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EPSの故障診断に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)「モータ・ハーネス断線診断」のダイアグノーシス・コードが検出されると,EPS・ECU内のパワー・リレーがOFFし,アシストが停止するため,フェイルセーフ時のモータの電圧測定では不具合部位の特定ができない。
(2)「フェイルセーフ・リレーON故障診断」のダイアグノーシス・コードが検出されると,警報中はアシスト(動力補助)を停止し,警報中に正常回復してもシステム復帰は働かず,イグニション・スイッチをOFFすることでシステムがリセットされる。
(3)EPS・ECUは,トルク・センサ中点値をEEP ROM(消去プログラム対応読み出し専用メモリ)に記憶しており,ギヤ・ボックス脱着時,トルク・センサ交換時,EPS・ECU交換時,ダイアグノーシス・コードを消去した際は,トルク・センサ中点値の書き込みが必要になる。
(4)据え切り操作を極端に連続で行うと,モータ出力制限制御が働き,補助動力を徐々に低下させてシステムの保護を行う。このとき,EPS警告灯は点灯せず,復帰には最長で8分程度を必要とする。
解く
(1)「モータ・ハーネス断線診断」のダイアグノーシス・コードが検出されると,EPS・ECU内のパワー・リレーがOFFし,アシストが停止するため,フェイルセーフ時のモータの電圧測定では不具合部位の特定ができない。
適切
(2)「フェイルセーフ・リレーON故障診断」のダイアグノーシス・コードが検出されると,警報中はアシスト(動力補助)を停止し,警報中に正常回復してもシステム復帰は働かず,イグニション・スイッチをOFFすることでシステムがリセットされる。
適切
(3)EPS・ECUは,トルク・センサ中点値をEEP ROM(消去プログラム対応読み出し専用メモリ)に記憶しており,ギヤ・ボックス脱着時,トルク・センサ交換時,EPS・ECU交換時,ダイアグノーシス・コードを消去した際は,トルク・センサ中点値の書き込みが必要になる。
不適切
トルク・センサ中点値
ECUは,トルク・センサ中点値をEEP ROM(消去プログラム対応読み出し専用メモリ)に記憶している。したがって,ギヤ・ボックスの脱着,トルク・センサ交換,ECUの交換時は,トルク・センサ中点値の書き込みを行うこと。また,ダイアグノーシス・コードを消去しても,トルク・センサ中点値は消去されない。
(4)据え切り操作を極端に連続で行うと,モータ出力制限制御が働き,補助動力を徐々に低下させてシステムの保護を行う。このとき,EPS警告灯は点灯せず,復帰には最長で8分程度を必要とする。
適切
故障診断を始める前の注意
補助動力の制限
据え切り操作を極端に連続して行うようなときには,モータ電力が増大してECUが発熱し,システムに悪影響を及ばすことが予想できる。このため,モータ電流を監視しており,発熱状態のときは,補助動力を徐々に低下させてシステムの保護を行っている(モータ出力制限制御)。このとき,EPS警告灯は点灯しない。なお,復帰には最長で8分程度を必要とするので考慮する。
よって答えは(3)
参考