵抗特性)は,光量が小さいときは抵抗値が大きく,光量が大きくなるに従い抵抗値が小さくなる負の光量特性をもっホト・ダイオードが用いられている。

ホト・ダイオードが検出する光量は,マイコンが検出できる電圧値に置き替えられる。

信号電圧を作るセンサの回路構成は,図のようにECU内5V安定化電源回路→抵抗(R)→ホト・ダイオードと補正抵抗Rs(分流された合成抵抗)→ECUのアースに電流を流す回路構成で信号電圧が作られ,入力回路を介してマイコンに入力される。

日射センサの回路構成では,基準電圧を分圧するために図のようなプルアップ抵抗(R)(信号線より上流に設定)と,図のようなプルダウン抵抗(R)(信号アース線より下流に設定)の二種類が設けられており,それぞれ基本となる信号電圧の起点がプルアップ抵抗(R)ではHigh,プルダウン抵抗(R)ではLowとなっている。

信号電圧を作るセンサの回路構成において,図のようなプルアップ抵抗(R)(信号線より上流に設定)を用いる理由は,図のようにセンサ信号電圧を光量が小さいときは電圧値を大きく,光量が大きくなるに従い電圧値を小さくする電圧特性をもたすためのもので,これによりECUは,信号電圧(高い状態(約4V))を正確に認識して固定させ,信号電圧のふらつきを防止する。

逆に,図のようなプルダウン抵抗(R)(信号線より下流に設定)を用いた場合は,図のようにセンサ信号電圧を光量が小さいときは電圧値を小さく,光量が大きくなるに従い電圧値を大きくする電圧特性をもたすためのもので,ECUは,信号電圧(低い状態(約1V))を正確に認識して固定させ,信号電圧のふらつきを防止する。