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こもり音,ビート音の故障診断に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)惰行時,駆動時にこもり音が発生したのでリジッド・ラックで車両を支えて現象を確認したところ,現象が消えないので,プロペラ・シャフトとドライブ・シャフトの点検が必要と考えられる。 |
(2)惰行時,駆動時にこもり音が発生したのでリジッド・ラックで車両を支えて現象を確認したところ,現象がなくなり正常になったので,原因はタイヤと判断しプロペラ・シャフトの点検は行わなかった。 |
(3)駆動時のみにこもり音が発生したので,エンジン各部,エンジンとトランスミッションの締め付け部,ユニバーサル・ジョイント位相,センタ・ベアリンク位置,エキゾースト・パイプ,プロペラ・シャフト・ジョイント角の点検が必要と考えられる。 |
(4)停車時,エンジン・レーシングでビート音が発生したので,エンジン各部,エアクリーナ,エキゾースト・パイプの点検を行ったが,エアコン・コンプレッサの取り付け部の点検を行わなかった。 |
解く
(1)惰行時,駆動時にこもり音が発生したのでリジッド・ラックで車両を支えて現象を確認したところ,現象が消えないので,プロペラ・シャフトとドライブ・シャフトの点検が必要と考えられる。 適切 惰行時:アンバランス 駆動時:ジョイント部のトルク変動 |
(2)惰行時,駆動時にこもり音が発生したのでリジッド・ラックで車両を支えて現象を確認したところ,現象がなくなり正常になったので,原因はタイヤと判断しプロペラ・シャフトの点検は行わなかった。 適切 |
(3)駆動時のみにこもり音が発生したので,エンジン各部,エンジンとトランスミッションの締め付け部,ユニバーサル・ジョイント位相,センタ・ベアリンク位置,エキゾースト・パイプ,プロペラ・シャフト・ジョイント角の点検が必要と考えられる。 適切 |
(4)停車時,エンジン・レーシングでビート音が発生したので,エンジン各部,エアクリーナ,エキゾースト・パイプの点検を行ったが,エアコン・コンプレッサの取り付け部の点検を行わなかった。 |
不適切
よって答えは(4)
エンジン・ノイズの主な原因
振動強制力 |
振動伝達部位 |
①タぺット(動弁機構),タイミング・チェーン,ピストンの コンロッド,クランクシャフト及び補機類のべアリングな どから発生する機械振動 ②シリンダ・ヘッド,ピストンなど燃焼室から発生する燃焼 膨張振動 ③冷却ファン,ファン・シュラウド及びオルタネータ・ファ ンが,空気を切るときに発生するファン振動 ④エア・クリーナから発生する吸気振動 ⑤エキゾースト・マニホールド,エキゾースト・パイプ及び マフラから発生する排気振動
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①エンジンの共振 ②アクセル・ワイヤ の共振 ③エキゾースト・パイプ の共振 ④ボデー・パネルの共振
空気,エンジン・マウ ンティング及びホース 類の振動により伝達
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(c)プーリ比による振動周波数の合成
図に示すエンジン補機類のプーリ径と,クランクシャフト・プーリ径の比が整数倍に近いと,エンジンの発生振動周波数と補機類からの振動周波
数の差がわずかとなり,合成された振動周波数により騒音(ビート音)が発生する。この場合,駆動ベルトを外していくと,関係する補機類が分かる。