電子制御式スロットル装置を用いた筒内噴射式ガソリン・エンジンに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)冷間始動直後の短時間,圧縮行程の燃料噴射により超リーン燃焼を行い,続いて,燃焼(膨張)行程での再度の燃料噴射により,残った空気と燃焼後の高熱を用いた再燃焼が行われることで,触媒の温度が短時間で上昇する。
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(2)リーンNOx触媒のうちトラップ型のものは,NOxの浄化率が高く,ガソリン中に硫黄分が含まれていても浄化性能への影響は極めて少ない。
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(3)超希薄燃焼時にはEGRが行われ,均質リーン燃焼時には燃焼限界にあり,エンジンが不調になるためEGRは行われない。
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(4)リーンNOx触媒のうち選択還元型のものは,リーン(希薄)燃焼時に,活性層でHCを使用することでNOxを還元する。
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解く
(1)冷間始動直後の短時間,圧縮行程の燃料噴射により超リーン燃焼を行い,続いて,燃焼(膨張)行程での再度の燃料噴射により,残った空気と燃焼後の高熱を用いた再燃焼が行われることで,触媒の温度が短時間で上昇する。
適切
触媒早期活性化制御
冷間始動時に触媒の温度を上昇させるために,始動直後の短時間,燃料噴射を圧縮行程と燃焼(膨張)行程で 2 回に分けて噴射している。
圧縮行程で超リーン燃焼を行い,燃焼(膨張)行程で再度燃料を噴射し,残った空気と燃焼後の高熱を用いて再燃焼させ,排気ガスを昇温させることにより,短時間で触媒の温度を上げ,触媒の早期活性化を行っている。
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(2)リーンNOx触媒のうちトラップ型のものは,NOxの浄化率が高く,ガソリン中に硫黄分が含まれていても浄化性能への影響は極めて少ない。
不適切
表 リーンNOx触媒の種類と特徴
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選択還元型
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トラップ型
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原理
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リーン(希薄)燃焼時に活性層で図3-35のようにHCを使用してNOxを還元する
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リーン(希薄)燃焼時には、NOxを吸蔵物質に蓄えておき、理論空燃比運転時に濃くし、排出ガス中のCO、HC等を利用してNOxを還元する。
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長所
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定常的な浄化が可能。ガソリン中に硫黄分が含まれていても浄化性能への影響は少ない。
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NOxの浄化率が高い。
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短所
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還元にHCを使用するため、上流に三元触媒を設置できない。このため、三元触媒の活性化に時間が必要。
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ガソリン中に硫黄分が含まれていると急速に劣化する。NOx還元時は空燃比を濃くする必要あり。
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短所を補う制御
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触媒早期活性化制御により、燃焼(膨張)工程での燃料噴射を行なうと共に排気滞留時間が長いのマニホールドを採用することで、短時間での三元触媒活性化を行なう。
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電子制御スロットル・バルブにより、吸入空気量を絞って一時的に空燃比を濃くし、還元時の燃料消費を最小化する。
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(3)超希薄燃焼時にはEGRが行われ,均質リーン燃焼時には燃焼限界にあり,エンジンが不調になるためEGRは行われない。
適切
排出ガス浄化対策
成層燃焼では,超希薄燃焼を行うため,三元触媒では NOx 低減ができない。しかしながら,成層燃焼時は,非常に安定した燃焼となっているため, EGR を導入しても安定した燃焼が可能である。
そこで,大量の EGR を導入し,燃焼温度を下げることにより NOx 自体の生成を大幅に低減している。
また,均質リーン燃焼時には,燃焼限界にあるため, EGR が導入できないので,それらの対応を含め,リーン NOx 触媒を採用し, NOx を更に低減している。
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(4)リーンNOx触媒のうち選択還元型のものは,リーン(希薄)燃焼時に,活性層でHCを使用することでNOxを還元する。
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適切