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平成20年3月実施1級小型問題19:EPSのアシスト・モータ又はECUに関する記述

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EPSのアシスト・モータ又はECUに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

 

(1)アシスト・モータには,トルクを制御するステッピング・モータが用いられている。

 

2)DCブラシ・モータでは,入力する電圧の極性を変えることで正転・反転駆動ができ,かつ,PWMを利用してデューティ比駆動することで起動トルク,回転トルク及び拘束トルク((注1):サーボ・ロックともいう。)を任意に設定できるようになっている。

 

(3)EPS・ECUは,ステアリングを一杯に切った状態が長く続くと,モータの電流を増加させて操舵力を軽減するモータ出力制限制御を行う。

 

(4)EPS・ECUは,イグニション・スイッチをONにしたときに行う初期診断やシステム作動中に行う常時診断により異常を検知した場合は,その内容にかかわらず,ただちにシステムを停止させる。

 

解く

(1)アシスト・モータには,トルクを制御するステッピング・モータが用いられている。

不適切

アシスト・モータの種類

アシスト・モータは,DCブラシ・モータ,DCブラシレス・モータ(三相インバータ・モータ)などが該

当する。

DCブラシ・モータでは,入力する電圧の極性を変えることで正転・反転駆動ができ,かつ,PWMを利用してデューティ比駆動することで起動トルク,回転トルク及び拘束トルク((注1):サーボ・ロックともいう。)を任意に設定できるようになっている。

注1:拘束トルク(サーボ・ロック)とは,通電状態でモータの回転を止めて,制御位置を固定し,転舵角度を維持する制御に使用される。

DCブラシレス・モータ(三相インバータ・モータ)では,インバータ回路により三相交流を作り周波数を可変する。正転・反転駆動は,三相の内の二相への入力電圧の順序を変えることで行い,回転速度制御は,周波数の可変で行われている。更にPWMを利用してデューティ比駆動することで起動トルク,常用回転トルク及び拘束(保持)トルクを任意に設定できるようになっている。

また,これらのモータなどでは,駆動素子((注2):FET)による駆動効率化が向上し,放熱対策に大型の放熱器を必要としなくなっている。

 

2)DCブラシ・モータでは,入力する電圧の極性を変えることで正転・反転駆動ができ,かつ,PWMを利用してデューティ比駆動することで起動トルク,回転トルク及び拘束トルク(サーボ・ロックともいう。)を任意に設定できるようになっている。

適切

(3)EPS・ECUは,ステアリングを一杯に切った状態が長く続くと,モータの電流を増加させて操舵力を軽減するモータ出力制限制御を行う。

不適切

モータ出力制限制御

モータ出力制限制御は,連続した大電流での発熱からシステムを保護する制御である。

据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときは,モータ電流を低下させ,システムを保護している。

この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。補助動力の復帰は,操舵トルクがゼロ

又は,イグニション・スイッチOFFから徐々に始まり,通常の補助動力に戻るのは最長で8分程度必要とする。

 

(4)EPS・ECUは,イグニション・スイッチをONにしたときに行う初期診断やシステム作動中に行う常時診断により異常を検知した場合は,その内容にかかわらず,ただちにシステムを停止させる。

不適切

初期診断:イグニション・スイッチON直後からEPS警告灯カ肖灯するまでに行う車載故障診断装置による診断

常時診断:EPS警告灯が消灯してからイグニション・スイッチOFFまで常時行っている車載故障診断装置による診断

 

フェイルセーフ制御

フェイルセーフ制御は,故障などによりEPSに異常が発生したとき,可能な限り制御を行う。EPSが制御を正しく実行できなくなる場合は,安全上の配慮からフェイルセーフとして制御を停止し,補助動力無しのステアリングにするものである。

車載故障診断装置による診断には,システムの電源,各センサ,計算結果,出力電流に対してイグニション・スイッチをONにしたときに行う初期診断と,システム作動中,常に行う常時診断とがある。

異常があれば,警告灯を点灯させ,フェイルセーフ制御により,故障内容によって補助動力の暫定継続,減少,停止を行う。

車載故障診断装置による診断には,警告灯の故障点灯表示,ダイアグノーシス・コードの表示機能も持っている。

正常に回復したときのシステムの復帰も,

回復次第直ちに復帰,

イグニション・スイッチのON・OFFで復帰,

ダイアグノーシス・コードの消去後に復帰の3種類があり,ステアリング操作に対する影響度を考慮して設定されている。

 

よって答えは2