( 2 ) VSCS の制御内容
車輪速センサ,ヨー・レート・ G センサ及び舵角センサの情報から車両の状態を判定し,車両がオーバステア傾向又は,アンダステア傾向と判定したとき,その傾向の程度に応じて図 のように各車輪のブレーキ油圧制御及びフューエル・カット制御を行っている。
なお,ブレーキ油圧制御では,車速の低下と車両の向きを変え,フューエル・カットでは,車速の低下を主に行っている。
( 3 ) VSCS の作動
ここでは,フロント・エンジン・フロント・ドライブ( FF )式の車両に採用されている VSCS のブレーキ油圧制御について説明する。なお,フロント・エンジン・リヤ・ドライブ( FR )式の車両に採用されている VSCS のブレーキ油圧制御とは異なる。
VSCS は,各センサの情報をスキッド ECU で演算した結果,右旋回時を例として説明すると,図 のように車両のスリップ角が大きく,スリップ角速度も大きい場合は,オーバステア状態と判定される
ので抑制させるには,
図 のようにオーバステア抑制モーメントを発生させることができる旋回外側の前輪にブレーキを掛け(増圧)抑制する。また,ブレーキを掛けたことで車速が低下し車両が安定するようになる。
運転者がハンドル操舵をした場合に,操舵量と車速から決定される目標ヨー・レートよりも,図 のように実際の車両ヨー・レートが少なければ,車体が曲がっていないことを意味し,アンダステア状態と判定される
ため,抑制させるには,図 のように主に旋回内側の後輪にブレーキを掛けアンダステア抑制モーメントを発生させると共に,他の車輪(左右前輪)にもブレーキを掛けて車速を下げ,横力を減少させることにより,アンダステアを抑制している。